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ハルノ
サエ、ちょっとお願いがあって...
サエ
どうしたの？
ハルノ
今日、ちょっと体育で指、ケガしちゃってさ
ハルノ
あんまり、重いもの運べないの
ハルノ
サエにだいたいの仕事他のんじゃんと思うんだけど、いいかな？
サエ
うん、大丈夫だよ
サエ
安静にしといた方が、治りも速くなると思うし
ハルノ
ありがとう！サエ！
サエ
うん
サエ
そしたら、ドリンク作りとか、ボール出すのとか、私先行って済ませておくよ
ハルノ
本当に、ありがとう！
サエ
いいよ～困った時はなんでも言ってね
～授業後～
サエ
ルイ君、ちょっとお願いがあるんだけど、いい？
ルイ
うん、どうしたの？
サエ
あのね、ハルノが体育で腕怪我したらしくて、重いものあんまり持てないんだって
サエ
私、家反対方向だけど手伝おうと思ったんだ
サエ
でも、今日部活のマネージャーの仕事、力仕事は私1人でやらなきゃいけないから
サエ
ハルノ待たせるの悪いな、と思って
サエ
ルイ君、駅まででいいからハルノのこと、送ってあげてくれないかな？
ルイ
いつも頑張ってくれてるマネージャーからのお願いだから、そんなことわれるわけないよ
ルイ
了解した！
サエ
ありがとうね～そう言ってくれると思ったよ！
ルイ
あのさ、余計な事だったらスルーしてくれていいんだけど...
サエ
え？なあに？
ルイ
ハルノの態度とか、最近気になることある？
サエ
え？特にないけど...どうしたの？いきなり
ルイ
いや、ないならいいんだ！何でもない！忘れて
ルイ
じゃあ、あとでね～
～翌日の部活後～
サエ
ハルノ、今日、ドリンク渡すと時さ、なんで「私が作っておいたって言ったの？」
サエ
私が早めに行って準備しておいたやつだよね？
ハルノ
そんな細かいこと、気にしなくていいじゃん
サエ
は？
サエ
細かいこと？
ハルノ
私が作ろうが、サエが作ろうが、味は変わらないじゃん
ハルノ
そんな小さいこと、わざわざ連絡して聞いてくることじゃないじゃん
サエ
小さいことじゃないでしょ！3年生が引退して、2年生はみんな委員会で遅れる、って言うし、
サエ
私の仕事多くなるから、早めに行って終わらせておこう、って思ったんじゃん
サエ
どうして私がやったこと、横取りしようとするの？
ハルノ
だって、サエはルイ君と帰り道同じ方向で、一緒に帰ること多いでしょ
ハルノ
サエの方がルイ君に関われる時間多いんだから、
ハルノ
ちょっとくらい私に分けれくれてもいいんじゃない？
サエ
何それ...そんな理由なの？
サエ
信じられない...そんなどうでもいい理由で人のやったこと奪うとか...
サエ
そんなことして、恥ずかしいと思わないの？
ハルノ
ルイ君と話せる時間取れたらそれでいいの
ハルノ
サエがなんて思おうと、私には関係ないから
サエ
いつも、どんな気持ちでマネジャーの仕事してたの？
ハルノ
どんな、って...分かるでしょ？
ハルノ
ルイ君に近づくためじゃん
サエ
え？
ハルノ
ルイ君のこと、好きになっちゃったの
ハルノ
だから、仲良くなりたくてマネジャーになったの
ハルノ
そしたら、結構マネジャーの仕事しんどいんだよね
ハルノ
重いもの運ばないといけないし、選手のユニフォームとか洗濯しないといけないし...
ハルノ
部室の掃除する時とか、汗臭くてほんと鼻つまみたいくらい
サエ
だから、私にたまに雑用押し付けたりしてたの？
ハルノ
そんな、押し付けるなんてしてない、って
ハルノ
サエのこと、信頼してるからこそ頼れるし、任せられるんじゃん
ハルノ
サエ、頼られるの好きでしょ？
ハルノ
承認欲求されてる感じがして
サエ
そんなこと、思ったことないよ！
サエ
私は、選手のみんなが地区大会で優勝すること目標に、毎日練習頑張ってるの知ってるの
サエ
だから、マネジャーとしてできること、精いっぱい頑張りたいの
サエ
みんなの気持ち、考えたことある？
ハルノ
あるよ
ハルノ
でも、どんなに頑張っても、もともと才能ある人に勝つのは無理だって
ハルノ
強豪校だって、私たちと同じくらい、
ハルノ
もしかしたらそれ以上練習してるかもしれないんだから
ハルノ
そんな人たちに、勝つなんて望みなさすぎ
ハルノ
前だって、練習試合負けてたし...
サエ
確かに、終盤で体力消耗してミスしてるのが目立ったけど、
サエ
でも、みんな最後まであきらめずに頑張ってたじゃん
サエ
何で、最初から無理、って決めつけるの？
ハルノ
無理なものは、無理なの！
ハルノ
遊びとしてのバスケだと思って、私たちは応援して見てればいいでしょ
サエ
ハルノは、そう思ってればいいよ
サエ
私はみんなが本気で地区大会行ける、って信じてるから
ハルノ
まあ、安心して部活はちゃんと行くから
ハルノ
これからは、仕事も横取りしないからさ
～翌日の20時ごろ～
サエ
ハルノ！
サエ
今日、私がドリンク作った後に塩余分に入れたでしょ！？
ハルノ
は？サエが間違えたんでしょ？
ハルノ
今日、眠そうにしてたし、いつもより集中力なかったじゃん
ハルノ
そのせいでボケてたんじゃないの？どうせ
サエ
は？ふざけたこと言わないでよ！
サエ
私はいつも通りの配合で作ったんだよ
サエ
それで、サエが配った時にみんな「塩辛いって言ってて...」
サエ
タイミング的に、ハルノしかやる人、いないじゃん
ハルノ
ひどくない？
ハルノ
何の根拠があってそんなこと言ってるわけ？
ハルノ
本当にサエが間違えたかもしれないじゃん！
サエ
もう、なんでそんな意地悪なことばかりするの？
サエ
前は、一緒に協力して仕事してきたじゃん！
ハルノ
そう思ってたのは、サエだけじゃない？
サエ
え？何？
ハルノ
私は、ルイ君とずっと仲良く話してるハルノに近づけば、
ハルノ
ルイ君と仲良くなれるかな～って思ったんだよね
ハルノ
今は番号もゲットしたし、自分から話しかけられるまでになったもん
ハルノ
だから、もうサエと仲良くできなくても、平気だもん
サエ
くだらなすぎる
ハルノ
くだらなくてもいいし
ハルノ
明日の花火大会で、大会前の願掛けで花火に向かってお願いごとする時も、
ハルノ
ルイ君にアピールするんだから
ハルノ
浴衣着ていこうかな～
ハルノ
サエは来るの？
サエ
当たり前じゃん、
サエ
マネジャーなんだから、チームの勝利をお願いしに行きたいもん
ハルノ
そんなこと言ってさ
ハルノ
サエは真面目だよね～
ハルノ
じゃあ、明日6時に学校前の駅に集合ね
～翌日18時20分～
ハルノ
サエ、あのね、ルイ君たち他の1年生と一緒に来てるみたいなんだけど
ハルノ
電車乗り過ごして遅れてるんだって
ハルノ
それで、私もちょっと遅れそうなんだよね
サエ
そう？じゃあ、会場まで先に行ってようか？
ハルノ
ううん！駅で待ってて！
ハルノ
すれ違ったら面倒だし、時間無駄になっちゃうからさ
サエ
それもそうだね...
サエ
分かった
サエ
じゃあ、待ってるね
サエ
花火、7時だけど間に合いそう？
ハルノ
うん、多分間に合うと思うよ
ハルノ
ほんと、ごめんね～
～19時～
ハルノ
ルイ君？今、どこにいるの？花火始まっちゃったよ？
ルイ
今、学校の駅前にいるよ
ルイ
花火見てる
ルイ
サエと一緒に
ハルノ
へ？あれ、サエ、お腹の治ったのかな？
ルイ
最初から、ウソだったんだろ？
ハルノ
え？何がうそ？
ルイ
サエには駅で待ち合わせって伝えたらしいじゃん
ルイ
それで、俺らが遅刻するから、って嘘ついてずっと1人で待たせてたとか？
ルイ
そんなはぶり方、ないんじゃないの？
ハルノ
あれ、私、別の人に送るメッセージを、間違えてサエに送っちゃったのかも？
ルイ
じゃあ聞くけど、なんでサエからの電話無視したの？
ハルノ
え？電話？
ルイ
今、サエのスマホ見せてもらった
ルイ
ハルノに、3回も電話かけてたけど？
ハルノ
あれ？本当だ！
ハルノ
今気づいた～
ハルノ
周りの音が遅くて、聞こえてなかったのかも
ルイ
俺らと回ってる時、めっちゃスマホ気にしてたじゃん
ルイ
サエからの電話じゃなかったの？
ハルノ
えっ、えっと...
ルイ
おかしいと思ったんだよね
ルイ
サエは何の連絡もなしに、人との待ち合わせに遅れたりするようなやつじゃない
ルイ
部活で俺らが練習してる横で、しっかりサポートしてくれてる
ルイ
休むときはちゃんと連絡してくれる
ルイ
だから、俺からサエに電話したんだ
ハルノ
えっ、いつの間に...
ルイ
そしたら、ハルノに駅前に集合、って言われた、って...
ルイ
呆れたよ、さすがに
ハルノ
ごめん...その...
ルイ
サエが駅前にいる、って聞いて、すぐにこっちに来た
ルイ
周りのヤツにも、ハルノがサエにそう言ったこと伝えたら、
ルイ
別のところで花火見ようぜ、って言ってたよ
ハルノ
うそ？だからトイレ行ってる間に気づいたら、みんないなかったの？
ルイ
1人で花火見たらいいんじゃない？
ハルノ
ルイ君に、私の方も見てほしかったの！
ハルノ
いつも、サエの方見てるから...
ルイ
ハルノのこと、見てたよ
ルイ
いつも仕事熱心で頑張ってるな～って
ハルノ
え？そうなの？
ルイ
前まではね
ハルノ
え？前まで、って...？
ルイ
選手、って、意外と周りのことよく見てるよ
ルイ
ハルノが最近、サエに自分がやりたくない雑用任せたりしてるの見てた
ハルノ
え？ウソ...
ルイ
あと、この前部室で「男子の汗臭い臭いってほんと無理...って言ってたらしいじゃん」
ルイ
メンバーが外にいたら聞こえてきた、って言ってたよ
ハルノ
えっと、でもそれはしょうがないよね！
ハルノ
ついキツイ言い方しちゃったかもだけど、
ハルノ
染みついた臭い、ってなかなか落ちないと思うし...
ルイ
そんなフォロー今更しなくても、大丈夫だよ
ルイ
部員のみんな、ハルノのことはマネージャーとして失格だ、って言ってたし
ルイ
もう、信頼取り戻すのは難しいんじゃない？
ハルノ
あの、私これからはマネージャーとしてしっかり仕事するから...
ハルノ
だからお願い！またバスケ部の一員として頑張りたい！
ルイ
もう、遅いでしょ
ルイ
俺、顧問とコーチに言ったもん
ルイ
「メンバーの悪口を陰でコソコソ言ったり、やりたくない雑用を仲間に押し付けるやつとは、
ルイ
一緒に大会に出たくないですって」
ルイ
そしたら、「分かった。辞めるように言っておくって言われたよ」
ハルノ
えっ？もうそこまで...！？
ルイ
だから、これからは部活来なくていいよ
ルイ
みんなにも、俺から言っておくから
ハルノ
あの、ちょっと待って！
ルイ
あっ、あともう1ついうことあったわ
ルイ
前、ハルノが体育で腕怪我した時、俺駅まで送って言っただろ・
ハルノ
あの時は、本当に助かった...ありがとう
ルイ
あれ、サエにお願いされたから荷物持って駅まで行っただけだから
ハルノ
え？サエが？
ルイ
あの時、すでハルノがサエに何か陰でコソコソしてる、って気づいてた
ルイ
でも、サエの頼みだから仕方なくやったんだよ
ルイ
そんな友達思いのサエのこと、裏切ったんだぞ？
ハルノ
本当に、ひどいことしてごめんなさい...あのね
ハルノ
さすがに、こんな風に終わっちゃうのは...
ルイ
サエと花火見るから、じゃあね
～後日談～
サエ
花火大会での願掛けの効果があってのことなのか、無事に私たちの学区は地区大会を突破しました
サエ
ハルノは部活を強制的に辞めさせられて、ルイ君にもフラれて、
サエ
落ち込んだ負の感情が日常生活にも影響しているらしく、この前返された定期テストの成績は、
サエ
過去最低だったみたいです
サエ
私は、ルイ君と付き合い始め、勉強も部活も一緒に充実させることができています
電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい！がどんどんみつかる。
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