好き

目の前には、メンバー二人の姿が見えた

ふわふわした髪に、長いまつげ

大きな目に、形の整ったぴんくの唇

白い肌には、自分のものという証をつけたくなる

そんな、俺の

好きな人りぃぬは、どうやら二人で出かけるようだ

今日は、なんだかだめな日かもしれない

ため息は、すぐ出るし

今の関係を崩したくなくて

好きとたったこの2文字を伝えられない

自分が情けない

でも、もしも

好きと伝えて、今の関係が劣化したら？

グループで活動できなくなったら？

もし、

もし、嫌われたら？

失望した目を向けられるのが、

この上なく、怖い

どんどん悪い考えが出てくる

あざとく、首を傾げてきょとんとしている

自分がこんな気持ちを持っているのも

こんなにも、情けないのも知られる訳にはいかないから

いつもの、最強エンターテイナーとして

笑顔を見せる

りぃぬのことで悩んでるんやで

なんて、言ったらどうなるんだろう

今、目の前にいる人に好きと伝えられない

今の関係を自分のせいで崩したくない

そんな悩み事伝えたら、どうなるんだやろ

その疑問の答えは、たぶん

一生、答え合わせできないんやろうけど

いつも唐突に現れる

やっぱり、

あんな悩み事を抱えていたとしても

諦めきることはできなくて

浮かれてしまう

すでに顔が赤くなっているりぃぬ

自分の顔も暑いことから、俺自身も酔ってるんだろう

頭がふわふわする

あ、やばい

今、しっかり笑えてた？

りぃぬは、笑ってた？

ぴ〜んぽ〜ん

お酒を飲んだとき特有の感覚が襲ってくる

二人とも程よく酒が回ってきた

そんなこと言わないでほしい

期待させないでほしい

それって、

いや、からかってるだけかも知れない

俺が、りぃぬと結ばれるなんて

付き合えるなんて、夢物語だから

大きな目に涙が、溜まる

ついには、それが溢れた

頬を伝って、床に落ちる

しっかりと、正面を

俺を見て、話してくれる

涙を拭き取ると、立ち上がって言った

今、このままだったら一生この関係だった気がする

でも、俺が本当に望んでる関係は今のままじゃない

あ、はい

没👎