騎士と姫

君と出会ったのは19年前

俺が3歳、君が生後3日

母さんのお腹の中に赤ちゃんがいることは知ってた

俺がお兄ちゃんになることも

ま、今は覚えてないんだけどね

その日は乾いた風が頬を撫でるように通り過ぎてとても寒かった

俺は父さんに連れられて産婦人科に来ていた

コンコン

１年後

2年後

2年後の春

俺小3、真姫小1

俺小4、真姫小2

数日後

「騎士の勇騎がお姫様の真姫を守ってあげてね？」

それからマキは家族とめったに口を聞かなくなり、不登校になった

俺小5、真姫小3

俺小6、真姫小4

「学校行かなくなった理由まだわかんないの？」

その日はずっとその言葉が頭から離れなかった

「近寄らないで！」

「ずっとお兄ちゃんといるな！」

「ブラコン！ブラコン！」

ザワザワ

ドタバタ

バンッ！

「出かけてきます。」

騎士が...姫を守る...

確かにあの時は...俺が過保護だった

でも...今は違う...

マキは...苦しんでる...

姫が苦しんでる...

「騎士の勇騎がお姫様の真姫を守ってあげてね？」

そうだ...

あんな奴に...マキを...

騎士が...姫を...

俺が...真姫を...！

タッタッタッ！

ぼこっ！

ドンッ！

テクテク...

数年後

結婚なんて世間様の肩書きでしかない

ただの儀式だ

ただの自己満足だ

結婚しても離婚する人もいる

浮気する人もいる

でも、世間様に認められなくても、儀式が出来なくても

世界一の絆がある

世界一の愛がある

騎士と姫の恋愛は認められない

でも、それを認めてもらえるような愛がある

俺らは結ばれている！