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里菜
お父さん・・・。
お父さん
どうした？
里菜
お母さんのお葬式、明日だから・・・。
お父さん
なんだって！？
お父さん
聞いてないぞ！
お父さん
亜由美の葬式だって！？
里菜
お父さん・・・言ったじゃん。
明日はお母さんのお葬式だって。
明日はお母さんのお葬式だって。
里菜
(もう、そんな歳かな・・・)
お父さん
亜由美の葬式なんて・・・
縁起の悪い！！
縁起の悪い！！
お父さん
一体、誰が殺したんだ！
里菜
だから、ただの事故。
犯人なんていないよ。
犯人なんていないよ。
里菜
落ちついて。
明日、会場に、14時半ね。
明日、会場に、14時半ね。
お父さん
わしは行かんぞ！
一人で行け！
この馬鹿娘が！
一人で行け！
この馬鹿娘が！
里菜
(とか言っときながら来る癖に・・・)
里菜
あれ・・・？お父さん本当に来ないの？
里菜
もうすぐ１４時半・・・
里菜
妹の鈴に聞いてみるか。
里菜
ねぇ、鈴起きてる？
鈴
何？
里菜
お父さんって居る？
鈴
ああ、居るよどしたの？
里菜
集合時間忘れてない？
大丈夫？
大丈夫？
鈴
でも、2階で何かやってるみたい。
里菜
え？何やってるの？
鈴
お父さん、スマホいじってる。
里菜
えぇ！こんな時に？！
里菜
早く来てって伝えて。
お母さんのお葬式だから、鈴も早く来てね。
お母さんのお葬式だから、鈴も早く来てね。
鈴
てゆーか、お姉ちゃん何言ってるの？
里菜
え？
鈴
元から居ないじゃん、お母さんなんて。
里菜
嘘・・・。
ねえ、どういう事？
ねえ、どういう事？
鈴
思い出させないで。
パパに直接聞いてよ。
パパに直接聞いてよ。
里菜
ねぇ鈴！
里菜
鈴ってば！
里菜
嘘でしょ・・・。
里菜
ねぇ、お父さん。
お父さん
なんだ？
また、嫌な報告か？
また、嫌な報告か？
里菜
違うの
里菜
お母さん・・・元から居なかったんだって。
里菜
鈴から聞いたの
お父さん
鈴・・・？
お父さん
それは誰だ？
お父さん
里菜の友達か？
里菜
お父さん・・・。
里菜
鈴はお父さんの二番目の娘だよ
お父さん
里菜だけじゃないのか？
里菜
私は長女。
鈴が二女なの。
鈴が二女なの。
お父さん
すまん、父さんも覚えてないんだ。
お父さん
父さんはな、この前職場を退職したんだ。
お父さん
それから違和感や、今までのストレス、
頭こんがらがって・・・
頭こんがらがって・・・
お父さん
父さんのせいだ。
本当にすまんな里菜。
本当にすまんな里菜。
里菜
ありがとう、お父さん。
お母さんの事、教えて欲しい。
お母さんの事、教えて欲しい。
お父さん
ごめん、里菜。
幸せな家庭に生まれさせてあげられなくて。
里菜の事、愛していたよ。
せめて里菜は幸せで最後まで知らないで欲しいんだ。
最後だな。 お父さんの子でいてくれて
幸せな家庭に生まれさせてあげられなくて。
里菜の事、愛していたよ。
せめて里菜は幸せで最後まで知らないで欲しいんだ。
最後だな。 お父さんの子でいてくれて
お父さん
ありがとう。
里菜
最後ってどういう事？
里菜
ねぇ、お父さん！？
里菜
お父さん！！
里菜、本当にありがとう。
里菜
それからお父さんは、空へ旅立ちました。
里菜
最後だけは、知らないで欲しかった。
里菜
と病室で言っていたそうです。
里菜
鈴は、お父さんから言わないで欲しいと頼まれたそうです。
里菜
私は今、夫もいて子供も三人居ます。
里菜
おじいちゃんとおばあちゃんがいないのは可哀相だけど、
里菜
お父さんが言っていた幸せの意味がわかった気がします。
里菜
お父さんの分まで生きるから。
電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
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