テラーノベル
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じっと俺を見つめてくるうりの瞳が、いつもより熱を帯びているように見えて
俺は息をすることさえ忘れてしまいそうだった
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
言いかけた俺の言葉は、最後まで紡がれることはなかった
視界を埋め尽くすうりの綺麗な瞳が、ゆっくりと伏せられて
次の瞬間、唇に柔らかいものが触れた
――ちゅ、
小さなリップ音が、静かなリビングに鮮明に響く
ゆあんくん
ゆあんくん
脳内の思考回路が、すべて焼き切れるのを感じた
ほんのりと甘い体温が伝わってきて、体の芯が熱くなる
驚きで目を見開いたまま固まる俺の唇を、うりは優しく、でも少しだけ強く重ねてくる
じわじわと体中の血が沸騰していくみたいで、生きた心地がしなかった
どれくらいそうしていたか分からない
ようやくうりがゆっくりと唇を離したとき、部屋の空気がひどく熱く感じられた
うり
うりは俺の頭を乗せていた自分の太ももをギュッと掴んで、そのまま勢いよく顔を背けた
ミルクティー色の髪の隙間から見える耳まで真っ赤に染め上がっていて
吐き出す息が少し荒い
ゆあんくん
さっきまであんなに意地悪そうにしていたのに
今のうりは俺と目を合わせようともしない
片手で自分の口元を覆いながら、潤んだ瞳でチラリと俺を見て
すぐにまた視線を逸らした
繋ぎ合わせたようなその声は小さく震えていて、俺以上に余裕がなさそうに見える
うり
うり
うりはそのまま俺の頭を膝から退けると
ソファの上にクッションを抱え込んで丸まってしまった
背中を向けたうりの肩が、まだ小さく震えている
ゆあんくん
声にならない叫びが喉の奥で爆発する
俺はうりの膝の上から弾かれたように起き上がると
ソファから逃げるようにして立ち上がった
クッションを抱えて丸まっているうりは、驚いたように肩をびくつかせて
チラリと俺を見る
その潤んだ瞳とまだ赤い唇が視界に入った瞬間
俺の顔はこれ以上ないくらい真っ赤に燃え上がった
ゆあんくん
ゆあんくん
これまでのポーカーフェイスも、すべてがどこかへ吹き飛んでいく
俺はポケットの中のスマホを強く握りしめたまま、うりに背を向けて走り出した
うり
うり
後ろからうりの焦ったような声が聞こえたけれど
今の俺に立ち止まる余裕なんてあるわけがない
リビングのドアを勢いよく開ける
廊下を急いで走って自分の部屋へと向かった
バタン!!!
激しい音を立ててドアを閉め、鍵をガチャリと閉めると
俺はそのままベッドへと倒れ込んだ
布団に顔をうずめ、手足をバタバタとさせて暴れる
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
唇に残る柔らかい感触と
あの甘い体温が脳裏に何度もフラッシュバックして、胸の奥がずっとうるさい
あまりの衝撃とパニックで、どうにかなりそうだった
ひとしきりベッドの上でのたうち回ったあと
俺はハッと我に返ってスマホをポケットから引っ張り出した
ロックを解除し、震える指先でオタ垢を開く
この溢れかえりそうな感情はどこかに吐き出さないと
本当に頭がおかしくなってしまう
でも、さっき現実で起きた大事件をそのまま書くわけにはいかない
俺は暴れ狂う心臓を必死に宥めながら
動画の感想を装ったツイートを震える指でフリック入力していった
『今日の動画のうり、喋り方も動きも全部が天才。 というか、なんかもう色々と直視できなくて死ぬ。 心臓が何個あっても足りない。 無理、一生ついていく……!』
ふぅ、と長いため息を一つ吐きながら、送信ボタンを押し込む
画面に自分のツイートが表示されたのを確認して、俺はスマホを胸に抱きしめた
これで少しは落ち着くかと思ったけれど
腕で口元を隠しても、さっきのうりの顔が脳裏に焼き付いて離れなかった
ツイートを送信してから、少し時間が経った頃
ベッドの上で悶え続けていた俺は、喉がカラカラに渇いていることに気がついた
ゆあんくん
さすがにこれだけ時間が経てば、うりも自分の部屋に戻っているはずだ
そう自分に言い聞かせながら、俺はそっと自室のドアを開けて廊下へ出た
しかし、運悪くリビングから自分の部屋へ戻ろうとしていたうりと
廊下の真ん中でばったり鉢合わせてしまう
お互いに「あ、」と声が漏れて、その場に足が止まった
ゆあんくん
うりはリビングにいた時よりも、さらに顔を真っ赤にしていた
一瞬だけ俺と目が合うけれど、うりはすぐに気まずそうにプイッと視線を逸らす
いつもなら絶対に俺をからかってくるはずのうりが
今は余裕をなくしているのが一目で分かった
うりは自分のスマホをぎゅっと握りしめたまま
横を向いて、蚊の鳴くような小さな声で呟く
うり
うり
ゆあんくん
うり
それだけ言い残すと、うりは俺の返事を聞くこともなく
逃げるように自分の部屋へと駆け込んでドアをバタン!と閉めてしまった
静まり返った廊下で、俺は呆然と立ち尽くす
ゆあんくん
赤くなったうりの横顔が脳裏に焼き付いて離れない
俺は急いで自分の部屋に引き返した
ベッドに腰掛け、熱くなった顔を両手で覆っていると
手元のスマホが「ピコン」と鋭い音を立てて震えた
オタ垢の通知かと思って画面を覗き込む
けれど、通知画面に表示されていたのは、オタ垢ではなく【うり】からのLINEだった
うり
うり
うり
うり
うり
うり
うり
うり
ゆあんくん
スマホの画面を見つめたまま、俺の思考は完全にフリーズした
現実の廊下では逃げたくせに
顔が見えないLINEになった途端、こんなに真っ直ぐな言葉を投げてくるなんて反則だ
ゆあんくん
画面の文字を見つめるだけで、うりの熱い体温がすぐ近くにあるみたいに錯覚してしまう
「俺のことしか見られなくしてあげる」
その言葉が頭の中で何度も繰り返されて
胸の奥が信じられないくらい熱くなっていくのが分かった
俺はスマホを握りしめたまま
ドクドクとうるさい胸の鼓動を抑えるようにベッドに深く体を沈める
宣戦布告をしてきたうりの可愛い横顔を思い出して
俺の心臓はもう、自分の意志では止められないくらいに激しく脈打ち続けていた
コメント
7件
ほんとに好きです😭💝
うわわっ✨✨最高です.ᐟ.ᐟ待ってめっちゃ胸の中で叫んでる自分がいるううう.ᐟ.ᐟ.ᐟ.ᐟなんで最高な物語かけるんですか.ᐟ.ᐣ教えて欲しいぐらいすぎます😭😭尊敬してますう.ᐟ.ᐟ
コンクリートのワンダーランド
鈴木𓈒𓂂𓂃◌𓈒𓐍
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