小悪魔エンジェル

⚠︎ 緑黄 ケーキバース、受け優位

ｶﾞｺﾝｯ

靴箱からローファーを取り出し、上履きを入れた。

自分で言うのもあれだが、俺はすごく恵められていると思う。

人間関係で問題は無いし、成績も上位、モデルにスカウトしてもらえるほど良い容姿を両親から与えられた。

だけど、一つ大きな欠点がある。

それは、俺が『フォーク』であるということ。

発覚したのは中学の頃で、当時の絶望感は凄まじかった。

『ケーキ』の人は匂いでわかるから、極力近づかないようにしている。

ﾋﾟﾛﾝｯ

スマホから振動と共に音が鳴る。

「はやく来い」とのこと。

こっちは学生なんだからちょっとは気遣ってほしいものだ。

後ろを振り返ると、反対側の靴箱に綺麗な顔をした金髪の男が立っていた。

あんな綺麗な人いたっけ、…？

目が合ってしまい、少し気まずくなる。

こんな綺麗な人に言われるとなんだか照れ臭い。

見たことないからてっきり先輩かと思った…

なんだか掴みにくい人だな… そんなことを考えていると、みこちゃんがローファーを鳴らしながら近寄って来た。

…ふわっ、

甘い香り…

今までに嗅いだ中で一番…

ペラ、と制服を捲りお腹を見せてくる。

みこちゃんはそのままクスクスと笑いながら玄関を出て行った。

なんなんだアイツ…！

この厳しそうな人はマネージャーのいるまちゃん。

見た目は怖そうだけど、実は優しくて可愛い物が好き。

この人はメイクさんのらんらん。 見ての通り、かなりの真面目さん。

らんらんが最後に俺の唇に口紅を塗った。

カメラマンのこさめちゃんが元気よく声を張り上げる。

それと共にカシャッ、というシャッター音が響いた。

もう1人のカメラマンであるひまちゃんがこさめちゃんを軽く叩いた。

あんなんだけど凄い仲良しなんだよ。

可愛いよね笑

その後も何枚か写真を撮って仕事終了。

ｶﾞｺﾝｯ

靴箱から上履きを取り出し、ローファーを入れる。

上履きをしっかり履き、顔を上げた。

顔を上げると、誰かに顔面からぶつかってしまった。

それと同時に甘い香りに包まれる。

この匂いは…

綺麗な瞳を細めて笑うみこちゃん。

精一杯睨むが、まるで効いていなさそう。

むしろ楽しそうにニヤニヤしている。

突然後ろから抱き着かれた。

この人が…？ たしかに顔だけ見れば天使みたいだけど…

…はい？

…

友達は笑顔で手を振りながら教室へ向かって行った。

そう言って俺の服を掴んでくる。

ｸﾞｲｯ

俺はみこちゃんのネクタイを掴んで引き寄せた。

ﾊﾟｯ…