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⸻午後、カフェ
ガラス張りの明るい店内
観葉植物がさりげなく置かれた、落ち着いた雰囲気のカフェだった
蓮が店員に予約名を伝えると、奥の半個室席に案内された
人目からは少しだけ離れた、けれど開放感のあるスペース
麗央は、きょろきょろと店内を見回していた
麗央
零斗
零斗がソファに座りながら、麗央の帽子を取ってテーブルの端に置く
零斗
渡されたメニューを受け取った麗央は、ページをめくった瞬間、ぱっと目を輝かせた
麗央
指さした先には、果物がたっぷり乗ったカラフルなパフェ
朔矢
朔矢が覗き込むと、麗央はこくこくと嬉しそうにうなずいた
麗央
零斗
零斗が呆れたように言いながらも、その頬には薄く笑みが浮かんでいた
龍牙
龍牙がすっと席を立ち、静かにレジへ向かう
その背を見送る間、麗央はワクワクとした顔でテーブルを見つめている
朔矢
朔矢が頬杖をつきながら、いたずらっぽく笑った
蓮
蓮が静かに言ったその言葉に、全員がなんとなくうなずく
やがてパフェが運ばれてきた
ガラスの器に盛られたフルーツと生クリーム、バニラアイスの上には、ハートの形をしたチョコ
麗央
麗央はそのパフェを前に、子どもみたいに目を丸くした
スプーンを持つ手が小さく震えるほどで、その顔は、無邪気で、嬉しそうで、あまりにも“普通の少年”だった
……これが、あの借金を背負わされた子かよ……
零斗は心の中でつぶやき、グラスの水をひと口飲んだ
零斗
麗央
口いっぱいにクリームを含んで、もぐもぐと頬を動かす麗央
幸せそうな表情に、テーブルの空気が、ふわりとやわらいだ
零斗
零斗が身を乗り出す
麗央
零斗
麗央
零斗
むすっとした顔でそう言いながらも、麗央はちょっとだけスプーンにすくって、しぶしぶ零斗に差し出した
麗央
零斗
零斗がそれを受け取って口に運ぶと、朔矢がすかさず口を開いた
朔矢
麗央
朔矢
龍牙
龍牙が呆れたように言いながらも、テーブルにナプキンをそっと置いてやる
龍牙
麗央
その声を聞いて、蓮は静かに席を立ち、レジで支払いを済ませて戻ってきた
蓮
麗央
蓮
麗央は、ちょっと口元にクリームをつけたまま、にこっと笑った
麗央
その笑顔を見て、4人の胸に、それぞれ違う感情が生まれた
安心。所有。愛着。執着。
でもそのすべてが、ひとつの方向に向かっている
――こいつは、もう、俺たちのもんだ
けれど当の本人は、まだ気づかないまま
残ったパフェを、スプーンですくってうれしそうに食べ続けていた
だいふく
コメント
6件
パフェ見て目丸くするの幼くて可愛いᐢ꜆. ̫.꜀ᐢ
尊い!続きが気になる
うぐっ、麗央くんの子供っぽさ、可愛すぎる、そして全部の表現が神すぎる、!!最近一日に2回も投稿してくださってて嬉しいです😭ほんとにありがとうございます!