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寝起きの青桃です。
青side
リリリリリ、リリリリリ。
決して鼓膜を破られるほど 大きくはないけれど、 ずっと聞いていると 少し嫌気がさしてくるような 携帯電話の目覚ましが鳴り響く。
重い瞼をゆっくり開くと、 カーテンの隙間から差し込む光が 顔を照らし、その眩しさに 思わず瞳を細めた。
体全体を包んでいた布団から 右手だけを取り出し、 枕の隣に無造作に置かれている 携帯電話の画面を押す。
その瞬間、ぷつりと音が止んだ。
取り出した右手から感じる 外界の冷気に身を震わせた俺は、 先程のアラームをお構いなしに 再び身体を熱で覆って目を閉じる。
いふ
...すると腰あたりに感じる 謎の違和感。
やけに背中が熱い、 そう思って後ろを振り向くと 明らかに膨らんだ布団が 俺の背後から挨拶をしてきた。
その正体を知りながらも、 中身を暴くために 欠伸でぼやけた視界の中、 ほんの数センチ 掛け布団を下げてみる。
ないこ
布団から飛び出したのは、 幸せそうに口角を上げながら 健やかな寝息を立てる恋人の顔。
まだ意識は夢の中なのか、 ないこは突如攻撃する外の光にも 眉を動かすことも無く、 すやすやと柔らかいベッドに 身を預けた。
が、眠りは浅くなるようで、 数分経つと呻き声が漏れると共に 顔がほんの少しだけ歪む。
いふ
頭は起きていないはずなのに、 百面相を行う恋人が可笑しくて 思わず一人、笑みが溢れた。
先程から俺の体の一部を熱くしているのは彼の仕業らしく、 現在は俺がないこの方を向いているからか、背中に腕が回されている。
いつも通りふわふわの、 だが所々寝癖ではねている 桃色の髪の毛を優しく梳いてやると、 彼は口元をむにゃむにゃ動かして、 より胸に顔を近づけた。
温もりが背中からお腹、 そして胸と伝っていく。
リリリリリ、リリリリリ。
可愛らしい恋人の寝顔に 見惚れている間に、気がつけば 10分が経過していたらしい。
起きる前に止めた筈の 携帯電話のアラームが、 スヌーズとなって もう一度部屋の中で鳴った。
流石に10分目を開いて 彼女の姿を見つめていると、 あれだけ重かった瞼もすっかり開き、 頭も昼間と同じくらいには 冴えている。
今日は一応二人とも休みの日だが、 当番制の家事を行わなければ明日、 担当のないこに怒られてしまう。
名残惜しいが、と思いつつも、 俺の背中に回している彼の手を 取り外そうとした...その時。
ないこ
離れたくないと言うように、 彼は俺の寝巻きの布をギュッと掴み、 顔をゆっくりと胸に押し当てて 精一杯息を吸い込んだ。
やはり勿体無いか、 と己の中の悪魔が囁き出す。
しかし、このまま流されると 理由がどうであれ、 家事を行わなかったと 怒られるのは俺である。
別に可愛い彼女に怒られるのは むしろ本望であるが、 その後のご機嫌取りは ちょっとばかり難しい。
いふ
許しておくれと、 自身の上半身から布団を剥ぐと、 彼はすぐに手の力を緩めた。
寂しそうに、冷めた熱が 俺の身体から離れていく。
いふ
そしてしばらく、 上から立体的に彼の寝顔を 見つめていると...その耳が、頬が段々と朱色に染まっていくのが見えた。
俺は徐に、彼の潤ったピンク色の唇へと口付ける。
ないこ
長く堪能するようなキスを送ると、 息が苦しくなったのか「んっ」、 と小さな吐息が ないこの口の端から漏れた。
いふ
ぱっちりと目を開けた恋人の額に 二度目のキスを送ると、 決まり悪そうな表情で 彼は頬を膨らませた。
ないこ
いふ
ないこ
彼が俺の寝巻きの布を握る手の力を 強めた時から、何となくないこが 狸寝入りしているような気は 感じ取っていた。
いつもは俺が朝、 悪戯を仕掛けているから、彼なりの仕返しのつもりだったのだろう。
しかし、それはあっさり俺に 見破られてしまい、目覚め悪そうに ないこは布団から身体を起こした。
いふ
ないこ
心から不思議そうに 首を傾げる彼の可愛さに悶えつつ、 ベッドから床に足を下ろして 天井に向かい、大きな伸びをする。
左手をそっと差し出すと、 特に何かを気にする様子も無く、 ないこはその手を握り返した。
後ろに手を引っ張って 強制的に彼をベッドから立たせる。
いふ
ないこ
いふ
ないこ
いふ
他愛も無い話をして、寝室を出る。
彼の可愛い寝顔を見れるのも、
彼にちょっとした悪戯を 仕掛けられるのも、
したい時にしたいだけのキスを 送れるのも、
こんな朝を過ごしていけるのも...__
全部が全部、『俺だけの特権』。
うらら
うらら
うらら
うらら
うらら