え…。
そんな事が…
…ってことは…
ボク
ボク
ハルト
ハルト
渚
ハルト
ハルト
ハルト
ハルト
ハルト
ハルト
渚
ルイ
ボク
ハルト
3年後
ハルト
ボク
ハルト
ルイ
ハルト
ボク
最近、渚はよく森の中に1人で出かけることが多い。
初めは10分程で戻ってきていたのが、だんだん
1時間、5時間、1日と戻ってくるのが遅くなってきている。
ハルト
ハルト
ボク
これはおかしいかもしれない。
ちょっと心配になってきた。
ボク
ルイ
そして1時間程探すと、渚が見つかった。
ボク
渚
渚
渚
渚
声をかけた時、渚が何か隠した気がした。
何だったのか聞きたかったけど、 何故かこれは聞いちゃ行けない気がして、 何も言えなかった。
今思えば、 これが1番間違えちゃいけない選択だったのかもしれない。
ボク
渚
ルイ
ルイ
ハルト
渚
渚
渚
その数日後、渚は行方不明になった。
必ず森の中に居るはずなのに、 どこを探しても見つからなかった。
そのまた数日後、 渚は「どうやってこんな所に入ったんだ…」と思うような 森の奥の奥で、
首を吊っていた。
それが自殺なのか他殺なのかは分からない。
なぜ渚が突然死んでしまったのかも分からない。
ただ、最近突然どこかに出かけて帰ってこなくなったことに 関係があることだけは分かった。
こんなことって…おかしいでしょ。 人が死ぬ事が、いくらなんでも多すぎる。
この森は、呪われているのかもしれない。
そう思うと、突然ここにいる事が怖くなった。
そして僕は15歳の夏、
ルイとハルトに別れを告げて、
10年間暮らしたこの森から抜け出した。
しばらくしてから、10年前に交わした約束を思い出した。
2人で死ぬ…とか言っていたっけ。
あの森で暮らすうちに 生きることに必死になっているように見えたから、 もうやめたんだと勝手に思ってた。
まだ、渚の中ではあの約束が生きていたのかな…。
だったら…
━━僕も死ぬべきじゃないのか?
でも、何か…
違う気がする。
渚は…
なぜ、死ななければいけなかったのだろう。
僕は今日、20歳の誕生日を迎えるところだ。
あの後、行くあてもなくぶらぶら街を彷徨っていたら 警察に補導された。
その後養護施設に預けられ、今年で5年目。
前の森での生活の方が楽しかったけど、
この生活もなかなか悪くない。
あの頃、 僕はどうしてあんなに人に捕まる事を恐れていたのだろう。
捕まったって、怖くなかったんだ。
結局、僕のお母さんとはもうずっと連絡が取れていない。
きっと、これからも、ずっと。
ルイとハルトは今頃どうしているのだろう。
まだこの世界を恐れて 森から出てこれないでいるのだろうか。
もしそうだとしたら、
「案外こっちの世界も悪くないよ」って、
言ってあげたい。
ルイやハルトが見ている世界は、
ほんの小さな、狭い世界。
きっと、 あの2人がそのことに気付くのはもっと先なんだろうな…。
もしかしたら、一生気付かずにいるかもしれない。
少し、遠くを見るだけ。
たったそれだけで、僕は成長することが出来た。
ルイとハルトにも教えてあげたい。
そうだ。
あの森に、もう一度だけ行ってみよう。
そして僕は走り出した。
そして、5年ぶりに、あの森の場所に着いた。
はず…なのに…。
え…?
5年前に森があったはずの場所には、 ただのだだっ広い空き地が広がっているだけだった。
どういうこと…?
5年前に僕を補導した警察の人に聞いたら、
警察
警察
警察
警察
だそうだ。
でも、そしたら、渚はどこで死んだの?
渚も夢だったの?
だったら僕は誰に連れられてあの家から逃げ出したの?
意味が分からない。
そこで、 10年前のルイとハルトのお父さんの記事を探す事にした。
でも、どこを探してもそんな記事は載っていなかった。
ルイとハルトは夢だった…?
じゃあ、僕は10年間どこで過ごしていたの?
謎が残るけれど、 僕はあの森の存在があった事で今生きていけている。
時には森という「逃げ場」に行く事も大事なのかな。
無理して、あのままあの家で過ごし続けていたら、 僕はどうなっていたのだろう。
無理をしずに、生きる。
そんな大事なことに気付かせてくれた、 あの森には感謝してる。
これからもあの森は、 僕のように逃げたいけど逃げ場がない、 そんな人の前に
━━きっと、現れ続ける。
コメント
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ドキドキハラハラして、面白かったです!最後の結末が予想外で正直凄く驚きました(笑)