礼央
俺はあいつの気持ちを否定して、その記憶を消したのか、、?
礼央
そんなわけがない。
礼央
でも、あんなこと、忘れたくて忘れられるもんじゃない、、
礼央
何で、あの時、真剣に聞いてやらなかった?
礼央
何で、あいつの気持ちを無視した?
礼央
、、何でなんだ、、
俺は、他にも嫌な記憶がたくさん蘇った。
礼央を一度殴った、という記憶や、
お母さんに散々怒られて、家に入れてもらえなかった記憶や、
お父さんがお母さんをいじめていた記憶。
礼央
でも、嫌な思い出を全部忘れているわけじゃないんだよな
礼央
どうでもいい記憶も、忘れてる
礼央
別に悪いわけじゃない記憶も、忘れていたし、、
礼央
本当に。なんなんだろう。
また、忘れていくかもしれない。
それから、俺は一つのノートを作る事にした。
今まで思い出したことを、永遠に記憶するために。
礼央
俺は、色んな事を忘れながら生きてたんだな
礼央
他にも、忘れている事たくさんあるのかもしれないな、、
俺は、一つの仮説を立てた。
それは、礼央が死んだ理由が俺への思いを伝えられなかったから、ということだ。
それで思いつめていたのかどうかは分からないけど、
もし、そうなら辻褄が合わなくもない。
礼央は何度も、俺に想いを伝えているのにもかかわらず、
俺はそれを記憶から消し去ってしまう。
その上、想い人に彼女ができてしまった。
自分の想いすら覚えてくれない兄に、嫌気がさした
そして、そのことで悩んで、自殺しようとしたーー
そんなことはないと信じたい。
しかし今、頭を振り絞って考えても、このような仮説しか浮かばない。
礼央
でも、この仮説、、
礼央
俺が殺したのと同じだよな
礼央
はあ、、
礼央
何なんだろう、死のうとした理由は、、
礼央
何もわかんねえな、、
病室
医者の先生
やあ、久しぶりじゃないか
医者の先生
今日は、足の様子を見るんだったね
礼央
、、はい。
礼央
それと、また結弦に会いにきました
医者の先生
そうか
医者の先生
診察が終わったら、行っていいよ。スタッフに言っとくから
礼央
ありがとうございます、、
医者の先生
いいや
医者の先生
さて、見してもらおう、、
礼央
はい
俺は足を先生に見せた。
医者の先生
ちょっと待ってね
医者の先生
良くなってるよ。あと3日しないうちに、松葉杖は取れるだろうね
礼央
そうですか
礼央
よかったです、松葉杖大変だったんで
医者の先生
そうだろうね
医者の先生
、、、、前から思っていたんだけど。
礼央
はい
医者の先生
君、前にもここ、来たことあるでしょ
礼央
、、、え?
医者の先生
お父さんに連れてきてもらってたような気がするね
礼央
、、父は、今はいないので、、、
医者の先生
おや、事故か何かかな。心中お察しするよ。こんな話してすまなかった
礼央
そ、そうじゃなくて
礼央
今は、僕たちの家族じゃないってことで、、
医者の先生
、、ああ、そうなんだね
医者の先生
で、君は、前にも手を骨折したって、君がお父さんに連れてきてもらった
礼央
(礼央が骨折なんて、あったっけ?)
医者の先生
でも、結局捻挫だった。 お父さんはひどく安心してたよ
礼央
あの人が、、
礼央
あの、それっていつ頃ですか
礼央
(多分相当昔なんじゃないか?)
医者の先生
、、おや、覚えてないのか?
礼央
あ、、えっと、、
医者の先生
ちょうど一年前くらいかな。
礼央
(なんだって!?)
礼央
(一年前なんか、、お父さんはもう俺たちの父じゃなくなってる時期じゃないか!)
医者の先生
何か?
礼央
ああ、何でもないです、、
礼央
(ありえない。俺だって、お父さんが家を出てから、この前お見舞いに来るまで、一度も会わなかったんだ)
礼央
(ってことは、礼央はお父さんが家を出てからも面識があったっていうのか、、?)
医者の先生
で、君の手を見たのが、この私だ
礼央
えっ、、、
礼央
そうなんですね。よく、覚えてないんで、、
医者の先生
、、、、、
礼央
僕、病院に行くことが多かったから、先生の顔をいちいち覚えてはいないです、、
医者の先生
それが、そんなはずはないんだよ
医者の先生
まず、君のお父さんと私は古くからの仲だったからね
医者の先生
あの日、君のところにお見舞いに来ていたのは知らなかったけど
医者の先生
まあ、それで君と私も仲良くなって、きみは私の家に来たこともあった
医者の先生
私に小説を貸してくれもした。
医者の先生
結弦くんと私は、特に面識はなかったけどね。
礼央
そ、、そうなんですね
医者の先生
まさか、私のことを本当に知らないというわけじゃないだろう?
医者の先生
階段から落ちて、私のことを忘れたのか?
医者の先生
それとも、
医者の先生
、、、、君は、誰なんだね?礼央くん






