青
黒
目の前にいる年上だなんて思えない可愛い可愛い恋人にIfは抱きついた
そんなIfの頭を、髪を梳くように撫でる悠佑
青
何時から好きだとか、何がきっかけだとか。もう、そんなこと昔のことすぎて覚えてなんていない
何処が好きだとか、何処を気に入ってるだとか
多分、言い出せばキリが無いんだろうけど、何からいえばいいのか分からないから言葉に詰まってしまう
そうしてそれは自分だけではないことも、Ifは正しく理解していた
普段は少々ツンが目立つ悠佑だけれど、本当の意味でIfが愛を求める時には必ず返してくれる
付き合ったら誰かに取られる心配が無くなるとかいう話は残念ながら現実ではなかったけれど、悠佑帰ってくる場所はいつだって自分の隣であることは間違いないし、自分の帰りたい場所だって悠佑の隣だけなのだ
分かっていても嫉妬してしまったり、嫉妬させてしまったりするのは、互いが互いを求め合っている証拠だということも知ってる
でも、少しでも心配なんてさせたくないし、不安に感じることがあるならきちんと言葉にして伝えてもらいたい
ただでさえあにきは直ぐに自分の思いを隠してしまうから
大人だから、とか
そういう理由で弱みを見せたがらなくて少しばかり分かりにくい時がある
もちろん、あにきのことなら誰よりも知っていると自負しているし、分かりにくいだけで分からない訳では無い
そういうところがあにきはどうしようもなく面倒臭いけれど、そういうところもたまらなく愛おしいと感じてしまうのだから本当にあにきには頭が上がらない
惚れた者の負けってこういうことなんやろうな、といつも思う
いつもいつも好きだと言うのは、愛していると行動するのは自分ばかり
あにきからの愛を疑っている訳では無いけど、どうしても欲張ってしまう時はある
だから、じっとあにきの瞳を見つめる
そうすれば俺の意図が伝わったのか、ほんのりあにきが耳を朱に染めた
それから少し視線をさまよわせる
そして一言
黒
そう言って瞳を閉じた
青
その言葉が、今のあにきの精一杯の愛情表現だと、知っている
だから愛しくて、愛しくてたまらない
結局これだけのことしかしてくれなくたって嬉しくて嬉しくてたまらなくなってしまう
今はこれだけでいいや
なんて、何度思ってきたんだろ
そうして何度これから思うんだろう
それでも、可愛いと感じてしまうのはやっぱり惚れた弱みなのだろうから、仕方がない
それでもいつかは
必ずその可愛い唇に、Ifが好きだよと言わせてやる
何度目か分からない決心を胸に今日も俺はあにきを愛する
コメント
2件
すきです
ハッ!!もしかしてpixivの方…!?