君はそう言っていた。

梅雨時ずぶ濡れのまんま

部屋の前で泣いていた

夏が始まったばかりというのに

君は酷く脅えていた

そんな話で始まる

あの夏の日の記憶だ

そんな君に僕は言った

財布を持って、ナイフを持って

携帯ゲームもカバンに詰めて

いらないものは全部壊していこ

あの写真も、あの日記も

今となっちゃもう要らないさ

人殺しとダメ人間の

君と僕の旅だ。

そして僕らは逃げ出した。

あの狭い狭いこの世界から

家族も、クラスの奴らも

全部捨てて君と二人で。

君は何も悪くないよ

君は何も悪くないよ

そんな嫌な共通点から

僕らは簡単に信じあってきた。

君の手を握った時かすかな震えも既になくなっていて

誰にも縛られないで

2人で線路の上を歩いた。

金を盗んで、2人で逃げて

どこにも行ける気がしたんだ。

今更怖いものは僕らにはなかったんだ

額の汗も、落ちたメガネも

今となっちゃもういらないさ

あぶれ者と小さな逃避行の旅だ。

今までの人生で分かりきっただろうが

自分は何も悪くねぇと

誰もがきっと思ってる

宛もなく彷徨うセミの群れに

水もなくなり揺れ出す視界に

迫り狂う鬼たちの怒号に

馬鹿みたいにはしゃぎ合う

ふと君はナイフを取った

そして君は首を切った

まるでなにかの映画のワンシーンだ

白昼夢を見ている気がした。

気づけば僕は捕まって

君だけが見つからなくって

君だけがどこにもいなくって

そして、時は過ぎていった

ただ、暑い暑い日が過ぎってた

家族もクラスの奴らもみんないるのに

何故か君だけがどこにもいない。

あの夏の日を思い出す。

僕は今も今でもう歌ってる

9月の終わりにクシャミして

6月の匂いを繰り返す