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すごくリアルですね!!自分も未来へ行ったようで、ドキドキしました!! 研究日記、主人公の罪、澪の選択。スリルと感動のつまったお話ですね(* ´ ▽ ` *)
いやもうお話の内容好きすぎます...! 表現も素敵😍 めちゃめちゃ審査しますよ!?(?) 参加ありがとうございました🙌
違うんですよ(恒例の言い訳) #笑顔だから、皆ハッピーエンドにするのかなーと思って、だったらハッピーエンドじゃなくても笑顔が表せればいいのかな、とか思ったんですよ... 決してその、鬱作品を書こうとしたのでは無くてですね、ハッピーエンドじゃない笑顔をと思ったらこう......(長くなりそうなのでストップ)
3XXX年
結翔
結翔
結翔
薄暗い研究室で 24歳の青年、高本結翔は
喜びに顔をほころばせた
結翔は、先輩から 代々引き継がれている研究
タイムトラベルを研究していた
全ては、 7年前に事故でこの世を去った
幼馴染みの澪を救うため
結翔
結翔
結翔
結翔
機械の中に入り、目を閉じる
日付は7年前 場所は、事故のあった中央通りだ
澪――桜木 澪は7年前
絶対安全と言われていた筈の 浮遊式移動車
つまり2020年での 電気自動車のような物に
追突され、亡くなった
最先端の自動ブレーキと
最先端の人工知能が 搭載されていたのにも関わらず...
結翔
結翔
遠退く意識の中で澪を想い 結翔は過去に飛んだ
7年前:中央通り
結翔
結翔
目を開ければ、あの時の 忘れもしないあの道にいた
目の前を歩いているのは その当時の自分と澪
そして、そこに突っ込んでくる 浮遊式移動車
結翔
結翔
結翔
グッと澪の手を掴んで
歩道の隅に引っ張る
澪
結翔(7年前)
地面に倒れ込んだ澪を掠めて
浮遊式移動車は去っていく
結翔
澪
結翔(7年前)
澪
結翔
澪
結翔(7年前)
澪
結翔
澪
不思議そうな顔の澪に背を向け 建物の影に隠れる
結翔
機械を操作し、現代に戻るため もう一度目を閉じた
結翔
目を開けると、いつもの研究室
結翔
結翔
額に残る汗を無視し 連絡用機械で澪の番号を呼び出す
・ ・ ・
この番号は現在使われておりま...
結翔
結翔
背筋を這うような悪寒に襲われ
結翔は研究室を出て 友人の元に急いだ
結翔
結翔
結翔
死んでるじゃないか
結翔
頬を汗が流れ落ち、思考が止まる
結翔
結翔
結翔
結翔
結翔
結翔
結翔
結翔
結翔
5年前:中央通り
結翔
結翔
結翔
少し機械の操作にも慣れてきた
これで、澪は生きている筈だ
結翔
時を越える時の未だ慣れない感覚に
汗は止まらないが
澪を助けられたならそれで良かった
結翔
あの無機質な音声を聞くのが怖い
取り出した連絡用機械をしまい
結翔は澪の友人に 声を掛けることにした
結翔
結翔
結翔
亡くなったじゃない
結翔
結翔
結翔
結翔
結翔
信じたかった
信じたくてしょうがないのに
声は震えてしまう
まるで
この結果を予想していたように
結翔
息が苦しい
結翔
結翔
結翔
結翔
結翔
結翔
頭痛がする
だけど止まってなんていられない
困惑する声を背中に感じながら
研究室に駆け込んだ
【研究日記】
何度も何度も
澪を助けようとした
だけど、なぜなんだ....
何度も助けるのに
必ず澪は死んでしまう
遅くて2年後、早くて3日後に
誰かが必ず死ななければならない とでも言うのか
それが【運命】とでも言うのか
誰か一人が死ぬ事が どうしても避けられないと言うなら
いっそのこと
3XXX,05,25
【研究日記】
澪、頼むから生きてくれよ
もう僕は、引き返せない所まで 来てしまった
何回も、何回も罪を犯してしまった
もう僕の手は、血で染まってる
この汚れた、穢れた手で
澪に触れようなんて思わない
ただ、澪が生きていてくれるなら
それだけでいいんだ...
3XXX,05,26
【研究日記】
先週に飛んだ
澪を助けることが出来た
先週なら、もう誰も殺さずに済む
殺さずに、澪を守れる
もう大丈夫だ
澪はこれからも生きる、生きられる
だけど、どうして 僕が何人も殺してきたのに
澪は毎回死んでしまっていたのか
それだけが解らない
それも【運命】なら
僕はきっと【運命】に勝った
使いすぎか、 機械は故障してしまったが
もう使うことなんて無いのだから
それでいいと思った
澪は僕と同じ大学院にいる
また、言葉を交わせると思うと
嬉しくて堪らない
3XXX年,5,27
・ ・ ・
澪
その声に、 研究日記を書く手を止める
澪を現在まで助け抜く事が出来た
だからこうして 言葉を交わす事が出来る
研究日記を閉じて
結翔
澪
結翔
結翔
結翔
澪
結翔
澪が生きている
それだけで、嬉しくて
結翔
澪
結翔
澪
澪
結翔
結翔
結翔
澪
結翔
結翔
結翔
澪
結翔
澪
澪
結翔
結翔
結翔
澪
澪
紅茶の入ったカップを手で包み
澪はじっと僕を見る
結翔
一瞬、澪は黙って
そして決意したように話し出した
澪
結翔
澪
澪
澪
澪
結翔
結翔
結翔
澪
澪
結翔
澪
結翔
結翔
澪
澪
澪
結翔
澪
澪
結翔
結翔
結翔
結翔
澪
澪
結翔
結翔
結翔
結翔
澪
澪
フッと緩まった表情
だけど
どこか陰が見えてしまうんだ
日が暮れかけている道を
2人並んで歩く
澪が生きて、隣にいる
澪を助けるために、 罪を犯してしまった僕なんかの隣に
嬉しいんだよ、それだけで
それだけで、いいんだ...
澪
結翔
澪
結翔
澪
結翔
澪
結翔
結翔
澪
澪
澪
澪
結翔
言おうとしていたのは
7年前の、僕の忘れ物
告白
結翔
澪
結翔
澪
結翔
結翔
結翔
澪
結翔
澪
結翔
ガクン、と傾いた世界
僕自身が 倒れているのだと気が付くまで
少し時間がかかった
否
澪に引っ張られて
歩道に倒れていると気付くまで
結翔
――ドンッ――
結翔
結翔
混乱する頭を必死に整理し
鈍い音が聞こえた方を振り返った
結翔
澪は、倒れていた
横向きに停車している 浮遊式移動車の隣で
頭部から、鮮血を流して
結翔
慌てて駆け寄り
その身体を起こして抱き締める
結翔
結翔
結翔
結翔
澪
結翔
うっすらと目を開いた澪は
点滅する浮遊式移動車のライトを 眩しそうにちらりと見た
澪
澪
結翔
澪
結翔
澪
結翔
澪
澪
結翔
結翔
澪
澪
澪
澪の口の隙間から
赤いものが零れて
僕の腕に流れる
澪
結翔
僕の頬を、温かいものが伝う
それを見た澪は
困ったような顔で
手を伸ばし、僕の頬に触れた
結翔
澪
澪
結翔
結翔
澪
澪
嗚咽を噛み殺すしか出来ない
ぼやけて曖昧になっていく視界で
いつの間にか 澪の頬に流れていた雫が
ライトの光を反射し、微かに光る
澪は
浮遊式移動車の 点滅するライトよりも
眩しく、優しい
そして
儚く、美しい表情を浮かべ
それから
そっと瞳を閉じた