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ごめんなさい

初めて会った時のこむはまるで、子供が叱られたみたいに瞳に涙を貯めていた。

Ama.

えっと〜、

Ama.

君が...食い逃げをしようとした子?

子麦粉

く、食い逃げだなんて!!

子麦粉

そんな人聞きの悪い!!

この日は、店長不在の職場で、ちょっとしたトラブルが起きていた。

高校生くらいだろうか、

目の前の子、子麦粉が、支払いを済ませずに店を出ようとしたらしい。

困った同僚は、バイト歴の長い俺に判断を任せたらしい。

Ama.

財布はある?

子麦粉

ないです!!

Ama.

財布がないことには、いつ気づいたの?

子麦粉

最初から知ってましたよ!!

Ama.

えっと〜w

Ama.

最初から知ってたのに、ランチセットを頼んだの?w

子麦粉

はいっ!美味しかったです!!

Ama.

あぁw

Ama.

ありがとうw

Ama.

......じゃなくてね?w

Ama.

食べた後の支払いはどうするつもりだったの?w

子麦粉

食べ終わるまでは考えてませんでした!!

Ama.

うんw

Ama.

それを食い逃げっていうんだよ?w

子麦粉

......はっ!!

子麦粉

......完全に嵌められた、

子麦粉

誘導尋問だよ...これ......

こむは、再び悲しげな表情で俯く。

Ama.

(表情がコロコロ変わる子だな...w)

子麦粉

でも、まだここに居ます!!

Ama.

...ん?

子麦粉

逃げてないので!食い逃げでは無いですよね!

Ama.

それは屁理屈では...?w

子麦粉

うぅ...

Ama.

...まぁいいやw

Ama.

携帯で、家族に連絡取れる?w

子麦粉

携帯持ってないです!!

Ama.

あ、そうなんだ...w

Ama.

(困ったなぁ...w)

とはいえ、このまま返すのは、この子の為にも良くない気がする、

Ama.

とりあえず、

Ama.

この紙に住所と名前、書いてくれる?

Ama.

そしたら今日は帰っていいから。

決めつけるのはまだ早いかも知んないけど、

この子は、嘘の連絡先を書いてその場をやり過ごそうとするような子じゃない気がしてた。

こむは、しばらく考え込むと、紙に小さく文字を書き込んだ。

Ama.

子麦粉...さん?

Ama.

苗字だけ?

それ以外は何も書かれていない。

子麦粉

......

Ama.

(ほんとに困ったな......)

食い逃げをしたのが家族に知られるのは、流石に罰が悪いのかな、

それか、家族と連絡を取れない事情でもあるのかな、

家出してきたとか、

Ama.

(なんにせよ、むずい展開になってきたな、)

俺が困り果てていると、ちょうどいいタイミングで店長が帰ってきた。

俺は店長に事情を説明し、そのままこむの応対を任せることにした。

これが、俺とこむの出会いだった。

...あまさん?

気がつくと、麦が不安そうに俺の顔を覗き込んでいた。

Ama.

あ、ごめん、

俺は、麦を待ってる間に寝てたらしい。

活動での疲れが取れていないんじゃないですか?

大丈夫ですか?

Ama.

全然大丈夫だよ、

Ama.

そんなことより、今日はありがとう。

いえいえ、こちらこそありがとうございます!

Ama.

正直な話、

Ama.

今日は来てくれないんじゃないかって思った、

......どうしてですか?

Ama.

だって、冷静に考えたら、俺だいぶ怪しいし、

あはは...w

確かに...ww

でも、約束しましたからね!

約束はちゃんと守らなきゃ!

きっと、麦は誠実で素直な性格なんだろう、

Ama.

それじゃあ、早速始めるよ。

はいっ!

よろしくお願いします!!

麦はカバンからノートを取り出すと、俺に差し出す。

Ama.

......凄、

麦のノートには、現状面接を進めている企業や、業種などの詳細な情報が丁寧にまとめられていた。

Ama.

これだけ分かりやすく情報がまとめられて、

Ama.

変人の俺への応対も丁寧だったから、

Ama.

きっと面接も問題ないだろうし、

変人って、

迷惑YouTubeより酷くないですか?w

Ama.

(これじゃあ、俺の出る幕なんてないのでは...?)

俺は少しでも麦の力になれないかと、パラパラとノートをめくる。

『寿司屋 総合職 3次面接まで合格』

『電気屋 事務職 2次面接まで合格』

『雑貨屋 営業職 次が最終面接』

『食堂屋 総合職 3次面接まで合格』

『その他数種の営業の説明会に参加予定』

Ama.

なんて言うか...職種がバラバラだね...w

......?

そ、そうでしょうか?

Ama.

この中で、第1志望はどこなの?

だ、第1志望?

麦が首を傾げる。

......

そのまま、しばらく黙り込んでしまった。

考えが上手くまとまらない。

しっくりくる言葉が見つからない

麦から、そんな雰囲気を感じとれた。

Ama.

(もしかしたら、就活が上手くいかない理由って、)

Ama.

...麦さんはさ、

Ama.

自分のやりたい事とか、夢ってないの?

...やりたい事......

.........

キミのニセモノに恋をする。〜こむあまver.〜

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