【セントラル・アーカイブ管理階層・記録局直轄エリア】
イレーネ
....涼が戻ってこない。
イレーネ
記録片が反応して、彼だけが‘‘語りの間‘‘に引き込まれた。
イレーネ
でも――
私も、動かないといけない。
私も、動かないといけない。
システム・アクセスログ:イレーネ・アシュレイ/限定階層開示申請
システム
――照合完了。
対象記録:IRN-000X【封印中】
アクセス権限:保留中
対象記録:IRN-000X【封印中】
アクセス権限:保留中
イレーネ
(私の名が....記録として、封印されてる?)
イレーネ
どうして....記録に、私がアクセスできないの?
システム
補助開示条件を提示します。
【記録解除キー】を所持する他者とともに再申請してください。
【記録解除キー】を所持する他者とともに再申請してください。
システム
該当候補:語り手候補=リョウ・ヒナタ(仮承認)
イレーネ
涼....あなたが鍵なのね。
イレーネ
でも、それだけじゃない。この記録――そもそも‘‘語られるべきじゃない‘‘とされた。
補助ログ:封印理由記録(断片)
【判断】
当該記録は、‘‘記録の整合性‘‘および‘‘物語構造‘‘に深刻な破綻を引き起こす懸念あり。
保管処理:「語るには早すぎる」
判定層:セントラル・アーカイブ中央意思(自立判断)
当該記録は、‘‘記録の整合性‘‘および‘‘物語構造‘‘に深刻な破綻を引き起こす懸念あり。
保管処理:「語るには早すぎる」
判定層:セントラル・アーカイブ中央意思(自立判断)
記録局 記録構造層・外緑
記録局職員(男)
おや....イレーネ。
君がここまで降りてくるとは珍しいな。
君がここまで降りてくるとは珍しいな。
記録局職員(男)
‘‘自分の記録‘‘でも探しているのか?
イレーネ
....なぜ、それを。
記録局職員(男)
封印記録には、職員に‘‘開示制限がかけられていない‘‘んだ。
記録局職員(男)
君の記録――すでに我々も何度も読んでいるよ。
でもなぜか、‘‘物語の載せることが許可されなかった‘‘。
それだけ危険な内容だったんだろう?
でもなぜか、‘‘物語の載せることが許可されなかった‘‘。
それだけ危険な内容だったんだろう?
イレーネ
(なにを....?私の記憶にそんな....)
記録局職員(男)
それとも、忘れさせられたのか。
語る資格がなかった過去を。
(男の声色が代わる)
語る資格がなかった過去を。
(男の声色が代わる)
記録局職員(男)
君が‘‘語られる前に一度拒否された語り手‘‘だということ――
君は本当に覚えていないのか?
君は本当に覚えていないのか?
空間が歪む/‘‘偽りの記憶‘‘と封じられた‘‘物語‘‘が重なり始める
システム
システム警告
――記録局権限が不正に干渉を受けています。
――構造不正整合検出、未確定の語り筋が接続を試行中。
――記録局権限が不正に干渉を受けています。
――構造不正整合検出、未確定の語り筋が接続を試行中。
イレーネ
(記憶の底で....何かが、ずっと動いてる)
私は、本当にこの名前だったの?
私は、本当にこの名前だったの?
イレーネ
それすらも、誰かの語った‘‘設定じゃなかった....?
封印記録ID:IRN‐000X 最終表示
名前:○○○○=アシュレイ
属性:語り手候補/物語編集適正 高度
属性:語り手候補/物語編集適正 高度
削除理由:意思の逸脱、自己書き換え試行
状態:封印・人格構造の再構築
イレーネ
....‘‘イレーネ‘‘という名も、
私が本当に選んだものじゃなかった。
私が本当に選んだものじゃなかった。
日向 涼
(記録空間から帰還)
....イレーネ!
....イレーネ!
イレーネ
....涼....
やっと戻ってきたのね。
やっと戻ってきたのね。
日向 涼
お前....泣いてる?
イレーネ
ううん。
思いだしちゃったの。
私‘‘最初に語る資格を拒まれた語り手‘‘だったのよ。
思いだしちゃったの。
私‘‘最初に語る資格を拒まれた語り手‘‘だったのよ。
語り部
やはり、封印だけでは足りなかったか。
語り部
物語の器が再び整い始めている。
語り部
問題は、‘‘誰が語り手になるか‘‘だ。
語り直しが始まれば、今度こそ――
語り直しが始まれば、今度こそ――
語り部
この世界の‘‘正史‘‘が塗り替えれる。