小夜が駆け寄るとその人は立ち上がって作用を抱きしめた
お客さん
ごめんねお米を研いだばかりに お米を研いだばかりに 佐用に温かいご飯を食べさせたかったのよ
月の光で見えたその顔は血だらけだった
翌日
ゆうこは崖の下に倒れているところを発見された気絶していただけで怪我はなかったけれどそれから何日も高い熱が続いた 熱が下がって少し食欲が出るとおばあちゃんがおかゆを作って枕元に持ってきてくれた
ゆうこ
さよちゃんと あの女の人は
誰も何も言わないのでゆうこの方から聞いた
おばあちゃん
あのお客さんなら帰ったよ
ゆうこ
すごい怪我をしていたでしょちだらけだったわ
おばあちゃんはため息をついた
おばあちゃん
ゆうこも見たんだねあの川のほとりのことを
ゆうこ
じゃあおばあちゃんも
おばあちゃんはゆっくり頷いた
おばあちゃん
ゆうこと同じ歳くらいのときにね羨ましい伝わる話があるんだよ昔戦があって負けた殿様の家族が裏山に逃げ込んだそうだしばらくは誰にも気づかれなかったんだけどあると聞いた気から流れてくる水が白く濁っていたそれで隠れていることがバレて殿様の奥方と小さなお姫様は殺されてしまったお姫さまに温かいご飯を食べさせたくて奥方が川の水でお米を研いだと言うんだよ
ゆうこ
それじゃああの夜泊まった女の人とさよちゃんはその奥方とお姫様
おばあちゃん
自分の不注意から見つかってしまったことがよっぽど悔しかったんだろうね
ゆうこ
また来るかしらあの二人
おばあちゃんはだまっていう子を抱きしめて背中をさすってくれたおばあちゃんの体も震えていた
外に出られるようになると すぐゆう子は裏山の崖に入ったいくら探してもさやと登った階段は見つからなかったただ滝から流れ落ちる水がかすかに白く濁っていた