シャークん視点 これは、少し昔のお話。
俺は元々は人間だった。
所謂The子供で、晴れの日は外に出て遊びまわり、天気が悪い日は知恵を絞って楽しく過ごしていた。
俺の生きている時代には、まだ妖怪のような非現実的な生き物はそこまで知られてはいなかった。
桐谷 要
空を飛ぶ人…らしからぬ生物がいた。 人形だが、背中からは綺麗な純白の翼を持っていた。
何故だかすごく惹かれてしまった。
鮫上 翠
別に話しかけるつもりもなかったし、自分に危害が加わるのは嫌だった。 でも、話しかけてしまった。
桐谷 要
こくりと頷く。
桐谷 要
鮫上 翠
神様?こんなやつが? どちらかと言うと天使の方が合う気がするけど。
桐谷 要
それから、ことある事に要と過ごすようになった。
そしてこの頃から妖怪は危険だと言う噂が流れ始めた。
鮫上 翠
鮫上 翠
正直に思ったことを言ってみる。
桐谷 要
いつもとは違い、神妙な面持ちで応える要。
桐谷 要
桐谷 要
言葉を失った。 衝撃的だった。 人と妖怪は手を取り合って生きていけると思っていたから。 友達になれるって思っていたから。
世界を知らない子供の俺は、やはり浅はかなのかもしれない。
鮫上 翠
桐谷 要
鮫上 翠
桐谷 要
鮫上 翠
桐谷 要
鮫上 翠
桐谷 要
鮫上 翠
桐谷 要
鮫上 翠
桐谷 要
鮫上 翠
桐谷 要
要によると妖怪は大体再生能力が高いらしい。 再生能力が人並みなのは極一部で、そう言うタイプの妖怪は魔法や妖力のように一定の条件下で再生できるらしい。
鮫上 翠
桐谷 要
そして数ヶ月が経過した。
事件が起こった。
俺の住む人里に妖怪が襲撃に来たのだ。 里の人は大量に捕食され虐殺された。
この瞬間、今更ながら妖怪の恐ろしさを知った。
桐谷 要
鮫上 翠
桐谷 要
鮫上 翠
桐谷 要
鮫上 翠
暗い…。暗い、怖い。
里はどうなったんだ? 友達は?家族は?要は?
桐谷 要?
要…?要なの?
鮫上 翠
ダメだ。 要には信用しちゃダメだって。 俺が来ても開けるなって言ってた。
桐谷 要?
桐谷 要?
鮫上 翠
視界が明るく広がる。
鮫上 翠
確かに、要だった。 でも、何だろう…。 まるで、幻術を見ているかのようだった。
これは、妖怪の能力?
悪いタイプの妖怪
パチっと催眠が解けた。
そして、身体に痛みが走った。
鮫上 翠
肩口から妙に生温かい液体が垂れてきている。 血生臭い。 よくわからない獣人の妖怪の吐息がかかる。
鮫上 翠
漫画のようにタイミングよく要が登場! なんてことはなく、ミシミシとミチミチと肉が、骨が、喰い尽くされていく。
もう、痛みすらも感じなくなってきた。
あぁ、死ぬのか、俺。
食べるのに飽きたのか、何処かに行ってしまったようだった。
手当しても、意味はないだろう。
鮫上 翠
全身が熱くなる。
血の匂いが…、本能が、血肉を求めている。
鮫上 翠
桐谷 要
鮫上 翠
桐谷 要
俺の変わり果てた姿を見て、きりやんの目に涙の膜ができる。
鮫上 翠
そこからの記憶が俺にはない。
でも、朧げながら、酷く崩壊された故郷がそこにあったような気もする。
そして数十年後。
中村水樹と言う少年に出会った。
中村 水樹
要以来の友達と呼べる人だった。
鮫上 翠
水樹に嘘をつくのはやはり心苦しい。 でも、これは俺のためでも水樹のためでもあると思ってる。
実際は俺のエゴだけど。
だとしても、俺が狼人間…人狼であることは知らなくていい。伝える必要もない。
これは要も、水樹も、他の誰も知らなくていいことだ。
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