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ある夏が始まったばかりの、雨の日。 突然、インターホンが鳴った。 通販も頼んでいない。誰とも、約束なんかしていないのに… だが、ドアを開けたら、目の前には『Switch』のリーダーの逆先 夏目がいた。 彼が自ら自分に話しかける、なんてことも珍しいのに家にまで尋ねてきて何の用事があったのだろう。 …俺は聞き出してみた。家に来ることなんて滅多になかったから。 余程のことが、あったのだろう。
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君はそう言っていた。
梅雨時、ずぶ濡れのまんま
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部屋の前で泣いていた。
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夏が始まったばかりというのに
君はひどく震えていた。
そんな話で始まる
あの夏の日の記憶だ。
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そんな君に僕は言った。
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財布を持って、ナイフを持って
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携帯ゲームもカバンに詰めて
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いらないものは全部、壊していこう。
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あの写真も、あの日記も、今となっちゃもういらないさ。
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人殺しとダメ人間の
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君と僕の旅だ。
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そして僕らは逃げ出した。
この狭い狭いこの世界から
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家族もクラスの奴らも何もかも
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全部捨てて君と2人で
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結局僕ら誰にも愛されたことなどなかったんだ。
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そんな嫌な共通点で僕らは簡単に信じあってきた。
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君の手を握った時、
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微かな震えも既に無くなっていて
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誰にも縛られないで2人
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線路の上を歩いた。
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金を盗んで
。
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。
2人で逃げて
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どこにでも行ける気がしたんだ。
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今更怖いものは僕らにはなかったんだ。
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額の汗も
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落ちたメガネも
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あぶれ者の小さな逃避行の旅だ。
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あてもなく彷徨う蝉の群れに
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水も無くなり、揺れ出す視界に
。
警察。
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迫り来る鬼たちの怒号に
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バカみたいにはしゃぎあい
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ふと君はナイフを取った。
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そして君は首を切った。
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まるで何かの映画のワンシーンだ。
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白昼夢を見ている気がした。
警察。
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気づけば僕は捕まって
警察。
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君がどこにも見つからなくって
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君だけがどこにもいなくって
そして時は過ぎていった。
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ただ暑い暑い日が過ぎてった。
家族も
クラスの奴らもいるのに
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なぜか君だけはどこにもいない。
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あの夏の日を思い出す。
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僕は今も今でも歌ってる。
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君をずっと探しているんだ。
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君に言いたいことがあるんだ。
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九月の終わりにくしゃみして
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六月の匂いを繰り返す。
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君の笑顔は
君の無邪気さは
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頭の中を飽和している。
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