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ぬし
若井
元貴
若井
若井
ぬし
若井
涼架
元貴
夜の雨は、静かに冷たく降っていた
2025年5月
ツアーを目前に控えていたミセスグリーンアップル
スタジオで深夜のリハーサルを終え
若井が3人を送っていた
若井
若井
涼架
元貴
涼架
若井
若井
元貴
若井
十分後
若井
元貴
元貴
元貴が車を降りる前に言った
若井
元貴
若井
元貴
若井は笑って
ウィンドウを上げた
雨音がふたたび車内に満ちる
その数分後だった
カーブに差し掛かった交差点で
信号無視の大型トラックが若井の車を
正面から弾き飛ばした
車は電柱に激突し
大破
彼は後頭部を強打し、意識を失った
若井
涼架
藤澤涼架は、ベットに横たわる若井の手を握ったまま
かすれた声で言った
人工呼吸の音だけが、静かな個室に響いている
事故から一ヶ月が過ぎ
2ヶ月が過ぎ
それでも若井は目を覚まさなかった
元貴
元貴
元貴
元貴も、毎週欠かさず病院に来ていた
彼の目は、
歌詞を書くときと同じように真剣で
新しいアルバムの制作も
すべて一時停止
若井が戻ってこない限り
ミセスグリーンアップルは音を鳴らせないと思っていた
深い海のそこのような静寂
若井は真っ暗な中でずっと浮かんでいた
時間の感覚もなかった
ただ、どこかで音が聴こえていた
ギターの音
元貴の歌声
りょうちゃんのピアノ
遠くから、自分の名前を呼ぶ声も
何度も
何度も
若井
気づけば、若井は足元に光を見つけていた
そこへ向かって、若井は歩きだす
8月中旬
いつものように、元貴とりょうちゃんが
病室を訪れた午後
元貴
元貴がカーテンを開けた瞬間
若井
かすれた声が、病室に響いた
二人は凍りついたように、ベットを見つめた
若井の目が開いていた
元貴
涼架
涙が止まらなかった
誰もが祈り続けた瞬間が、ようやく来た
退院した若井は
リハビリを経て
スタジオに、戻ってきた
メンバー三人が顔を合わせたのは
およそ半年ぶりだ
元貴
若井
若井が笑った
その瞬間
ピアノが鳴り
ギターが鳴り
そして歌が重なる
音楽がまた、彼らの中心に戻ってきた
ぬし
涼架
若井
元貴
ぬし
ぬし
ぬし
元貴
ぬし