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新章に向けて新しいキャラがたくさん出てきましたね!! 次回からも楽しみにしております!
────私の名前はイルシス。
とある王国の第一王女だ。
今は部屋にこもって仕事中。
これが王家の宿命だと分かっていても、面倒くさいものは面倒くさい。
王家、か……。
イルシス
あぁ、声が漏れてしましった。
私室とはいえ、気をつけないと。
メイド長のシロが私の呟きを聞いたのか、首を傾げて訊ねた。
シロ
イルシス
逡巡は一瞬。
長引けばあとでどこからどんな噂を流されるか分かったものじゃない。
イルシス
シロ
シロ
シロが他のメイドを呼ぶ。その隙に私はほっと安堵の息を吐いた。
あ、あぶなかった~。
さっきみたいな物騒な発言、本音だとしてもできるだけしないようにしなくちゃ。
……ここでは、周りにいるメイドたちも信用できない。
皆、メイドという名の見張りだ。
そして、彼女らをここに潜り込ませたのは現王の弟。
イルシス
イルシス
愚痴を言っても環境は変わらない。
そんなこと、十分に分かっている。
変えるなら、私が動くしかないことも。
イルシス
────私は、知っている。
それでも、少しくらいぼやかせて?
息抜きは大事だと、あなたも言っていたじゃない。
というわけで、遠慮なく。
幸い近くには誰もいない。
私は細心の注意を払って、よほど近くでしか聞き取れない音量で呟く。
イルシス
────レミ。
ある日突然空から落ちてきた、不思議な女の子。
皆何を考えているのか分からない王宮で、唯一単純な思考の持ち主。
……思いつめた表情をしていたから少し休暇を出したのだけれど。
はぁぁぁ~。
本音を言うと早く帰ってきてほしい。
あの子がいないと私の癒しがないのだもの。
だから早く、できるだけ早く、早急に!
私はシロから紅茶を受け取りながら、そう切実に願った。
私の名前はディテフ。
約千歳の中身はおじいちゃん。
見た目は……。
三十歳くらいをキープしてくれてたら嬉しいなぁ。
今更どうでもいいことではあるのだけれど。
ディテフ
猫
……猫・だ!
友人の墓参りの帰り道に、こんなに素敵なプレゼントがあるなんて!
すかさず私はその猫を拾い上げ、撫でたり自分の頬を擦り付けたりする。
……猫は嫌がっていたけれど。
○○○
気が付くと隣には○○◯が。
まるで変態を見るような目つきで私のことを見ている。
ディテフ
ディテフ
ディテフ
○○○
ディテフ
ディテフ
○○○
ディテフ
○○○
○○○
○○○
そう言って○○○が猫に手を伸ばすと、猫は私の腕をするりとすり抜けて○○○の元へ。
な、なんて薄情な……。
い、いや、これは愛情の裏返しで、実はこの子も私の事を────。
猫
好いているわけなかったですね! すみません‼︎
……え? 何私嫌われた……?
あまりの衝撃に打ちひしがれている私の横で、◯◯◯がポツリと呟いた。
○○○
ディテフ
○○○
ディテフ
○○○
ディテフ
ディテフ
○○○
○○○
○○○
○○○
ランドールと言う世界の、とある屋敷の庭の一角で。
あたしはガーデンチェアーに座り、今日の日付から一週間前の新聞に目を通していた。
○○○
○○○
新聞片手に不気味な笑い声を漏らす、今年十五歳になるあたし。
何を考えているのかというと
○○○
○○○
メイア
メイア
そう答えてくれたのは今年二十歳になるメイアだ。
彼女はあたしの召使なんかじゃない。
そもそもあたしは庶民の出で、こんな庭付きの豪邸に住むような人種じゃなかった。
そんなあたしが何故庭付きの豪邸に住めて、あたしより年上の子が近くに付いているのかと言うと……。
メイア
メイア
○○○
メイア
メイア
メイア
○○○
○○○
○○○
メイアの口を塞ぎながらあたしはパチンとウインク。
……若干話題をそらした感が否めないけど仕方がない。
どこで誰が聞いているのか分からないのだから。
○○○
メイア
○○○
メイア
○○○
上目遣いでメイアにおねだりしてみる。
彼女に反対されることは分かりきっていた。
……だけど。
あたしは怪盗を許すつもりはない。
地の果てまで追いかけて、必ず捕まえてやる。
怪盗がこの世から消えていなくなるまで。
未来永劫、絶対に、私はあいつらを許さない。
○○○○
誰にも気づかれないよう小さな声で。
ボクはこっそりと呟いた。
ここはあくまでも国際警察連合の本部。
仕事中に盗み聞きしていたとバレればボクの立場が危うい。
……まあバレるかバレないかってのはなかなかスリルがあって面白いけど。
クスっと笑った拍子に机の上に置いてあった幼い頃の妹の写真が目に入った。
────何年か前に生き別れになった妹だ。
今はどこで、何をしていますか?
無事なら連絡を寄越してくれればいいのに。
○○○○
キミに会うためにボクはここまで登りつめたのだから。
────王国のはずれにある森で。
俺は素振りをしていた。
○○○○
15005、15006、15007……。
言うまでもなくこれは素振りをした回数である……15008!
今日は続けて20000回するつもりだ……15009!
王宮騎士団長である以上、常に強くあらねばならない……15010!
それこそが……15011!
"大騎士"が残していったものを継ぐということだ……‼︎
……ん?
し、しまった。
普段使わない頭を使いすぎてしまった……っ。
素振りした回数を忘れた!
○○○○
○○○○
素振りをする回数が増えて、力がつくということだ、何も悪いことではあるまい!
1、2、3、4…………。
看護師
看護師
看護師
△△△
そう目の前にいるであろう看護師にわたしは答えた。
看護師
そう渡された手袋を自分の手にはめる。
……わたしは生まれつき目が見えなかった。
皆が当たり前に見ている景色すら、わたしには分からない。
その代わり……。
天はわたしに視力以外の全てを与えた。
聴覚、嗅覚、味覚、触覚、運、知力、魔法の才能……。
全て一流以上のものを与えてくれた。
……けれど。
わたしは視力を与えなっかた昔の“己”を、それを許した天を憎んでいる。
だから医者になったのだ。
いつか……いつか。
△△△
────ランドールという世界にある、俺の飛行船の中で。
クロト
俺はソファーに座り小一時間ほど考え事をしていた。
デティフに言われてからずっと考えている。
俺ってそんなに未練タラタラに見えていたのだろうか、と 。
それは……。
それは、そんなのは、格好良くない。
怪盗として。一人の人間として。
けれどそれ以上に、俺はレミになんて失礼なことをしてしまったのだろうか。
デティフにも言われた。
『昔の恋人を今の恋人に重ねる馬鹿がどこにいるのか』と。
……いや、今世も前世も俺に恋人なんていなかったわけだけど。
今の俺の状態を例えるならばこういうことだ、ってことらしい。
うん、俺、もの凄く失礼なことをしていた……!
クロト
ポツリと出た言葉は、どちらに向けられたものだったのだろう。
……決まっている、両方に、だ。
……しかし、どうやって謝ろうか。
彼女はもう故人で、そしてレミはきっと作戦を成功させて、今頃地球で過ごしているだろう。
過去の過ちを、謝りたいのに謝れない。償いたいのに償えない。
あぁ、もどかしい。
俺はこの気持ちを、一体どこへ仕舞えばいいのだろうか。
クロト
クロト
────不意に、風が吹いた。
……ここは室内だ。今日は雨だったから、窓も閉めている。
だというのに風はどんどんと強くなり、渦を形成していく。
クロト
言葉を失ったのは、その中心に銀色が見えたからだ。
風の渦はゆっくりと俺に近づいてゆき、パチンと泡が弾けるように消えた。
現れたのは────レミだった。
クロト
…………どういうことだ。
彼女は、作戦に失敗したのか。
俺がどの言葉をかけようか迷っていると、レミは今にも泣きそうな顔で、必死に微笑み──
────ただいまと、言った。
そして。
レミ
レミ
泣くのを堪えているのか、言葉の区切りが多い。
レミ
レミ
重大なことを言われた気もするが今はどうでもいい。
……何があった?
ここではない異世界に、彼女の居場所を取り戻したのではなかったのか。
クロト
レミ
レミ
レミ
レミ
レミ
その後レミが言った言葉はあまりにも小さすぎて聞こえなかったが、納得した。
……そうだよな。
いくら何でも酷いことをした。
レミも分かっていたんだよな。
謝らなければ、と思った。
だって、もう謝れないと思っていたレミが今ここにいるのだ。
……軽蔑されてもいい。
今更と思われてもいい。
謝罪を、しなければ。
クロト
クロト
俺が謝罪をした途端レミはなぜか下唇を噛んで俯き、ボロボロと大粒の涙を流した。
レミ
……え?
あれ、なんで?
どうしてレミは泣き出したんだ?
……いや、きっと俺の謝罪の仕方が悪かったんだ。
そう考えた俺は、もう一度丁寧に謝ることにした。
クロト
ほんの一瞬レミは泣き止んだ。
が、再び大号泣。
レミ
………………。
誰かどういうことか俺に説明してくれ‼︎