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花梨
148
『深緒ちゃんが二十歳になったらさ』
あの日研二は、笑いながらそう言った。
9年前 陣平と研二の成人式
松田深緒
式終わりの会場の前。 入り口の方では同窓会に向かう一向が集まっている。
萩原研二
松田深緒
萩原研二
他人事みたいな返事。騒がしい入口を横目に、研二は深緒を見る。
萩原研二
松田深緒
萩原研二
そう言って、当たり前みたいに手を包む。 昔からこういう人だった。 自然に距離を詰める。
深緒は少しだけ視線をあげる。
スーツ姿の研二は、いつもより大人っぽかった。 知らない女の人が見たら、きっと放っておかない。今日だって、何人も声を掛けていた。
松田深緒
萩原研二
松田深緒
萩原研二
松田深緒
萩原研二
迷いなく言う。あまりにも自然で、深緒は返事に困った。
研二はそのまま、会場の明かりをぼんやり眺める。
萩原研二
松田深緒
萩原研二
少し笑う。
萩原研二
松田深緒
萩原研二
松田深緒
萩原研二
ふっと笑う。その横顔が、やはり少しだけ大人びて見えた。
深緒は不意に思う。 この先、この人と共に歳を取っていくんだろうかと。 20、21。 22。 25。 30。 そんな未来を、初めて具体的に想像した。 すると。
萩原研二
松田深緒
萩原研二
その言葉に、深緒は少し黙る。
萩原研二
松田深緒
萩原研二
即答。 その声が、やけに優しかった。
萩原研二
どくん。胸が苦しくなる。
松田深緒
松田深緒
萩原研二
松田深緒
萩原研二
松田深緒
深緒が笑う。研二も笑った。 研二は繋いだ手を見ながら、静かに言った。
萩原研二
騒がしい街の音。 冬の匂い。 白い息。 全部の中で、その声だけが妙にはっきり聞こえた。
萩原研二
息が止まる。 研二は笑っていなかった。冗談みたいな軽さもない。
松田深緒
萩原研二
松田深緒
萩原研二
松田深緒
深緒の声が震える。研二はようやく少し笑った。
萩原研二
胸が大きく鳴る。 深緒は何も言えなくなった。 研二はそんな深緒を見て、少し目を細めた。
萩原研二
あまりにも自然な声だった。深緒は目を丸くする。
松田深緒
萩原研二
松田深緒
研二は笑う。
萩原研二
その言葉が、やけに嬉しかった。
軽い人だと思っていた。誰にでも優しくて、ふわふわしていて。でも、この人はずっと前から、ちゃんと未来を考えてくれていた。
松田深緒
萩原研二
松田深緒
松田深緒
松田深緒
松田深緒
研二がとても愛おしそうな顔をした。
萩原研二
松田深緒
萩原研二
萩原研二
研二が、深緒の左手の薬指をそっと撫でる。
萩原研二
松田深緒
松田深緒
モブ
モブ
萩原研二
松田深緒
萩原研二
萩原研二
松田深緒
萩原研二
そう言って研二は背を向けて歩き出した。
松田深緒
その背に向けて叫んだ。
萩原研二
松田深緒
萩原研二
萩原研二
今度こそ、研二はみんなの方へ歩いて行った。
同じ家に帰って。 隣で笑って。 子供ができて。 そんな未来が、当たり前みたいに浮かぶ。 その時の深緒は、疑っていなかった。本当にその未来が来るって。
コメント
1件
かわいい…今すぐに行って撫でまわしたい(は?) 今回も最高だった!