運転しながら、佐久間は助手席に目を向けた。 連れの風丸は上機嫌である。
風丸
スゲーありがとな佐久間
佐久間
おまえが気に入ったならよかったよ
二人が仲むつまじげに笑みを交わしあったとき、ドコンっ、と 鈍い衝撃が尻を突き上げた。急にハンドルを取られ、クルマが蛇行する。 佐久間は、しまったという顔をして、なんとかハンドルを操作し、黄昏の山道の端にクルマを寄せた。運転席から降りて身をかがめてみれば、嫌な予感が当たって、左の前輪がパンクしていた。
風丸
こんなときにどうするんだ佐久間!
とたんに風丸が心配そうな声を上げる。佐久間は助けを呼ぼうと携帯電話に手を伸ばしたが、人里離れた山道で電波が入ってこなかった。
佐久間
これは、、、電波が届くとこまで歩くしかないかな、、、
佐久間のつぶやきに、風丸がますます心配そうに見ていた。 しかし、実際、ほかに方法はない。重いスポーツバッグをひとつずつ肩にかけ、二人は薄暗い山道を下り始めた。
風丸
疲れたー
佐久間
もうちょっとだよ!
風丸
もうちょっと?やったーーー
佐久間
(*´Д`)ハァハァ着いたー
風丸
いえーい!
佐久間
お疲れ
風丸
うんお疲れ様
続く