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威榴真side
部室で澄絺と夏都と顔をつきあわせ 俺は付箋だらけになった台本を捲る。
それとなく2人の様子を確かめると どうも手つきが怪しい。
慌てて戻ったり、絶妙なタイミングで 数ページ分を捲ったりを 繰り返している。
紫龍いるま
映画は撮影すれば終わり というわけではなくその後の 編集作業によって大きく変わる。
締め切りから逆算すれば そろそろ撮影を終えて いなければならない時期だ。
紫龍いるま
ここからは俺が バトンを引き継ぐ番だ。
自然と台本を持つ手に 力がこもり声にも張りが出る。
紫龍いるま
紫龍いるま
春緑すち
疲れ気味の声で応じる澄絺の隣で 夏都もぐったりした様子で頷く。
矢継ぎ早に質問するのも気が引けたが 現状を把握できなければ スケジュールの管理もできない。
申し訳ないと思いつつ俺は メモをとりながら続ける。
紫龍いるま
赤暇なつ
歯切れの悪さに俺は 須智に目配せをする。
澄絺は苦笑しながら首をふり 夏都へと視線を動かす。
紫龍いるま
恋醒への連絡は澄絺と共謀し 夏都が担当することになっていた。
やり取り自体はLINEなのだが それでもかなり緊張している ようだったから気になって はいたのだが ... 。
紫龍いるま
赤暇なつ
心外だと眉を顰める夏都に 俺と澄絺が遠慮なく ツッコミを入れる。
紫龍いるま
春緑すち
赤暇なつ
赤暇なつ
赤暇なつ
夏都はドンッと胸を叩いて見せるが 辛い顔も覗かせていた。
紫龍いるま
赤暇なつ
俺の指摘に再び夏都が しどろもどろになる。
あと1押しだろうかと 考えていると不意に澄絺が 「ぁ、」と声を零した。
春緑すち
紫龍いるま
実際澄絺の推理は図星だったらしい。
夏都の顔色が一気に青ざめ やがて渋々といった様子で頷いた。
赤暇なつ
赤暇なつ
どこかで聞いたようなセリフに 澄絺はしきりに頷き、俺は頭を抱えた
春緑すち
紫龍いるま
経験による俺の悟りきった 発言に苦笑しながら夏都が続ける。
赤暇なつ
赤暇なつ
紫龍いるま
頭をガシガシとかく俺に 澄絺はすかさず「何が?」と 聞き返した。
これには夏都も驚いたのか ぽかんと発言の主を見つめている。
澄絺は2人分の視線を 一身に浴びながら 特に気にした様子もなく あっけからんと言う。
春緑すち
春緑すち
赤暇なつ
春緑すち
春緑すち
次の瞬間、水を打ったように 静まり返った。
澄絺の言葉を借りれば 恋醒は高校生になっても 初恋がまだということになる。
紫龍いるま
紫龍いるま
俺が内心で独り言ちると 徐に夏都が口を開いた。
赤暇なつ
紫龍いるま
紫龍いるま
春緑すち
ふふっ、と小さく笑う澄絺に 俺は顰めっ面になる。
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