君がいる

夢を見た

実家に居た頃の夢だ

時々昔の夢を見る

楽しくなかった思い出の方が比較的に多い

でも別に、楽しくなかった思い出しか無いわけじゃねぇ

なのにいつも夢に出てくるのは嫌な記憶ばっかだ

「…もうダメ」

「…私育てられない……」

「育てちゃダメなの…」

聞き覚えのある優しい母の声

でも俺の記憶の中の母さんはいつも泣いていた

悲しそうで、震えていた

俺が口を開き「母さん…？」と呼ぶと母さんはこっちを向いて、絶望と恐怖の目で俺を見る

…そして煮え湯を浴びせられる

ﾊﾟﾁｯ

目覚めるといつも冷や汗をかいている

鼓動も早く、今にも心臓が破裂するんじゃねぇかと思うくらいだ

過呼吸のせいで目眩がする

これが俺の日常

今は爆豪と同居している

一人の時もよくこの夢を見ていた

…でも今は一人じゃない

…目覚めて隣を見れば爆豪が居る

それだけで安心する

俺が過呼吸になってたらすぐに爆豪が気付いて、俺の背中をさすって抱き締めてくれる

…だから俺は、生きていられるんだ

…だから俺は…、お前が居なくなったら……＿＿

ﾋﾟｼ…(デコピン

爆豪はいつもこうやって俺の不安を溶かす

俺が不安に思ってる時、真っ直ぐ俺の目を見て、俺の欲しい返事をくれる

俺”だけ”を見てくれる

その瞳を見る度思う

その綺麗で赤い瞳に俺だけが映ってるって

…”テメェしか見てない” そうやって俺に訴えかけてくる

だから俺は安心して、また眠る

こんなの依存だ

…普通じゃねぇしおかしいのは分かってる

…でも辞められない

辞めたくない

離れたくない

その瞳に俺だけを映してて欲しい

…そう思うんだ

だから爆豪

…俺から離れないでくれ