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ゆうや
ねぇねぇ
ヨウコ
なにー？
ゆうや
ちょっと聞きたいんだけどさ
ヨウコ
うん
ゆうや
幽霊って信じる？
ヨウコ
んー、いや信じないかな
ゆうや
どうして？
ヨウコ
目に見えないじゃない？
私は霊感もないし
私は霊感もないし
ヨウコ
目に見えないならいないとおんなじじゃない？
ゆうや
なるほど。目に見えないから信じないってことね。
ヨウコ
そーだよー
ゆうや
じゃあさ、聞こえたらは？
ヨウコ
聞こえる？
ゆうや
そう。幽霊の音っていうのかな
ヨウコ
幽霊の音ー？
いまいちよくわからないけど
いまいちよくわからないけど
ゆうや
なんていうかなー
ゆうや
例えば、部屋に一人しかいないのに、知らない人の声が聞こえたとか
ヨウコ
気のせいかなって思うよ多分
ヨウコ
外歩いてる人の声かなって
ゆうや
あくまでも幽霊じゃないってわけね
ヨウコ
ねぇ
ゆうや
なに？
ヨウコ
どうしてそんなに幽霊の話しするの？
ヨウコ
私は信じてないけど、ゆうやはどうなの？
ゆうや
んー、信じるかな
ヨウコ
どうして？
ゆうや
目に見えるし、音も聞こえるから
ヨウコ
え？
ヨウコ
幽霊見えるの？
ゆうや
うん
ヨウコ
まじ？
いつ見たの？
いつ見たの？
ゆうや
今日
ヨウコ
えぇ！？
ヨウコ
ほんとに？
ゆうや
それがほんとなんだよ
ヨウコ
え、どんなの見えた？
ゆうや
えーとね
ゆうや
女の人だったよ
ヨウコ
どこで？
ゆうや
駅前通りだよ
ヨウコ
私毎日そこ通るよ！
ゆうや
この前さ。あそこで事故あったじゃん？
ヨウコ
え？そうなの？
ヨウコ
全然知らなかった
ゆうや
自転車に乗ってた人がトラックにはねられたんだって
ヨウコ
そうなんだ……
ゆうや
知らなかった？
ゆうや
ニュースにも出てたよ
ヨウコ
うん、全然知らなかった
ゆうや
その自転車に乗ってたのが女の人だったんだって
ヨウコ
つまり、ゆうやが見た女の人っていうのは、その事故にあって死んだ人ってことね？
ゆうや
そう
ヨウコ
それがホントならすごいね
ゆうや
俺が嘘を言ってるとでも？
ヨウコ
そうは言ってないよ
ゆうや
いや、疑ってるでしょ
ヨウコ
まぁ正直ね。私は見てないし
ヨウコ
ゆうやが見たってだけで
ゆうや
ならわかった
ヨウコ
なに？
ゆうや
証明してやるよ
ゆうや
幽霊がいるってことを
ヨウコ
なにむきになってるの？
ヨウコ
だいたい、どうやって証明するのさ
ゆうや
今から駅前に来れる？
ヨウコ
行けるよ
ゆうや
そこに来て
ゆうや
証明するから
ヨウコ
オッケー
ヨウコ
お待たせー
ゆうや
おう
ヨウコ
それで、どうやって証明するの？
ゆうや
これ
ヨウコ
花束……
ヨウコ
ここがその事故現場なんだね
ゆうや
うん
ヨウコ
ゆうやが見たのはここ？
ゆうや
うん
ヨウコ
特になんも感じないけど
ゆうや
ほんと？
ヨウコ
え？ うん
ゆうや
ほんとになんも感じないの？
ヨウコ
なんも感じないよ？
ゆうや
なんも見えない？
ヨウコ
え？ ゆうや以外は何も……
子ども
お母さん、あの人なんで１人で話してるの？
母親
しっ！ ほら、行くわよ
ヨウコ
え？
ゆうや
……
ヨウコ
どーゆうこと？
ヨウコ
まさか、ゆうや……
ゆうや
気づいた？
ヨウコ
え、だって
ヨウコ
こうやって話ししてるし、目に見えてるし
ヨウコ
さっきまでケータイで連絡とってたし
ヨウコ
え、うそだよ
ヨウコ
ねぇ、ゆうや
ゆうや
……
ヨウコ
なんとか言ってよ！
ゆうや
お別れを言いに来たんだ
ヨウコ
……え？
ゆうや
もう、君と俺は住む世界が違うんだ
ゆうや
ここで、さよならしよう
ヨウコ
いや、いやだよ
ヨウコ
もっと話しをしようよ！
ヨウコ
もっと美味しいものとかさ！
ヨウコ
タピオカ飲みに行こうって
ヨウコ
言ってたじゃん……
ゆうや
ごめん
ゆうや
もうできないんだよ
ヨウコ
やだよ！ こんなの、嘘だよ……
ヨウコ
なんで、なんで死んじゃったの？ ゆうや…
ゆうや
……
ゆうや
半年前だよ。ここで交通事故があったのは
ヨウコ
半年前……
ゆうや
トラックが自転車に乗った人を轢いたんだ
ヨウコ
ゆうや……
ヨウコ
痛かったよね。トラックに轢かれて……
ヨウコ
……
ヨウコ
ねぇ、トラックに轢かれたのって、女の人ってさっき言ってなかった？
ゆうや
そうだよ
ヨウコ
え？ どーいうこと？
ヨウコ
ゆうやがここで轢かれたんじゃないの？
ゆうや
違うよ
ゆうや
ここで轢かれたのは
ゆうや
君だよ
ヨウコ
え？
ゆうや
死んだんだ
ゆうや
君が、ここで
ヨウコ
うそ……！
ヨウコ
私は死んでなんかないわ！
ヨウコ
ほら！ ちゃんと見て！
ゆうや
見えてるさ
ゆうや
見えるし、声も聞こえる
ゆうや
さっき言っただろ？
ゆうや
君は死んだ。けど、その事に気がついてないんだ
ヨウコ
そんな……
ゆうや
じゃあ俺は行くよ
ヨウコ
どこに？
ゆうや
家だよ
ヨウコ
私も行く！
ゆうや
無理だよ。君はそこから動けない
ヨウコ
そんなことない！
ゆうや
もう半年も経った
ゆうや
なのに君は一向に成仏しない。死んだことに気づいてないからだよ
ヨウコ
待って！
ゆうや
毎日通るこの道で、そうやって居座られると迷惑なんだ
ゆうや
死んだことがわかったらさっさと成仏してくれよ
ヨウコ
なんで進めないの！？
ヨウコ
こんなに足を動かしているのに！
ヨウコ
ゆうや！！
ゆうや
……そのゆうやってのもやめてくれないか？
ゆうや
俺はゆうやって名前じゃない
ヨウコ
え？
ゆうや
君が生きてるときに付き合っていた男かなんかの名前なんだろうな
ゆうや
俺は君の名前すら知らない
ゆうや
だからきやすく知らんやつの名前で呼ぶなよ
ヨウコ
……そんな
ゆうや
じゃあな
ヨウコ
待ってよ……
ヨウコ
私、どうすればいいのよ
ヨウコ
ゆうや……
電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
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