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読んだあとに皆様が考えるだろう事↓ 「2人はどうなるんだろう」 「これは大人ロマンスだろうか?」 すみませんごめんなさい非リアは全力を出しました🙇 そして拘った事は、作中で「酩酊」を1回も使わなかった事と、冒頭の【ご報告】を140字以内におさめた事です✨ 読んでくださりありがとうございました❗
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#ファンタジー
【ご報告】 やっと糞旦那と縁を切りました。「え、俺が悪いの」「ふざけんな」等々逆ギレフルコースを披露してくれました。バイバイ旦那。独りよがりコース料理に舌鼓を打ってくれる次の人、見つかるといいね。
おめでとうございます😭😭 そんな最低男、別れて正解⭕ 貴方は悪くない🙆
わ~~おめでとうございます👏👏 ようやく新たな一歩が踏み出せますね😊 何かあったらいつでも相談に乗りますよ😊本当におめでとうございます👏✨
おれ絵美子ちゃんとケッコンする
___親どうしが仲良しで、家も近くて、私達は小さい時から一緒に遊んでいた。
オムツの時からの仲だ。 はじめて「結婚」と言う言葉を知った時、お互い無邪気に言い交わした。
「絵美子ちゃんとケッコンする」「まーくんとケッコンする」 責任も自立も挫折も知らない幼子の
何の効力も無い指切り。きっと明日になったら忘れてる。
事実、翌日になると きれいさっぱり忘れていた。 でも消えて無くなったわけじゃなく、毎秒毎秒蓄積される思い出達に埋もれて見えなくなっただけなんだ
__そう気づいたのは、まーくんが引っ越して行った時だった。
____1年の時からずっと同じクラス、なんて漫画の中だけだ。 私とまーくんは2年のクラス替えで別々のクラスになった。
クラスが離れても仲良く、なんて大人の幻想だ。 子供から見たら教室なんて檻でしかない。コミュニティはその中で作らないと生き残れない。
教科書を忘れても、習字セットを忘れても、まーくんが私の所に借りに来る事も無かったし逆も無かった。
私は少女向け雑誌を囲みながら皆で きゃーきゃー言うのがその時一番楽しかったし、まーくんは炎天下でも校庭で走り回るのが一番楽しいんだろう。
そんな物だ。
だけどまーくんの引っ越し当日。 まーくん一家が私の家に挨拶に来た時、
久しぶりにまーくんを直視した時、あの指切りを思い出した。
まーくんの笑顔。手の温もり。鳥の泣き声。風の匂い。 鮮明すぎるほど鮮明で驚いた。
覚えたての下手くそなメイクを施した顔で呆けている私に、
付け根に黒子(ほくろ)がある小指を中途半端に掲げて、でもすぐポケットに逃げて まーくんはただ1言告げた。
「元気でな」
日焼けした顔。低くなりつつある声。 ただその笑みの形は、あの日のそれと完璧に一致していた。
あの日から まーくんに会ってない。
別に会おうとは思わない。そんな物だ。
__がむしゃらに仕事を頑張ってたら隼のように過ぎ去った20代。次々とケッコンしていく同級生達。
____悲観も焦りも、充足感も無かった。
そんな物だ。 私の人生「そんな物」だ。
だけどどうしてだろう。
あの日の指切りが、最近頻繁に鎌首をもたげる。私の思考を止める。
そして小学校の同窓会でピークを迎えた。
同窓会の席で、不意にまーくんの名前が出た。 再生される指切り。
考えるより早く、どもりながら まーくんのその後を訊ねていた。
「どしたの絵美子。必死になって」 「そっか あんた達幼なじみか………え、じゃ知ってるはずだけど…ま**くん
ケッコンしたんだよ」
遅すぎた。 何もかも遅すぎた。
いや違う。私はずっと知らないフリをしていた。
まーくんが引っ越した日、まーくんが完全に手の届かない所に行ってしまった日から ずっと、ずっとそうだった。
怖かった。だから会おうとしなかった。 ……でもそうか。やっぱりそうか
あの指切りはやはり飯事(ままごと)の設定みたいな物だったんだ。 いやたぶんもう 記憶にすら残っていないだろう。
そんな物だ。 いつまでも覚えてる私が馬鹿なんだ。
忘れよう。
同窓会は抜け出した。
酔いたい気分だ。 今夜は溺れよう。
1人沈む酒の海。……いや違う。
隣に座る男性は私と同い年くらいか。
1人沈む酒の海。……いや違う。
隣に座る女性は俺と同い年くらいか。
男性の 小指の付け根に黒子が見えるのは気のせいだろうか。
女性の うなじに黒子が見えるのは気のせいだろうか。
だけど別にどうだっていい。今日は酔いたい気分だ。
1人だろうが2人だろうが
今日は溺れると決めた。
走る事は好きだ。昔よく一緒に遊んだ人に褒められたから。
この町で一番速いんじゃない? そう言われて舞い上がった物だ。
分不相応な夢を抱き、中学のころ陸上強豪校に転校した。
見事に井の中の蛙。 中2の冬に足を負傷して、そのまま見切りを付けた。
普通科の高校、大学、就職。特筆すべき所は無い、地べたを這いずり回る働き蟻。
人はこれを「堕ちた」と言う。 違う、俺は幸せだ。今の暮らしが幸せだ。
結婚した。
幸せな家庭が築けると思っていた。 ほら見ろ俺は堕ちてない、とどこかの誰かに証明出来ると思っていた。
___料理も、掃除も何もかも俺任せ。 でも仕方ない、大企業勤めの妻は俺より稼いでる。
だから仕方ない。 家計は妻が握ってて昼飯がコーンスープだけでも、「低収入なんだから」と言われるのも仕方ないんだ。
首を縦に振らなかったら「低収入のくせに」と喚かれるのも仕方ないんだ。
ある日何かのきっかけで、いや職場の後輩が持って来たんだっか、
SNSでとある愚痴垢を見つけた。
「低収入を口癖に、肉体的にも精神的にも追い詰められてます」。 非難のマトの「糞旦那」。
……………俺の事?
妻が俺にした事は、俺が妻にした事になり、俺の知らない所で俺は悪者になっていた。
…シカタナイ。だって妻の方が稼いでる。シカタナイ、シカタ……
仕方ない?
___離婚した。
妻による逆ギレのフルコース。そして始まる悲劇のヒロインごっこ。
不意に唐突に突然に __一番早いと褒めてくれた幼なじみを思い出した。
小学校の同窓会の案内が来た。旧友との再会。妻の事はもう忘れよ___
「正輝(まさき) 離婚したんだって?」 「タイヘンだなお前も」
…そうかたぶんSNSの事も知ってるな。 そうか、俺は同情するフリして見下されてんだ。
仕方ないと言い聞かせ、幸せだと虚勢を張って、俺は一体何を得た?
人はこれを「堕ちた」と言う。
どうして同窓会なんて来てしまったんだろう。俺は何を求めてたんだろう。
走ってばっかりの俺を知る小学校の奴らからの「凄かったね」か? …………虚しい。
いや違う。
単純に幼なじみに会いたかった。
昔よく一緒に遊んだ、うなじに黒子(ほくろ)がある、他愛も無い指切りをした幼なじみに。
絵美子ちゃんに。
「絵美子?……あれ、さっきまでいたのに…どこ行ったんだろ。それより 正輝くん、SNSのアレ、本当?」
____そらそうか。漫画みたいな事なんて起こらない。大体今さら会ってどうするってんだ。
でも 見切りは付ける。
もう我慢しない虚勢は張らない。 愛想笑いを貼り付かせながら頭を掻いたりしない。
さようなら 切り取り編集加工 エフェクトだらけの生活。
同窓会は抜け出した。
酔いたい気分だ。 今夜は溺れよう。