今日もらったチョコを

1口つまむ

本当なら甘いはずなのに

何故かこのチョコは苦かった

ずっとずっと苦かった

こんなはずじゃなかったのにな

毎年恒例のチョコレート

嬉しいはずなのに

ほんとはどこかで期待して

勝手に落ち込んでる自分がいる

恋って上手くいかないんだな...

ふと目を後ろにうつすと

チョコが入っていた鞄の中から

1つの袋を見つけた

少し頬を赤らめて

照れながら

そう言った

ほんとは行ってほしくないのに

こんなこと言いたくないのに

そう言うしかなかった

俺の長かった恋はこの一瞬で

なくなった

緊張してる香純の背中をおして

見送ったあと

教卓の上に伏せた

何もかもが壊されて

何もやる気になれなくて

ずっと傍にいた俺が

どこの誰か知らないけど

香純の好きな人に負けて

悔しくてしょうがなかった

何となくもらったチョコを食べてみる

本当なら甘いはずなのに

今年のチョコは苦かった

まるでこのチョコの甘さが苦さが

今俺の気持ちを表しているようで

更に虚しくなる

これぐらいの甘さが

ちょうどいいのかもしれない

ガチャ＿＿

どれくらい時間が経ったか

わからないけど

しばらくしたあとに

扉の開く音がした

音のした方に目をやると

涙でいっぱいの香純がそこにいた

俺に気づいた香純は

慌てて涙を拭き取って

俺に話しかけた

涙を我慢してるのか

笑顔が引きつってるようにみえる

香純は自分の荷物をまとめて

教室から出ていく

そんな香純の後ろ姿を見て

声をかけてしまった

そう言葉をかけてやると

香純は泣き崩れた

この時支えてあげられたら

どんなに素敵なことか

そう思うけど

今の俺には出来ない

泣き崩れるぐらい

その人のことが好きだった

ってことだもんな

そんなとこに俺の入る隙間なんかない

ただ気がするまで泣いている香純を

見守ってやることしか

俺には出来なかった

俺の恋が実るのはまだまだ

先になりそうだな

そう、香純の天然さで気づいた

次からはもう香純を泣かせないから

始まりの見えない1人の恋が

今日も進んでいく...

来年こそは甘いチョコが食べられますように