世界はモノクロで出来ている
当時、桃朝のあという少女は本気でそう思っていた
裕福な家庭に生まれたのあは、才能に恵まれていた
たった6歳で大人顔負けの知識を有してしまった
初めて手にした楽器は1時間あれば使いこなし、歌を歌えば鳥が寄ってきて聞き入る始末
詰まる所、のあは人類史に残るくらいの規格外の天才だった
だかそれが故に、のあは世界への興味を段々と失ってしまった
人並み以上に出来てしまう彼女は 挫折を、苦難を、達成感を知らない
そんな彼女の世界は、色褪せてモノクロ映画のような色のない世界になってしまった
ある日、のあは両親と共にちょっとしたパーティーに参加していた
そこで、のあは出会った
色のない中の世界で、 鮮やかな白と黒のコントラストを輝かせる不思議な存在に
メイド
メイド
のあ達が座るテーブルにワゴンを運んでやって来たのは、 黒いドレスに白いエプロンとキャップを身に付けた女性だった
のあ(幼少期)
母
母
のあ(幼少期)
メイド
———のあの心の中で何が弾ける音が聴こえる
色を失ってしまったのあの視界に、 メイドの白と黒は本当によく映えた
のあ(幼少期)
母
母
話としてはたったそれだけ
白いエプロンを纏った黒いドレスの 女性が
のあに優しく微笑んでくれただけ...
だがそれは、
のあにとっての 世界の色彩を取り戻す 大きなきっかけになった
コメント
1件
めっちゃすごい!うち多分、こんな感じの考えつくことできんw