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無垢

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無垢

1 - 無垢

♥

23

2021年04月28日

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DVードメスティック・バイオレンス(英: domestic violenceとは、「家庭内での暴力や攻撃的行動」(家庭内暴力)という意味の表現である。「domestic」とは「家庭の」という意味であり、典型的には、夫婦間やパートナー間の暴力である。 (Wikipedia参照)

⚠️閲覧注意⚠️ ⚠️かなり長いです⚠️ ⚠️グロ注意⚠️

…いつからだろうか。

彼が、狂い始めたのはー

私の名前は、永久逢(ながひさあい)。

今日は、新しい学校の入学式。

皆、ピカピカの制服に身を包んでいる。

新しい学校では、ちゃんと彼氏を作って、友達と…

ちょっと、いいですか?

はい?

顔を上げると、地黒で、とても背の高い男子がこちらを見ていた。

隣の席の、祈恋です。

祈…恋…

珍しい響きの名前に思わず繰り返してしまった。

えっと…名前…

あっ!名前!えっと…永久逢です

逢さんか…よろしくお願いします!

よろしくお願いします…って、普通にタメ口でいいよ!

ほんと?よろしく!

早速友達ゲット!私は心の中でガッツポーズをした。

それからの生活は結構スムーズに進んで。

友達もできたし、思い描いていた学校生活が順調に進んでいる!

でも、悩みができた。

今まで普通に話していた恋君を見る度に、胸が苦しくなる。

今すぐに抱かれたいような…そんな感じ。

えっとー、聞いてる?

あっ!ごめん、何?

ここの計算だけど、これは…

いつも数学とか、私が苦手なヤツは放課後に恋君が教えてくれる。

周りの人にも優しいし、戦いごっことかしてる男子たちよりもよっぽど精神年齢が高い。

で…ここは…

う…ん……

あれ、そんな事考えてたら頭がぼーっとしてきた…

何も…考え…られ…な…

バタッ

どうした!?

その声を最後に、意識が遠のいていった。

一目惚れをした。

クラスの子だった。

おしとやかな印象の、永久逢さん。

入学初日から隣の席だった。

今までにはいないタイプの子。

華奢な身体と、スカートからすらっと伸びる白い足。

その身体を見ていると、俺の心の中の今まで隠していた欲が満たされる気分だった。

気付くと俺は、毎日のように彼女を目で追っていた。

その時はなんていう感情かは分からなかった。

でも、幼なじみの友達に相談してみたところ、「それ、好きって言う感情」と、ズバッと言われ、好きだという気持ちに初めて気がついた。

それからの生活は、彼女が支えになった。

彼女がいるだけで、その場が華やぐ。

彼女の全てが…欲しい…

そう思うようにいつの間にかなっていた。

俺、こんなにまで彼女に依存してたんだな。と自分を嗤う。

今日もそんなことを考えながら、得意な数学を教えていると、こころなしか、彼女が上の空のような感じだった。

今までこんなことはなかったはず…何か悩みがあるのだろうか。

好きな人が、出来たのではないだろうか…。

で、ここは…

う…ん……

バタッ

俺が顔を覗き込もうとした瞬間、逢は倒れた。

どうした!?

揺さぶるが、目を覚まさない。

助けを求めようと教室を見渡すが、夕方だからか誰もいない。

やばい…

とりあえず保健室まで運ぼうと、逢をお姫様抱っこする。

抱くと、逢の柔らかい感触が感じられた。

夢に見たシュチュエーションだ…と関係ないことを考える自分を抑え、逢の身体をしっかりと支える。

華奢な逢は、強く抱くと壊れてしまいそうだったため、なるべく丁寧に抱いた。

準備完了。

自分を奮え立たせ、ただ抱いている逢のことだけを考えながら、保健室まで一直線に走っていく。

先生!

保健室の先生

どうしたの!?

逢が…逢が倒れたんです!!

すぐさま手配してもらい、逢は安心したような顔で眠りについていた。

その姿にひとまず安堵する。

保健室の先生

たぶん貧血だから、休んだら大丈夫だと思うわ。

ありがとうございます!

逢?

寝てるな

安心しきった顔で寝息を立てている逢を見て、思わずクスッと笑ってしまった。

保健室の先生

恋…さん?ちょっと私用があるから少しの間留守にするけど、逢さん見ていてくれる?すぐ戻るから

あ、はい!

思いがけない展開だ。

まさかの先生が留守にする。

2人きりの時間…。

逢を見ると、自分を抑えられなくなる…。

俺は逢の方に身を乗り出し、逢との顔の距離を縮めていく…

俺の唇と逢の柔らかい唇が触れ合い、いい角度に埋め込まれていく。

形がはまり、二人の時間が止まる。

…この辺にしておくか。

俺は理性を取り戻し、逢の唇から離れていく。

止まっていた二人の時間がまた動き出す。

もう少し、しておきたかった。

惜しみながらも、俺はベットから離れた。

さっきのことは、誰にも話せないことだ。

俺は2人だけの秘密を抱えたようで、胸がドキドキした。

逢side

うぅん…

瞼を開けると、白い無機質な天井が見えた。

ここは…保健室?

何が起きたか分からない状況に、思わず混乱する。

あ、目、覚ました?

カーテンを開け、入ってくる恋くん。

私、何をやっていたんだろうか…。

確か、眠っている間に唇が…

倒れてたけど、大丈夫?

ぼーっとした頭で考えていたことも、恋くんの声でかき消された。

うん…大丈夫なんだけど、何が起きたかがさっぱり…

確か、恋くんに数学を教えてもらってから…記憶が無い。

そっか。

そういうなり、意味深な笑みを浮かべる。

部屋を見渡すと、5時に差しかかろうとする時計の針が見えた。

あっ!もう帰らないと!

現実に巻き戻され、私は急いで恋くんが持ってきてくれたカバンを持つ。

俺、心配だから送って行くよ

…!ほ、ほんと!?

うん…俺暇だし。

じゃあ…お言葉に甘えて…

外の空気はまだ冷たく、冬が残っているように感じられた。

校門を出て、2人で肩を並べて歩く。

背の高い恋くんと背の低い私ではすごく身長差があった。

えっと…恋くん、家どこら辺?

俺は坂の上。

え!?反対側じゃん!私Yスーパーの向こうだよ?大丈夫?

ううん、全然。

そ、そっか…

申し訳なさを感じつつも、恋くんに着いてきてもらう。

あの…私の家ここら辺だから!

あ、そうなんだ

今日は…送ってくれてありがとう

こちらこそ危ない目に遭わなくて良かったよ

じゃあ、また明日ねっ!

また明日な

恋くん…素敵だな…

それから時は流れ、草葉が生い茂る季節になった。

そして色とりどりに葉が色付く季節になり、夜空が澄み渡り星が煌めく季節。

そしてまた1年前と同様に沢山の桜が咲き舞い落ちる季節になった。

私は沢山友達を作り、充実した理想の学校生活を送っていた。

恋くんは、部活に入り背の高さを活かして活躍していた。

でも、1つ変わったようで変わらなかったもの。

それは私と恋くんの関係だった。

今日も変わらず恋くんに数学を教えてもらっていた。

もう、2年生になるね…

私が感傷に浸りながらそう呟く。

そうだなぁ…懐かしいなぁ…

横にいる恋くんを見ると、どこか遠い空の彼方を見つめており、思い出を指でなぞるように懐かしんでいるように見えた。

俺、さ

恋くんにしては珍しく、自分語りのようにぽつぽつと喋りだした。

好きな子が、いるんだ。

え!?どんな子?

恋くんに好きな子がいるのか…と驚きつつも、次に来る言葉に耳を傾ける。

すごく可愛くて、元気で、いつまでも俺が守ってやりたい…って想う人。

えー!誰だろ…。3組の花園澪さんとか?

いや、もーっと可愛い

もー教えてよ!

恋くんを急かす。どうか私でありますように…とほんの少しの希望を抱きながら。

俺、逢のこと、好き

…えっ?

ぽかんと口を開ける。

出会った頃から…好きでした!

だから、付き合って下さい!

思考停止する。

つき…あう?

私が…恋くんと?

ようやく理解出来た時、驚きで叫びそうになった

は、はい!!!

精一杯の返事を出し、恋くんの手を握った。

私と恋くんは、今、世界で1番幸せだろうな…。

そう思い、今ある幸せを噛み締めながら、一緒に空を見上げた。

この人と幸せになろう…そう心に決めて。

2年にあがり、残念ながら私たちはクラスが離れた。

でも、廊下で会う度に話をしたり、帰り一緒に帰ったりしていて、順調に事が進んでいた。

そんなある日、恋くんから初デートに誘われた。

私は喜んで飛び跳ね、早くその日が来ないかとそわそわしていた。

そして、やっとその日がやってきた。

私は新しく買ったワンピースに身を包み、長い時間をかけて髪の毛をセットした。

どうか、崩れませんように!と願って、鏡から離れた。

時間になると、家のチャイムがなり、急いでドアを開けた。

おはよう

おはよっ!

彼を見た瞬間、笑顔になる。

なんて凄い魔法なんだろう。

じゃ、一緒に行こう

私を歩道側でさりげなく歩かせてくれる恋くんは、手慣れていてすごくかっこよかった。

せっかくだから、手、繋ぎたいなぁーと淡い希望を抱いていると、前から自転車が走ってきた。

私が動けずにあたふたしていると、恋くんが私の手を掬うようにして手を繋いでくれた。

思わず見上げると、恋くんは照れたような顔をしてそっぽを向いていた。

思わず、きゅん。

また新しい恋くんの一面を見れたようで、ドキドキした。

デート先の大型ショッピングモールでは、恋くんが決めてくれたデートプランに沿ってデートをしていた。

あまりの身長差に、周りからチラチラと見られたが。

お昼時になり、お腹がすいたということで、オシャレなドーナツ屋さんに入った。

わぁ〜

ツヤツヤとひまわり色に輝く蜂蜜ドーナツ、丸いドーナツを繋げたポン・デ・リング…。

どれも輝く宝石のようで、見とれてしまった。

様々な色や形のドーナツがあり、迷ってしまったが、この期間限定の桜ドーナツにすることにした。

恋くんは、ポン・デ・リングを注文していた。

席につき、ドーナツを食べ始める。

この桜ドーナツは、生地の中に少し桜の花びらが練り込まれているから、ほんのりピンク色で、上に桜チョコレートがかかっている。

はむっと1口かぶりつくと、口の中に桜の味が広がって、春を感じられた。

これ…おいしい!

ほんと?

恋くんはにこにこして、私を愛おしそうに眺めてきた。

この幸せがずっと、続きますように…と願って。

デートが終わり、帰りもなんと送って貰った。

いつもごめんね。

逢が事件とかにあったら危ないだろ

あり…がと

じゃ…またな

うんっ!またねー!

ベッドの中では、今日のきゅんきゅんしたことを思い浮かべながら眠りについた。

それから高校卒業し、それぞれ大学に通うことになった。

私は心理士になるために心理学系の大学、恋くんはIT系の専門学校に通うことになった。

2つの学校は少し距離がある為、真ん中の距離にある、小ぢんまりとしたアパートを借りて、2人で同棲することになった。

今日から一緒に住めるな!

うん!

受験もあり、少し距離感を感じていたが、同棲することによってさらに近づくかな…と思いながら。

よし、出発!

私は電車で大学へ。

恋くんはバスで専門学校へ。

なのですぐに分かれてしまう。

寂しさを感じながら、大学への道のりを進んで行った。

大学での授業は、今までとは違い、自分の好きなことを学べるから、初回にしてはすごい手応えを感じた。

授業も終わり、スーパーで買い物をして帰ってくる。

いつもと違う帰り道を歩き、いつもと違う家に着く。

ただいまー

ドアを開けると、既に恋くんは帰ってきていた。

いつもとは違う感じに慣れないけれど、会えたのが嬉しくて抱きついてしまった。

大好きっ

…俺も

その後は2人で私特製の夜ご飯を食べ、これからの生活について話し合った。

恋くんがバイトに就くこと、家の家事は分担すること…。

色々と決まりを作り、安定した生活を送れるようにした。

そんな生活が続いていたある日。

久しぶりに小学生の頃のメンバーで飲み会をすることになった。

男子2人、女子2人、そして私の合計5人で飲み会をするらしい。

私はその事を恋くんに伝えると、恋くんはすごく苦しそうな顔をした。

夜は11時までに帰ってくるように、着いたら連絡するように、と厳しい決まりを決められて私は飲み会に行った。

恋side

俺は、今の満ち足りた生活に満足していた。

いつかこんな日が来るとは思っていたが…覚悟が足りなかった。

ただ、男を混ぜて遊ぶだけなのに。

俺と付き合っているから誰にも取られないのに。

彼女のことを信じているのに。

不安で不安で仕方ない。

いつ、彼女が襲われるか。

いつ、彼女が目の前からいなくなるか。

そんなはずないのに、絶対に起きないことを考えては、一喜一憂する自分に呆れていた。

刻刻と約束の時間が迫る。

もしかしたら帰ってこないのだろうか。

電話を掛けてみようか。

不安で動き回っていると、時間が11時を回った。

‐ 来ない

いや、今アパートの階段を上っているかもしれない。

‐ 1分、2分

来ない、な…

念の為に電話をかけてみる。

プルルルルルル…プルルルルルル…

出ない。おかしい。

何回もかけてみるが、繋がらない。

俺は家を飛び出し、彼女のスマホのGPS機能で反応があるところを確認した。

近い。自転車でいける。

俺は自転車を引っ張り出し、彼女の所まで飛ばして行った。

逢!

…ヒック…恋っ…くん…

泣いているのか?

顔を覗き込もうとすると、両手で顔を覆い、そっぽを向く。

帰ろう

俺は彼女を引っ張って家まで帰った。

バタンとドアを閉め、泣いている彼女の背中に手を回す。

一方も泣き止まない彼女に、俺が遂に手を上げた。

パン!

鈍い音が部屋に響き、彼女は驚きの目でこちらを見てくる。

ごめんな。

俺は脚で彼女の背中を蹴ったり、 お腹を蹴ったりした。

逢の傷からドクドクと血が流れているのが確認できる。

ごめんな、逢…。もう、こんなことするなよな…。

逢は不安そうな目でこちらを見てきた。

俺はもう一度背中に手を回した。

逢は手に反応するようにピクっと少し動いた。

怯えなくていいから…

俺は優しく逢を抱きしめた。

だいすきだよ、逢…

逢side

あのことが起きてからだろうか。

恋くんの束縛がさらに強くなった気がする。

身体中にアザが出来て、長めのロングスカートを履かなければならなくなった。

でも、暴力を振られても、私は今のままの幸せを手離したくない…、それに、あれはお仕置なだけだし…。

その一心で、私は毎日生きた。

でも、また、やらかしてしまった。

掃除をしていたら、棚にあった恋くんの大事にしていたお皿を割ってしまった。

反省してたくさん謝った。

でも、やっぱり、叱られた。

今日もやらかしてしまった。

ごめん。

ごめん。

ごめん。

ごめん。

ごめん。

ごめん。

ごめん。

恋side

俺が叱っていたからか、いつの間にか彼女は言うことを聞くようになった。

でも、俺が何を話しても頷いたり、リアクションを取ってくれなくなった。

やり過ぎただろうか。

彼女のスマホの中身は全てチェックし、男の連絡先は全てブロック。

女とも遊ぶことを規制した。

お風呂やトイレも時間を制限し、一人でいる時間を減らした。

これが、俺の出来る精一杯のことだった。

今日もやる気のない彼女を椅子に座らせ、一緒にご飯を食べる。

スプーンで食べ物を口に運ぼうとした時、玄関からすごい音がしたと共に、人が入ってくる音がした。

逢!隠れてろ!

戸惑う逢を無理やり机の下に押し込み、椅子で隠した。

警察

警察だ!ここで異臭がするという通報を受けた!

警察

警察

こ、これは…?

警察はあまりの臭さと汚さに目を見張った。

壁には無数の穴が空いており、床には返り血が飛び散っていた。

腐った皮膚の欠片も落ちており、殺人事件が起きたように感じた。

何より驚いたのが、青年が一人でぶつぶつと何かをしゃべっていることだった。

まるで、そこに人がいるように…。

家の中を警察が確認すると、案の定死体があった。

死体は、何ヶ月も放置されていたらしく、腐敗臭がひどくした。

取調べが行われ、青年はDVをしていたことが発覚。

ニュースでも大きく取り上げられた。

「青……が………たい……き…を……し…う……いで……逮捕……。」

テレビから途切れ途切れの音声が聞こえる。

それを見ていた青年の口から言葉が漏れ出す。

「だ……き……だよ……あ…………い……………」

その声はとても小さく、誰にも届くことは無かった。

お久しぶりです〜!!

3ヶ月以上投稿してませんでした、w

この作品は2月ぐらいに完成していて、テラーに移すまでにかなーり時間がかかってしまいました…

でも、完成しきれたので満足です!

ちなみに、休止中に何をしていたかと言うと…、中学入学、ということで、色々バタバタしていました。

部活にも入って、忙しくなるかな、と思っているんですけど、気ままにまた投稿していければいいなーと考えております!

またその都度、近況報告を出来たらなーと思います!

長くなってすみません!それではまたー!

この作品はいかがでしたか?

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