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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

【鴉ノ刻 二鳴ノ時(午後8時)】 王宮内 マクスウェルが眉間に皺を寄せながら 自室に入るや、部屋の鍵をかける。

マクスウェル

さて…

保安官から回収した黒い表紙の魔導書 「イスハーク式 炎系元素 戦闘教本」 その表と裏を見ながら 自身の執務席に腰かける。 目を瞑り、深く呼吸を吸った後、魔導書の表紙に手を触れる。

マクスウェル

『深淵即ち裏と表…
汝、裏とするなれば…
表たるを写し示せ』

呪文を唱えると 手のひらから魔力の光が灯り 本の表紙に充てた。

すると、黒い表紙はみるみるうちに形を変え… 茶色の姿と共にそのタイトルを変化させる。

【若木御伽唄(おさなぎおとぎうた)】

その表紙にはハイス文字にてそう刻まれて…

マクスウェル

やはり…

その一言と共に席を立つや、部屋に備え付けられた水晶の元へ向かった。 初老を思わせる手のひらをかざすと水晶は青白い光が灯る…

グレイオス王

『どうした宰相』

青く光る水晶から聞こえる声 それは、ハイネリウス王 グレイオスのものだ

マクスウェル

念話にて失礼いたします陛下。

少々お伝えしたい事がございますれば…

しばしお時間よろしいでしょうか?

グレイオス王

『ふむ、折り入った話であるか…

承知した、申してみよ』

念話水晶越し マクスウェルが魔導書を見て口を開いた。

マクスウェル

数刻程前、客室の連なる階より魔力の残滓を感じ…

様子を見に向かったところ、転生者殿が法術使用による魔力失調を起こしておりました。

グレイオス王

『どういう事だ?』

マクスウェル

昼時、法術の教えを乞うべく賢人学団の研究室へ向かわれたようで

私の方で『若木ノ御伽唄』と呼ばれる魔法書をお貸したのですが…

結果故イスハーク卿の見出した
【着火セヨーファグニスー】
を使用したと…

グレイオス王

『いな待て…

若木ノ御伽唄は確か、子どもでも読み解ける簡単な呪文が数節書かれた魔法書であろう。

それがなぜ一級魔法師の扱う攻撃魔法を使うに至るか?

稚児の読み物に左様な呪文の記載はなかろう』

国王からの問いかけに目を瞑って数秒考え込んだあとマクスウェルが続ける。

マクスウェル

私も話を聞くのみにて、現場を見た訳ではありませんが…

転生者殿から魔法書を預かった折、若木ではなくイスハーク卿の残された軍令法術教本となっておりました。

グレイオス王

『…っ!』

その後、二人の間に沈黙が走る…

マクスウェル

陛下

グレイオス王

『マクスウェル。

余は昨日…

あの娘を召喚した折、其方(そなた)の下した「魔力の素養なし」との判断、然(しか)と耳にした。

二言はあるまいな?』

マクスウェル

もちろんでございます

グレイオス王

『で、あるならば…

己が如何(いか)に
荒唐無稽(こうとうむけい)なるを語っておるかもわかっておろう?』

マクスウェル

そちらも平に

グレイオス王

『そなたには勝てぬとも、余もまた法術に至っては多少なりは心得があるつもりよ。

故にその言葉には違和感を禁じえぬ。

マクスウェル、其方は…』

グレイオス王

『かの娘が

「反転文律」

によって魔導書の裏を暴き出したと申すか?』

マクスウェルが、再び目を瞑るや小さく息を吸い込む

マクスウェル

…陛下、私もこの国の魔力探究を担うものとしての覚悟がございます。

故に、転生者殿に魔導書をお貸しした際…

細心の注意は払ってございますれば、決して誤った側を渡すなど致しません。

グレイオス王

『うむ…』

マクスウェル

加え…

魔導書から感じた魔力の残滓、そして転生者殿の部屋に漂った魔力…

双方とも一致しておられました。

なればこそ、幼いながら反転文律を成し遂げた…

そう判断せざるを得ません

グレイオス王

『……』

水晶の向こう側… 国王が思いに老ける吐息を漏らしていた。

グレイオス王

『であるならば…

あの娘に対する考えを改めねばならぬということになるか…』

マクスウェル

はい。

私の五感をもってしても見抜けぬほどの素養と素性を隠し持つあの者…

もしや、敵の恐れもございます。

次の瞬間、その男の目には柔らかい雰囲気を根底から覆す程に鋭い殺気が宿る。

マクスウェル

それ故、早急に手を打つことも考えるべきかと…

グレイオス王

『…』

宰相から聞いた静かなる冷酷さを孕んだその声を耳にしたグレイオス王。 彼等はそれこそ若かりし頃から共にあり それ故にマクスウェルの微妙な変化を悟るのは容易いことであった…

グレイオス王

『…必要とあらばそうせねばならぬ。

が、まだ答えを急くべきでは無い。

明日、余も今1度かの娘と見えよう…』

マクスウェル

「っ!

しかし、如何様な危険を隠し持つともしれぬものに近づく等危険が過ぎます!」

グレイオス王

『まだ敵と決まったわけでもなかろう?

それにな、例え何かを隠し持っている敵であろうと…
魔物魔人の類いでなくば…

言葉を介せる者である以上説く機とてあろう?』

マクスウェル

…しかし!

グレイオス王

『ふむ、今宵はヤケに剣呑としておるな?

よもやかかつての様な沙汰にならんことを憂いておるか?』

マクスウェル

むん!当然にございます!

あの時はお妃様のお力添えもってしても1歩違えれば危うくございました!

このような齢になってまで気を揉むの御免でございます!

グレイオス王

『ぐぬ…

時折シェナからも嬉々と言葉にて刺されるがな…

それはもう堪忍せよと申したであろうよ…🌀』

マクスウェル

それだけ陛下の身を案じるが故でございます。

他にも

グレイオス王

『ま、まぁ良いでは無いか!』

マクスウェル

よくありません!

此度も万が一ということがあればどうなさるおつもりです!

グレイオス王

『もし万が一があろうと、余には心強い魔法士を始め今尚も剛剣を振るう戦士や死者すらも叩き起す祈祷士という懐刀がおる。』

マクスウェル

「む…」

グレイオス王

『余の言葉…
相違はあるか?』

マクスウェル

「…」

水晶越しに、その賢者は 呆れ混じりの笑みを零した

マクスウェル

全く…若には敵いません

グレイオス王

『ぬははは。
斯様な状況ではあるが余ももう歳だ。
若はよせマクス』

2人のそんなやり取りを経たのか、空気が穏やかなものになった。

グレイオス王

『さて…

如何様であろうとも一度見定めるべきは決まった。

魔力宰相、もしも万にひとつがあれば頼むぞ?』

マクスウェル

かしこまりました。

お時間いただき、感謝申し上げます。

グレイオス王との念話を終え、気だるそうな表情を浮かべた。

そうして 窓越しに備え付けられている揺れ椅子に腰掛けると同時 額に手を当てたマクスウェルがつぶやく…

マクスウェル

さて…我々が此度招き入れたのは敵か…

直後、額を触る手を始め身体に変化が現れる…

マクスウェル?

或いは味方か…

口を零して、窓の外に広がる夜空をながめた。

宰相及び、国王がそんなやり取りをしている一方…

保安官

…グゥ…Zzz...

エレノア

あぁぁ…!

ほらまだご飯残ってるわよ💦

ミランダ

うわぁ…

薄目開いてる…

朝は普通だったけどおチビちゃん薄め開けるタイプなのか…

肉体年齢凡そ7.8歳と推定された どっかの元西部のガンマンは 少女がしてはならない表情のまま… 3人で囲う食卓の椅子にて スプーンを握りながら 鼻ちょうちんをふくらませていた…

ガンマンフール・リンカーネーション

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