澪
言葉がわからなくなった君へ
澪
もしかしたら、これが最後の言葉になるかも知れません
澪
私の言葉がわからなくなった今でも私の声は聞こえますか
澪
あ、ごめん
声じゃないね
声じゃないね
澪
あまりにも悲しく
あなたの顔を見るのがツラいので
あなたのスマホに送っています
あなたの顔を見るのがツラいので
あなたのスマホに送っています
澪
私、卑怯かな?
澪
ごめんね
澪
あなたと出会ったのは
小学校入学の時だったよね
小学校入学の時だったよね
澪
あれから20年か
ずいぶんと前から知ってるよね
ずいぶんと前から知ってるよね
澪
というか、あなたのことは
けっこう知ってると思ってた
けっこう知ってると思ってた
澪
中学校の時や
高校の時
高校の時
澪
あなたとはまだ何もなかった頃
澪
学校も一緒だったからかな?
よく話してたね
よく話してたね
澪
けっこうあなたのことは
知ってると思ってたんだけどな
知ってると思ってたんだけどな
澪
二十歳になって
お互いがフリーになって
お互いがフリーになって
澪
私が泣きながらなぜだか
あなたに失恋の話をして
あなたに失恋の話をして
澪
あなたはちょっと笑いながら
ようやく俺の番になったねって
ようやく俺の番になったねって
澪
そのとき私も気付いたんだ
澪
あ、そうか、私にとって
あなたが
一番安心する人だったんだって
あなたが
一番安心する人だったんだって
澪
わたしを理解してくれる人は
あなただし
あなただし
澪
あなたを理解できる人は
私だし
私だし
澪
恥ずかしいけどそう思ったんだ
澪
もう私の言葉は
わからないかも知れないけれど
わからないかも知れないけれど
澪
ホントにそう思ったんだよ
澪
私たちが付き合い出した頃
あなたは自動車免許を
取ったんだよね
あなたは自動車免許を
取ったんだよね
澪
そして古くて
ちょっと壊れそうだったけど
ちょっと壊れそうだったけど
澪
かわいい安い軽自動車を
ようやく手に入れたんだ
ようやく手に入れたんだ
澪
あなたは大学生だったし
私は看護の専門学生だったし
私は看護の専門学生だったし
澪
二人のバイト代からだったから
とっても高価な買い物だったよね
とっても高価な買い物だったよね
澪
そんなオンボロな軽自動車だったけど
暇ができればいろんな場所に行ったよね
暇ができればいろんな場所に行ったよね
澪
山道でエンジンがかからなくなったりして、、、
あのときは焦ったなぁ
あのときは焦ったなぁ
澪
けれど二人でいるだけで
とても安心したし
とても楽しかった
とても安心したし
とても楽しかった
澪
今では二人とも仕事ができて
電車で通うようになって
車なんてあまり使わなくなっちゃったよね
電車で通うようになって
車なんてあまり使わなくなっちゃったよね
澪
だから駐車場代ももったいなくて、、、
思い出だったけど軽自動車を
知り合いの車屋さんに処分してもらったんだ
思い出だったけど軽自動車を
知り合いの車屋さんに処分してもらったんだ
澪
言葉がわからなくなった君へ
澪
思い出はいつでも胸にあるから
楽しかった出来事はいつでも思い出せるんだ
楽しかった出来事はいつでも思い出せるんだ
澪
ねぇ、そうだよね
それとももう、、、
それとももう、、、
澪
思い出すことすら
出来なくなったのかな?
出来なくなったのかな?
澪
少しでも、ほんの少しでもまだ理解できるなら
澪
私のお願いを聞いて欲しい
澪
そろそろ籍をいれようか
なんて言われて舞い上がっていた
私のお願いを聞いて欲しい
なんて言われて舞い上がっていた
私のお願いを聞いて欲しい
澪
舞い上がって
あなたの気持ちがわからなかった
私のお願いを聞いて欲しい
あなたの気持ちがわからなかった
私のお願いを聞いて欲しい
澪
もしかして
こんなあなたには叶えられない
最後のお願いに
なっちゃうかもしれないけれど
こんなあなたには叶えられない
最後のお願いに
なっちゃうかもしれないけれど
澪
私のお願いを聞いて欲しい
わたしに内緒で 勝手に買った あの変な形の車 今すぐ返してこい!!! 今すぐだ!
籍も入れるから 無駄遣いは できないね!! って 私言ったよね!!
私の言葉を 理解できなかったんなら あの変な車に ガムテープで グルグルに巻いたおまえを突っ込んで
一緒に海に 投げ捨ててやるからな!!
わかったか!! ぼけぇ!!