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瑞桜 # テスト期間中
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テレビ局の地下廊下は、 いつもならスタッフの足音や機材を 運ぶ台車の音で騒がしいはずだった。
陽
大型特番の収録を終えたばかりの楽屋に、 陽の弾けた声が響く。 いつも通りの、周囲をパッと明るくする 太陽のような笑顔。
赫
と赫が手を振り返し, 黄と瑞ソファでスマホを見つめたまま 「ういー」「おつかれー」と 気の抜けた声を返す。
青と白は衣装の片付けに追われていて, 振り返りざまに小さく手を振った。
誰もが,それがいつも通りの ありふれた日常の一コマだと 信じて疑っていなかった。
茸
陽の後を追うようにして, 茸が慌てて楽屋を飛び出す。
茸
陽
並んで歩く二人の背中を, 楽屋のドアの閉まる音が見送る。
図らずもそれが,残された五人が見た 最後の二人の姿だった。
他愛のない仕事の話をしながら, 二人はエレベーターホールへ向かう角を 曲がった。 その瞬間だった。
茸
茸の足が、ピタリと止まる。 鼓膜に、奇妙な圧迫感が走った
さっきまで聞こえていた遠くの話し声も, 空調の微かな稼働音も,すべてが嘘のように 消え失せている。 世界から音が一切掠め取られたような, 不自然極まりない,完全な静寂。
茸
茸が声を潜めて陽の袖を引いたとき, 二人の背後にある非常階段の扉が, 音もなく開いた。
現れたのは、三人。 全員が防護服のような, 異様なほど無機質な白い衣装を纏い, 顔を完全に隠している。
陽
陽の顔から一瞬で笑顔が消えた。 本能的な危機を察知し,瞬時に茸を 背中に組み伏せるようにしてかばう。
しかし、白い服の男たちは一言も発しない。 ただ淡々と,機械的な動作で 小銃のような形状の器具を二人に向けた。
シュー.と短い排気音が響く。 無色無臭の気体が,一瞬にして二人の視界を 覆った。
陽
陽の膝から、急激に力が抜ける。 持ち前の高い身体能力で なおも踏みとどまろうとするが, 脳が強制的にシャットダウン されていく感覚には抗えない。 倒れ込んでいく陽の身体を, 男たちが冷酷に受け止める。
茸
茸が叫ぼうとした瞬間。 首筋に鋭い注射針の痛みが走った。 熱い液体が脳を駆け巡り, 意識が急速に泥の中へと沈んでいく。
コト.と軽い音を立てて, 二人のスマートフォンが床に転がった。
暗転していく茸の視界の隅で, 画面が虚しく明滅している。
『マネージャー:車,地下駐車場に止めてます。 いつでもどうぞ』
わずか数分。 防犯カメラの映像すらリアルタイムで 書き換えられたその廊下から, 二人の姿は,煙のように完全に消え去った。
赫
数時間後。 楽屋に残っていた赫から,絶望的な声が漏れた。
次の現場に,陽も茸も現れなかった。 マネージャーがどれだけ電話をかけても, 二人の端末は電波の届かない場所にある というアナウンスを繰り返すばかり。
翌日,事務所の社長から告げられた事実は, さらに五人を戦慄させた。
『二人の被害届は、受理されなかった。 ……警察の上層部から、国家安全保障上の理由で捜査を全面的に凍結すると命令が出たそうだ』
黄
黄が机を激しく叩く。 瑞は信じられないといった様子で頭を抱え, 白と青は青ざめた顔で互いを見合わせた。
赫
赫
赫は拳を血が滲むほど強く握りしめる。
警察すら手を出せない,国家の闇。 ただの誘拐事件ではない。 自分たちの手が届かないほど巨大で, 冷酷な何かが二人を連れ去ったのだ。
公式には 「二人の深刻な体調不良による無期限の活動休止」 と発表されることが決まった。 しかし世間やファンからは, 当然のように不信感と憶測の嵐が 巻き起こるだろう。
けれど,残された五人の瞳には 絶望だけではない,昏い炎が灯っていた。
赫
赫が静かに,しかし断固とした声で言った。
赫
赫
外の世界で,残されたメンバーたちの 決死の戦いが始まる。
その時,拉致された陽と茸が 存在しないはずの地下施設『Fable』の 白い部屋で,初めての「プログラミング」を 流し込まれようとしていることを, 彼らはまだ誰も知らなかった。
コメント
1件
うわ、まさかこんな形で拉致されるとは…。楽屋の和やかな雰囲気から一転、あっという間に日常が切り裂かれる不気味さが半端なかったです。特に「音が消える」感覚の描写がリアルで、背筋が冷えました。陽が無意識に茸をかばう動きとか、チームの絆がにじんでて泣ける…。最後の「プログラミング」というワード、何をされるんだろう。残されたメンバーの決意も熱いし、続きが気になりすぎます!