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わたし
気がつくと真っ暗なところにいた。
頭がぼやーっとしていて状況が分からない。
ぼうっとしていると、
目を覚ましたか。
わたし
どこからか声がした。
早速だが、お前は3日後、死ぬ。
わたし
俺はこういう仕事を神から 言われてやっているだけだから、 変な勘違いはしないでくれよ
それだけを伝えに来た。
じゃあな。
残りの時間、楽しめよ。
それっきり声はしなかった。
わたし
わたし
常夜灯のおかげで見慣れた自分の部屋だとわかった。
わたし
わたし
そう、悪い夢。
明日死ぬなんてありえない。
わたしにはまだ時間は……
じゃら
……なにこれ
自分を落ち着かせながらベットから起き上がろうとすると、
首になにかがぶら下がっている感覚があった。
見ると、懐中時計のようなものが首にかかっていた。
そこには『70』
と、表示されていた。
部屋の時計を見ると、まだ夜中の2時ぐらいだった。
わたし
さっきのことは本当のことなのだろう。
この時計に書かれているのは わたしに残されている時間ということなのだろうか。
わたし
もうわたしに未来はないなんて。
自分でも残酷だと思う。
だってさ、この歳だったら普通はみんなと遊んで、 部活して、青春して……
好きな人もいる。
たくさんやりたい事がある。 やらなくちゃいけないことがある。
3日で全部終わらせろだなんて。
わたし
せめて、せめて、絶対やらなきゃいけないこと。
わたし
幼馴染のあいつ。
颯太に気持ちを伝えたい。
ずっと心の中にしまってきた気持ち。
付き合えなくても、受け取ってほしいな……
わたし
颯太
やっぱり颯太はかっこいい。
いつもキラキラしてて、太陽みたい。
わたしが辛かった時も隣にいて支えてくれた。
あったかいポカポカした心で包んでくれた。
本人はこれをなんでもない事だと思ってるのが ムカつくけどね。
ついでにわたしのこともただの幼なじみって思ってるんだ。
そんな颯太が今日は様子がおかしい。
颯太
何かを言いたそうに口をモゴモゴさせている。
この時計のことかな……
あっ、これは他の人からは見えないんだった。
ついでに首から外すこともできない。
わたし
颯太
わたし
わたし
颯太はわたしのこと好きでもなんでもないんだから
告白でもないじゃん……?
えぇ、なんだろう。
自分から呼び出したくせに、 なかなか話そうとしない。
わたし
わたしが促すと、颯太は決心したように顔を上げて 口を開いた。
颯太
颯太
わたし
わたし
颯太
真っ直ぐにわたしを見つめてくる。
どうしよう、ここで全部言ってしまおうか?
颯太は何か知っている。
でも、わたしが3日後に死ぬ事を言ったら
どんな反応をするかわからない。
もし引かれたら告白するもクソもないもんな……
颯太
わたし
わたし
言ってから、
わたし
と、付け加えた。
颯太
颯太
わたし
わたし
ははっと乾いた自嘲的な笑いが思わず口から漏れた。
次々に友達の顔、家族の顔が頭の中に思い浮かぶ。
わたし
わたし
言ってしまった。
わたし
止まらない。
わたし
わたし
はぁ……とため息が出た。
わたし
わたし
気がつくと涙が頬を伝っていた。
わっ……
やばい、やばいやばいやばい
なに1人でベラベラ喋ってんのーーーー!!!!
あーもう引かれたひかれた もう死んだってどうでもいいわうん。
わたし
わたし
颯太
颯太
思ったより反応が薄くて拍子抜けしてしまった。
颯太
わたし
颯太
その瞬間、わたしは颯太に抱き寄せられた。
ちゅっ
わたし
もしかしてわたし、キスされたの……?
ぽわーっとして、頭が回らない。
颯太
肩を掴まれ、真正面から、 心なしか少し潤んでいる、きらきらとした目で見られる。
深い黒で、まつ毛で影がその瞳に落ちていて、 その目は世界で1番、綺麗だと思った。
熱っぽい視線で見つめられくらくらする。
颯太
ふっと颯太が目を逸らす。
颯太
颯太
颯太
わたし
色々理解ができなくて名前を呼ぶことしかできない。
颯太
わたし
わたし
わたしより 背の高い颯太に、目を見て伝える。
わたし
ぎゅうと抱きしめられる。
あったかい。あったかいよ。
今、この時が幸せだ。
ふわふわしてて、とてもあたたかい。
未来なんてもういいや。
わたしは颯太の胸に顔を押し付け、 今の幸せに浸っていた。
わたしは
本当に3日後に死んだ。
その時、部屋で正座をして、 今までのことを静かに振り返っていた。
「あの後」颯太は夢の中でわたしが 3日後に死ぬということを知ったらしい。
わたしは幸せだった。
目を閉じた時、 胸がギュウーーーっと痛みだした。
朦朧とする意識の中、
わたし
そう言って、わたしは意識を手放した。
やばいやばいやばい!!!
委員会で仕事してたら時間が……
教室に向かう。
廊下の曲がり角を曲がった
ドンッ
わたし
誰かとぶつかった。
やっぱ廊下を走るのはやめたほうがいいな……
思いつつ、とりあえず立ち上がろうとする。
が、足首に鈍い痛みが走り、立てなかった。
男子が手を差し出してくれる。
見上げると、目があった。
この瞳、どこかで……
相手側もそう思っていたようだ。
わたし
同じ階だから同じ学年ということはわかる。
その手をとった。 男子がぐっと引っ張ってくれる。
案の定、立ち上がるとズキっと足首が痛んだ。
支えられながら廊下を歩く。
わたし
わたし
いつの間にか保健室の前についていた。
わたし
わたし
わたし
ニコッと笑ったその笑顔が太陽みたいでかっこよかった。
今度学校の中で見かけたら話しかけようっと。
仲良くなれたらいいな……!
Fin