虚
虚
虚
虚
虚
一体、どのくらい走っただろう
1度止まって周りを見てみよう
そう思い邪魔にならないように少し路地裏近くに寄り、辺りを見渡した
どうやら私は知らない所に来てしまったらしい
周りには知らない店、ビル、像、などがあった
ウッ
吐き気がした
とりあえずここがどこかを考える前に
さっきまでのことを整理することを優先しよう
私は路地裏に入り壁に身体をつけながら座り込んだ
なぜ私はお母さんを助けようとした
なんで武道にあんなことをしてしまったの
私は、
あの時何がしたかったの
ああ〜もう!
考えれば考えるほど答えから離れて行くような気がする
誰か教えて
なんて誰かに今の私の気持ちを聞いたって
エスパーじゃないんだから
分かるわけないじゃん
ハハツ
……
逃げちゃったな私
駄目な人間だ
今、もし、マイキー達が来たらどんな顔をすればいいんだろう
いや、
今は誰にも会いたくない
せめて明日になるまではここら辺で頭を落ち着かせよう
アシタマデ
なんだか視界が暗くなっていった
周りの音が消え始め、私の意識も消え始めた
このまま消えればいいのに
ちょっとそこのおねーさーん
ん
流華
少し眠ってしまっていた
目が覚めたばかりで視界がはっきりとしない まだ頭がぽわぽわしている
でも少しずつ鮮明になっていく
長い髪の女の子
前髪は長く右側に寄せられている
まるで右目の隠すかのように……
?
右目を隠す?
その瞬間
一気に目が覚めるのと同時にこの女の子が誰だか分かり
すぐに全身に鳥肌が立った
あ、あああ
なんでここにいるの
流華
紗倉
紗倉
そう言って紗倉はふふっと笑った
カタカタと体が震え始めて立とうとしても手足に力が入らなかった
紗倉
紗倉
流華
紗倉
流華
紗倉
流華
紗倉
紗倉
紗倉
流華
紗倉
紗倉
震えがずっと止まらなかった
さっきから紗倉は怖いくらいずっと笑顔で
怖いくらい最近の私のことを知っている
そして少しづつフラッシュバックしてくる過去
私の呼吸は荒くなって行き、過呼吸状態になった
そんな時だった
留依
マイキー
マイキー... 留依……
少しほっとしたような気がした
でも、合わせる顔ないよ...
紗倉
紗倉
紗倉
紗倉
軽く手を横に振りがら笑顔で私に背を向けて歩き出した
と思ったら
すぐに戻ってきて紗倉は私の耳元で囁いた
まだまだこれからだよ
私はその発言の意味がわからず紗倉にどんな意味か聞き返して見たけど
そんなのは無視してどんどんとくらい闇の中に紗倉は消えてった
紗倉の姿が完全に見えなくなった時
なんだか一気に脱力した
でも、震えは止まらなかった
留依
留依
マイキー
2人は私を見つけてすぐに駆け寄ってきた
そして少し沈黙が流れた
流華
流華
ただ今は謝ることしか出来ない
そうすれば、一時的にこの空気から
逃げれるから
マイキー
留依
2人は少し顔を顰め、2秒の沈黙の後に
とりあえず帰ろっか
とだけ言って私が立ち上がるのを確認したらすぐに歩き出した
さっきまで周りが店の光などで溢れていた所にいたせいだか
今がもう夜なのを忘れていた
ある程度歩いて見覚えのある住宅街に入った
多分ここはマイキーの家の近くだろう
さっきの路地裏での「帰ろう」の一言以外マイキーと留依は何も喋らず
ただただ私と2人の足音が聞こえるだけだった
まぁ怒っているんだろうな
家に着けば説教だろうな
説教
殴られないよね...
家に帰ってリビングへの扉を開けるとカレーの臭いが鼻の中を埋めつくした
リビングには真一郎と、エマがいた
2人は私の姿を見てほっとしたのか胸を撫で下ろしていた
そしてエマはこっちにおいでと、言うかのように机の椅子をぽんぽんと軽く叩いた
私は指示されたままにその椅子に座った
向かいにはマイキーと留依が座った
その時やっと2人の表情が見えると思った
でも2人は座るとすぐに俯いて前を見てくれなかった
なんだか私もそれに流され俯いてしまった
でも、自然と言葉だけは出てきた
流華
流華
流華
流華
しばらく沈黙が流れ、マイキーが口をひらいた
マイキー
マイキー
そう言葉を放ってマイキーは立ち、私の方へ俯きながら歩いてきた
殴られるのかと私は思いマイキーの方へ身体を向け、怖くて目をつぶった
でも、目をつぶり視界が黒くなったのと同時に
全身に力を入れたけど すぐに力が抜けたいった
温かい
体がなにかに包まれた
上手く動けない
何故か私には痛みではなく温もりだけがきた
恐る恐る目を開けてみた
流華
思わず声が出た
マイキー
マイキー
その言葉に続くかのように留依も歩いてきて、今度は後ろからハグをしてきた
留依
留依
留依
留依
留依
留依
理由...
あの時、ね
流華
流華
流華
あの場を思い出すだけで苦だと感じた
そしてだんだん
話そうとする度に息ができなくて声も出なくて
言葉が途切れ途切れになっていく
流華
流華
流華
こんなの初めてだ。心が整理できない。胸の中がぐちゃぐちゃしている。
留依
留依は息が苦しくなる私の背中をゆっくりと撫でながら言った
留依
留依
留依
留依
留依のその言葉に続くようにマイキー達が口を開いた
マイキー
エマ
真一郎
はあ、
私なんかがこんなに素敵な人達と一緒にいていいのかと疑ってしまうくらい
多分
今の留依達の言葉が嬉しかった
それと嫌われてなかったっていう安心と
一緒に探してくれる、居てくれる人がいるって安心が、私の中を埋めるような感覚がした
流華
流華
流華
私がそういうと皆、にこって笑って「いいえ!」と言った
私達はそのあと、エマの作ったカレーを食べてそれぞれの部屋に戻った
今回、武道に酷いことを言ってしまったから謝らないといけない
そのことを、留依に言うと、夏祭りの時に謝るといいと言ってた
確かに、あと2日程で夏祭りの日だった
部屋に飾ってあるカレンダーには8月8日の所に赤ペンで、濃く、大きく、丸く、書かれていた
きっと留依が書いたのだろう
余程楽しみだったんだなと思うと私まで少し嬉しくなった
夏祭りの日、楽しみたいし、楽しんで欲しいなと、きっと心から思っている
今は
虚
虚
虚
虚
虚
虚
虚
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