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次の日からは、いつもより弟子の鍛錬を強化した。

頃合いを見てポートマフィアから抜けようとしている身なのだから、

抜け出せなくなる前に彼には一段と強くなってもらいたい。

いや、別に今日からでなくても構わないのだ。

ただ、太宰がいるから、

少しでも敦をまとう芥川の影を意識しなくてもいいようにしたかったのが本音かもしれない。

中原中也

……ああ、クソ!

中原が床に勢いよく倒れ込む。

中原は体術が上手く駆使できていない。

中原の攻撃は単純でとてもわかりやすい。

加えて元々の力強さに頼って力任せに戦っているように見えるから、

簡単にかわされ、こちらが一方的に力を消耗しまうため長期戦は難しい。

中島敦

中也くん、僕云ったよね。

中島敦

中也くんは、自分の力に頼りっきりだって。

中島敦

異能を上手く使えるようになったのは良いことだけど、それじゃあ余裕がないでしょ?

中島敦

ね、太宰くん

太宰治

本当、敦さんの言う通りです。

太宰の異能は異能無効化だから、

中原の体術の向上に関してはとてもありがたい異能である。

太宰に関しては、中原の異能は通用しないからだ。

それに、パッと見た感じ、二人は芥川と敦の跡を継ぐ、

つまり新たな双黒になる可能性が高いのだ。

芥川と敦の共闘。

双黒の戦い方については、かなり有名な話である。

昔、芥川と共に一夜で敵対組織を一掃したことがある。

それも、単に力が強いどうこうではなく、異能を、上手く利用した戦い方だった。

まず敦が前衛を担って、あえて月下獣を暴走させる。

そうなると、敦自身も制御できないが、時間に限りがあるため、その時間を有効的に使い戦う。

そして、芥川が後衛に立ち、羅生門で敦の異能を少しずつ制御しつつ、敦が受けきれない攻撃を避け、攻撃をする。

そうやって敵対組織を一気に片すことができた。

そう、そして前述した説明をもう一度見てほしいのだが、

これを見ると、敦が武闘派、芥川が頭脳派、と分かれているのが見えるだろうか。

つまり、この二つの戦い方が、中原と太宰の戦い方と一致しているのだ。

中原は装填重力操作、汚濁を使用し、

太宰が人間失格を使い、なお、彼は妙に頭が切れ、体術もある程度たしなんでいるため、完全なる前衛後衛の形が取れる。

まさに、新たな双黒再来なのである。

きっと、芥川はこのことを見越して、太宰の外出を許可したのだろう。

中原と太宰の、互いの戦い方を互いが知るために。

かつての敦たちがそうであったように。

中島敦

中也くん。君は素直で純粋で良い子だと思う。

中島敦

けど、それはこの世界で使ったらいけない。

中島敦

だからね、君はもっと狡猾にならなくちゃ。もっと狡くて、むごくて、そんな人間にならなきゃいけない。

中島敦

誰も信じちゃいけない。

中島敦

相手に読まれない行動を取る必要がある。

中島敦

君の異能は強い。だけど、君は弱い。

中島敦

……かつての師匠が、僕に云った言葉だよ。だけど、僕はここまで強くなれた。

中島敦

だから、中也くん。君もなれるから。強い人になれるから。

これは、本心だった。

だけれど、それは必ずしも中原に向けた言葉とは言えなかった。

まさしく、敦自身に投げかけていた言葉でもあった。

だからこそ、敦は気が付かなかった。

中原の頬が薄紅色に色づいていたことを、まったく、気がつきもしなかったのだ。

優しいあなたの殺し方

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