テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

なあ、圭

どうして俺が、俺なんかが

野球を始めたか。お前、わかるか?

それはな―

昔から俺の弟は、すごいやつだった

智将って呼ばれるからには そりゃすごいやつなんだけど

いろんな重荷を背負いながらも それに応えるアイツはすごいやつだろ?

自然と羨ましいと思ったことはない

そりゃ、比べられるのは少し嫌だけど

子供の頃はそれが自慢で

「あれが俺の弟だ! 俺の弟、スゲェだろ!」

なんて…子供らしいことを言っていた

俺?俺は野球はしないはずだった

ババアにも言われたけど その頃はやりたいとも思わなかった

俺はぐーたらしてるほうが よっぽど楽しかったから

悩んだことはある

アイツの瞳がキラキラしてみえる

そんなにアイツにとって野球は 希望とも言えるものなんだって…

そんなものがあるのはなんか… カッコいいなって思ってた

それでもその考え方はやめた

俺はやりたいことをしてるんだから 後悔だけはしないと決めた

それは俺だけじゃなくて 弟も一緒だった

俺たち双子の約束でもあって 支えでもあった

それがある日

圭(弟)

兄ちゃん…俺、野球
やっちゃダメなのかな

圭(兄)

……は?

話を聞くと 野球を一緒にやってる連中に

「お前とやってても 楽しくないから、やめちゃえよ」

と、言われたらしい

圭(兄)

圭…やめたいのか?

圭(弟)

それは……
やりたい…けど

圭(兄)

なら、いいじゃねェか

圭(兄)

俺らの約束
おぼえてるか?

圭(弟)

やりたいことをする…?

圭(兄)

ちげェよ、その後

圭(弟)

こうかいはしない……

圭(兄)

そう、それだ

圭(兄)

お前は
やりたいことをする

圭(兄)

その権利ってもんが
みんなにはあるんだよ

圭(兄)

だからもっと
がんばろうなっ!

圭(弟)

……うん

「ねぇ、兄ちゃん」

「それでも向けられる 敵意には、どうすればいいの?」

その気持を、わかってやれなかった

俺はそこで失敗を犯した

そのせいで、アイツは壊れていったんだ

 

ぜんぶ、おまえのせいだ

中学生になる頃には アイツは全く変わってしまった

昔の面影もなくなって

野球も、楽しそうではなかった

光が、消えたんだ

圭(兄)

な、明日って
練習試合なんだろ?

圭(兄)

俺も行こっかな〜!

圭(弟)

……やめろよ、兄貴

圭(弟)

野球興味ないんだろ?

圭(弟)

そんなやつが観ても
なんも面白くねェって

圭(兄)

わっかんねェじゃん!

壁を感じる― そういえばいいのだろうか

どこか、住む世界が 違うと思われている気がした

圭(兄)

そーいや
アイスあるって!

圭(兄)

昔みたいに
半分こするか?

圭(弟)

……昔みたいに?

圭(兄)

なんだよ!
忘れたのか!?

圭(兄)

ひっでェ!

アイツが長く元気のない日が続いて

俺がババアに無理を言って アイスを買わせたときがあった

さすがに二個はムリで

一個のアイスをふたりで食べた

圭(兄)

ほら、半分こ!

圭(兄)

どうだ?おいしいか?

圭(弟)

うん!

圭(弟)

ありがとう…兄ちゃん!

俺も、あの頃ほど美味しかった アイスはないと思う

そう、すごく美味しかった

半分でも、満足できた

それはアイツも…同じだったと思う

圭(弟)

…俺はもう
アイスは食べない

圭(弟)

これは野球のためなんだ

圭(弟)

だから…母さんも

圭(弟)

もう俺の分のアイスは
買わなくていいから

そんなに?

そう思った

野球って、そんなに辛い?

大物選手でも、そんなにやってる?

毎日食べるわけじゃないだろ

それなのに そんなにしなきゃなんねェの?

圭(弟)

母さん
いつものよろしく

圭(兄)

げっ…!

圭(兄)

お前またあれ飲むのかよ

圭(兄)

よくあんなん
飲めるよな、お前…

その頃は変な、クソ不味い ジュースみたいなのを飲んで

今思えば、味覚が なくなってたのかもしれない

前はババアの料理にも

食べた瞬間に表情に出るくらい 美味しそうに食べてたのに

つか、本当に半分このこと… 忘れたのかよ

あれは…いつだっただろうか

弟が、帰ってきて 俺が出迎えてやった

圭(兄)

おー!おかえり……

圭(兄)

……って、どうしたんだよ

その時の顔は、言い表すことができない

泣きそうでもあったし

清々した…みたいな顔でもあった

何もかもを諦めたような顔でもあって

―後悔している顔だった…

圭(兄)

なんだ?学校でなんか―

圭(弟)

なんでもない

圭(兄)

いや、んなわけ…

圭(弟)

うるさいな…

圭(弟)

なんでもねェって

どこでカッとなかったかは わからないけど

なぜか無性に腹が立った

圭(兄)

なんもねェわけねェだろ!

圭(兄)

なんだよ
前から気になってたけど

圭(兄)

お前距離あるよな…

圭(兄)

そんなに俺が嫌いかよ!

圭(弟)

うるせェ!

圭(弟)

お前に何がわかんだよ!

圭(弟)

ろくに
野球もしてねェくせに!

圭(兄)

……っ!

圭(兄)

はぁ?

圭(兄)

野球してるか
してないかで

圭(兄)

そんなになんでんな差別
受けなきゃなんねェの?

圭(弟)

チッ!

そんときは久しぶりの喧嘩で

あれ…どうやって仲直りしたんだっけ

なあ、圭

お前、この時のことも忘れたのか?

今でもあんなこと、言うのか?

 

おまえになにがわかんだよ

文字数多くてすみません

どうも、セカイです

これは前編・後編

初の試みで参ります

今後ともよろしくお願いします

不出来ですけどね

セカイ

忘却バッテリー(要双子)

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

1,112

コメント

2

ユーザー

だんだん野球に犯されてく智将の表現に鳥肌立ちました…(>_<)🐓🐓 続きのんびり待ってます💗💗

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚