るいの
ねえなんで!やだ!
蒼
そういうところが苦手なんだよ
るいの
そういうところってなに!?
るいの
いつもと一緒じゃん!
リビングで派手に言い合っているのはるいのと蒼
一応2人は付き合っている
いや、正しく言えば、付き合っていた
何故なら、彼らは別れ話の真っ最中だから...
蒼
今のるいのは前と違う
蒼
前のるいのはもうちょっと落ち着いてたよ
るいの
やだ!前の僕ってなんなの!
るいの
僕は僕でしょ!
蒼
とりあえずもう無理
るいの
......いよ...
蒼
え?
るいの
もういいよ...
フラフラとした足取りでるいのは台所へ向かう
蒼
るいの?
蒼が呼び掛けるも、聞こえていないのか、反応がない
るいの
蒼が僕から離れるって言うならそれを止めればいい...
蒼
るい...の...?
蒼は異変を感じ、るいのから距離を取ろうと後退りするが...
ゴンッ
蒼
!!
台所から包丁が飛んできた
るいのが投げたのだ
蒼
るいの、危ないから──
蒼の呼び掛けも虚しく、るいのは包丁を持って台所から出てきた
蒼
るいの...誰かっ...
助けを求めようと辺りを見渡すが、その場にいるのはるいのと蒼だけ
蒼
どうしたらっ...
蒼がそう戸惑っている間にも、るいのはジリジリと近付いてくる
蒼
るいの、お願いだから止めて...
るいの
止めて...?
るいの
僕がやだって言っても考え直してくれなかったのに?
蒼
それはっ......
るいの
......1回だけチャンスをあげる
るいの
僕と別れるの、考え直してくれる?
るいの
それとも...無理?
蒼
っ......
蒼がどう答えようか迷っているのを、るいのは薄ら笑いで眺めている
蒼
(どちらを選んでも嫌な予感しかしない...)
蒼
(だったら...)
蒼は玄関へ向かおうとするが──
ガチャッ、ガチャガチャッ
蒼
っ...!
るいの
無駄だよ、鍵かけたもん
るいの
逃げるってことは、考え直してくれないって事だね...
蒼
っ...
蒼が最後に見た光景は、るいのが包丁を高く振りかざすところだった──