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カップル撲滅委員会

6 - カップル撲滅委員会 ~追及~

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2020年08月22日

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五十川 九十九(いかがわ つくも)

も、もしもし!?

三条町 燦(さんじょうまち さん)

『あれ、どったの~?』

 電話口から緩い声が聞こえてきた。

 第三の彼女(勿論、登場順)三条町 燦(さんじょうまち さん)である。

 派手なギャル風の見た目だが、脳天気で抜けている雰囲気がある子である。

 学年は一年生。クラスも一緒で、高校に入って最初に出来た彼女だ。

五十川 九十九(いかがわ つくも)

燦、元気か?

三条町 燦(さんじょうまち さん)

『ん~、元気だよ~。どうかしたん~?』

五十川 九十九(いかがわ つくも)

……いや、別に。何でも

 先程の霞との電話で、安否が心配になったのだ。

 霞にあんな一面があるとは知らなかったが、明らかに異常だ。

 他の彼女の身を案ずるのは、当然の事だろう。

五十川 九十九(いかがわ つくも)

何か、変な事なかったか?

三条町 燦(さんじょうまち さん)

『ん~? ないよ~』

五十川 九十九(いかがわ つくも)

そ、そっか。よかった

三条町 燦(さんじょうまち さん)

『てか~、つーちゃんこそ、何かあった?』

五十川 九十九(いかがわ つくも)

……え?

 心臓が跳ねた。

 霞のことが思い起こされ、嫌な汗が背を伝う。

五十川 九十九(いかがわ つくも)

い、いや、何もないって。何も……

三条町 燦(さんじょうまち さん)

『そか~、つーちゃん』

五十川 九十九(いかがわ つくも)

何だ?

三条町 燦(さんじょうまち さん)

『今日は、嘘が下手だね』

五十川 九十九(いかがわ つくも)

…………………………は?

 突然、声のトーンが三つは落ちた。

 聞いた事もない、燦の、冷たい声。

三条町 燦(さんじょうまち さん)

『つーちゃん、燦に言うこと、あるっしょ?』

五十川 九十九(いかがわ つくも)

……な、何の、事だ?

 締め付けるような、縛るような口調。

 蛇に睨まれたように、動けなくなる。

三条町 燦(さんじょうまち さん)

『つーちゃん』

五十川 九十九(いかがわ つくも)

な、何だ?

三条町 燦(さんじょうまち さん)

『浮気、してるでしょ?』

五十川 九十九(いかがわ つくも)

………………

三条町 燦(さんじょうまち さん)

『知ってるんだよ~、燦ね、つーちゃんが、浮気してる事』

五十川 九十九(いかがわ つくも)

さ、燦? 何言って、

三条町 燦(さんじょうまち さん)

『見たんだよ!!!』

五十川 九十九(いかがわ つくも)

っっっ!?

 それは、聞いた事もない声だった。

 俺は、燦が声を荒げるのを、初めて見た。

三条町 燦(さんじょうまち さん)

『つーちゃんがあの女と一緒にいるところ』

五十川 九十九(いかがわ つくも)

あの女?

 それは、愛の事か? 霞のことか?

三条町 燦(さんじょうまち さん)

『つーちゃん、燦には見せない顔してた。本当に幸せそうな顔してた。そして、燦にはしてくれないのに、外で、キスしてた――』

五十川 九十九(いかがわ つくも)

………………何、だって?

 そんな、

 そんな事は、あり得ない。

 だって俺は、TPOを弁える男だ。

 彼女とは、外でそんな事はしない。

五十川 九十九(いかがわ つくも)

な、なあ、燦。それはきっと誤解だ。間違いだ。だから、

三条町 燦(さんじょうまち さん)

『興奮した!!!』

五十川 九十九(いかがわ つくも)

…………………………はい?

 え~っと、燦さん?

 今、何と?

三条町 燦(さんじょうまち さん)

『興奮した興奮した興奮した!』

五十川 九十九(いかがわ つくも)

ちょ、え? 何?

三条町 燦(さんじょうまち さん)

『つーちゃん、燦ね、自分でも気付いてなかったんだけどね、NTR(ネトラレ)属性っっぽい!』

五十川 九十九(いかがわ つくも)

え、え~~~……

三条町 燦(さんじょうまち さん)

『今までずっと、何か物足りない気がしてたんだよね~~~。まさかこんなオチなんてね。テへ☆』

 ――ブチッ。

 電話を切った。

 これ以上は聞いていられなかった為、強制終了だ。

五十川 九十九(いかがわ つくも)

…………
……………………

……………………ヤバいな

 主に俺の彼女達がヤバい。

 性癖的な意味で。

 人間って、意外な一面があるんだね☆

五十川 九十九(いかがわ つくも)

あはははははっ……

 って、笑うところじゃねえ!

 怖いわっ!

 普通に怖いわっ!

 付き合いを見直すレベルって言うか、今すぐ撤回したい!

五十川 九十九(いかがわ つくも)

…………ん?

 手の中でスマホが震えていた。

 どうやら着信のようだ。

五十川 九十九(いかがわ つくも)

……愛?

 第一の彼女、一ノ瀬 愛からの着信だった。

五十川 九十九(いかがわ つくも)

もしもし?

 俺の心は疲弊していた。

 霞と燦の一件で、それはもう疲弊していた。

 だから、癒やしを求めて愛からの電話を取ったのだが、

一ノ瀬 愛(いちのせ あい)

『つくちゃん、わたし妊娠したみたいな――、』

 ――ブツッ。

 通話終了。

 ちなみに、愛と性交渉をした記憶はない。

五十川 九十九(いかがわ つくも)

ふう……

 全☆滅!

 彼女全員ヤバい奴だったー!

 やはり、不純な動機で彼女なんて作るものではなかったらしい。

五十川 九十九(いかがわ つくも)

全部あいつのせいだ………………
 ……って、あれ?

 何かが、引っ掛かった。

 ただただ恐怖でしかなかった、彼女三人とのやりとり。

 もはや、誰が俺の情報をリークした犯人だったかなんて、どうでもいい。

 誰が犯人だったところで、意味はない。

 犯人を見つけて交渉するつもりだったが、一人として交渉の余地がないほどに狂っている。

 だから、そこじゃない。

 今解明すべき謎は、犯人などではなく――、

――そういう、ことか

 日本一有名な名探偵の孫ならば、こう言っていたことだろう。

 謎は全て解けた、と。

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