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うっすら開いた目が、少し明るいカーテンをぼんやりと捉える。
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確認した時間は、いつもより一時間程早かった
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頬を撫でる朝の部屋の冷気は日に日に鋭くなっていて、
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あの「冬」が来るのかと思う気持ちと
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去っていった夏を惜しむ気持ちが起床する気力などすぐに奪い、私は寝返りを打つと再びまどろみの中に入っていった。
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その体育館(のような所)は証明はついてなく、斜めに差し込む昼の光が私の足元に台形を作り、光によって浮かび上がった埃が空間を切り取っているように見えた
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私は切り取られた空間の前に立ち、ただぼんやりと眺めていた
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気づけば何人か人がいた
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小学生くらいの子供たちが走り回っているが顔はよく見えない
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体育館の中心には大きな円形のマットがあり、そこに「彼女」は座っていた
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私は隣に座ろうとして、想像以上に柔らかいマットに飲み込まれた。
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見えなかったものの、彼女が少し微笑んだ気がした。
彼女
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座り直して向き合うとすぐそこに顔があって…
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でも不思議と緊張しない。
「彼女」が生きてそこにいるような、
「彼女」が生きてそこにいるような、
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かといって手を伸ばせば、触れる直前にどこかに消えてしまいそうな…そんな感じがした。