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悠真

…えー、先程ご紹介に預かりました

悠真

3年A組、後藤瑛太の父、悠真です

悠真

3年生の皆さん、この度はご卒業おめでとうございます

悠真

そして在校生、先生方、来賓の方々もお祝いありがとうございます

悠真

…そしてこの機会を設けていただいた事、感謝いたします

悠真

今回特別に、生徒ではなく保護者の私が答辞を述べさせていただきます。

悠真

本来ならば息子、瑛太も皆さんと一緒に卒業するはずでした

悠真

…しかし不慮の事故で帰らぬ者となってしまい

悠真

皆さんと一緒に明るい学園生活を全うする事は叶いませんでした

悠真

悠真

…息子もさぞや楽しかったのでしょう

悠真

昼飯の時に毎日のように

悠真

泥や虫を後乗せした、友達特製の創作料理を振る舞われる事も

悠真

便所に行く時は、真冬でも構わず水遊びに興じさせてもらって風邪をひいたことも

悠真

私に遺してくれた手紙にしっかりと、みんなとの思い出が全部したためられていたのですから

悠真

いつも登校に使ってる電車の前に飛び込んだのも

悠真

そんな仲間に囲まれて、とても学校に行くことが楽しみだったから

悠真

早く電車に乗りたくて、停止を待てなかったからなのでしょうね?

悠真

それでも優しい先生方は、生徒と自分たちを守る為に

悠真

瑛太が勉強が追いついていない事に悩んでいて、自死はそれが原因だと口裏を合わせて主張した

悠真

来賓の方々含め、教育委員会も見猿聞か猿がお得意とみえる

悠真

息子の死は見事に、勉強のノイローゼと気付くことのできなかった私たち家族のせいになった。

悠真

だのにいけしゃあしゃあと、先程瑛太の名前も呼んで「くれる」という演出を入れる辺り

悠真

学校側の配慮アピールのしたり顔が浮かんで、薄ら寒くて涙が出てきそうでしたよ

悠真

…高瀬羅敏(ロビン)

悠真

山尾峰騾馬(ミネルバ)

悠真

柳本是明日(ゼウス)

悠真

瑛太と特に「仲が良かった」様ですね。

悠真

そんなふざけた名前をつける辺り、品性の欠片もない親に育てられたのでしょう、可哀想な事だ

悠真

悠真

何するんだ!まだ話は終わってない!

悠真

…『生徒の将来』!?

悠真

瑛太から将来を奪ったお前らにそんな事ほざく資格はない、離せ!

悠真

悠真

さて、なんの話だったでしょうか

悠真

ああ、瑛太の親友の話でしたね

悠真

息子と仲良くしていたお礼として

悠真

SNSで実名と顔を、息子の手紙と共に投稿させていただきました

悠真

息子を踏み躙った存在は生徒、学校、センセイ方、みんな許すわけがない

悠真

皆様方の今後の暗い旅路を祈りつつ、答辞を締めさせていただきます

悠真

ご静聴ありがとうございました

#TELLER文芸部 あかいとまとさん案

テーマ:式 追加お題:「呪い」(のろい、まじない)

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コメント

8

ユーザー

皮肉の効いた物語でスカッとしました!いじめという現代問題をこのように表現するという発想はありませんでした...!

ユーザー

ストーリーが進んでいくにつれて、序盤で父親の発した「不慮の事故」がとてつもない皮肉だったとわかります。 人を呪わば穴二つ、のように「いじめ」という呪いは加害者や傍観者たちへとてつもない怨みと社会的責任という形になって返っていくのだろうと感じさせました。

ユーザー

父親の怒りが伝わってきますね。個性的な名前なので、SNSでの実名公開は大きな復讐になったと思います。

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