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威榴真side
紫龍いるま
咄嗟に言い返そうとしたが 八つ当たりだと分かって いるから口にはしなかった。
代わりに少し意地の悪い質問をする。
紫龍いるま
春緑すち
春緑すち
なんてことない口調だった為 咄嗟に反応が遅れた。
暑さでやられかけた脳を 1周、2周してようやく 状況を理解する。
紫龍いるま
赤暇なつ
夏都も椅子から立ち上がり ブンッと空を切って澄絺を指差した。
だが当の澄絺は机に頬杖をつき 茶の間でバラエティ番組でも 見ているかのようだ。
春緑すち
赤暇なつ
赤暇なつ
我がことのように必死になる夏都を 澄絺が眩しそうに見上げて言う。
春緑すち
赤暇なつ
紫龍いるま
俺も安堵の息をついたが 肝心の部分が有耶無耶になった ままだったと思い至る。
さきほども『美琴とどうなのか』と 聞いて、はぐらかされたばかりだ。
俺の方も意図的に 『2人の仲に進展はあったのか』 という言葉を省きはしたが 澄絺がまったく動揺を 見せなかったことが気になっていた。
紫龍いるま
赤暇なつ
ここぞとばかりに夏都が乗っかり 相変わらず2対1の構図のままだ。
だが澄絺はやはり腰を 浮かせる様子もなく「ふーん」と 面白くなさそうに呟いた。
そして身を乗り出した夏都を通り越し 俺に向かって普段の澄絺からは 想像し難い鋭い視線が飛んでくる。
春緑すち
春緑すち
春緑すち
春緑すち
頭を殴られたような衝撃だった。
俺は言葉を失い呆然と 澄絺を見返すしかない。
紫龍いるま
痺れがとけた脳が ゆっくりと動き出す。
そうして浮かんできたのは これまで必死になって 目を逸らしてきた事実だ。
たとえ蘭が澄絺を思っていても 澄絺が別の人を思っていれば 最悪の事態は免れる。
告白予行練習の相手に 選ばれてからずっと そんな最低な事を願っていた。
しかも後ろめたい気持ちに 気付かないように蓋をして、 鍵をかけて蘭の理解者のふりを してきたのだから救いようがない。
紫龍いるま
赤暇なつ
どれくらいぼーっとしていたのか 気が付くと夏都に名前を 呼ばれていた。
目が合うと心配そうな表情に ほっとした色が混じる。
赤暇なつ
紫龍いるま
咄嗟に何も言えないでいると 早速帰りの支度を始めた澄絺が頷く。
春緑すち
春緑すち
赤暇なつ
ハハ、と夏都の乾いた笑いをBGMに 澄絺の視線が再び俺に向けられた。
先程のような鋭さはなく いつもの澄絺の優しい 表情を綻ばせている。
春緑すち
紫龍いるま
紫龍いるま
俺も席を立ち、 とっておきの情報を提供する。
赤暇なつ
赤暇なつ
その後はもう いつも通りの空気だった。
3人で何でもないことで バカ笑いしながら部室を後にする。
紫龍いるま
春緑すち
春緑すち
春緑すち
春緑すち
澄絺の真意までは分からなかったが 俺にとっては意味のある 問いかけだった。
何が問題なのかはっきりすれば 解決したも同然なのだから。
校門を出る瞬間 澄絺だけに聞こえるように呟いた。
紫龍いるま
春緑すち
澄絺は一瞬不意をつかれた 表情をしてからニコッと 笑って軽く俺の背中を叩いた。
春緑すち
紫龍いるま
コメント
3件
最後の紫緑の絡みが好きすぎます✨💕 続き楽しみです!
一気見しました!! 自分こういう系の大好きで、書いてくれる人少なかったのでめっちゃ嬉しいです! 見た瞬間これは神作だ!と思いました! これからも無理せず頑張ってください!応援しています!