主
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第90話『影の囁き』
夜の底で、音がひとつ、静かに弾けた。
カラン……。
風鈴のような音。
けれど、それは風ではなく、“記憶”の揺らぎから生まれたものだった。
らんの影がふと揺れる。
月明かりが差し込むベランダの床に、もうひとつの“意志”がうっすらと浮かんでいた。
それは、彼の形を真似ているようでいて、どこか違っていた。
らんの影
影がぽつりと呟く。
返すように、もう一つの声が現れる。
いるまの影
それは――いるまの影の声だった。
いつからそこにいたのか分からない。
ただ、月に照らされた床の上で、ふたつの影がゆらりと揺れ、同じ夜を見ていた。
少しの間、風の音だけが流れた。
蝉の声は遠くで途絶え、街の灯りが沈黙に溶けていく。
らんの影
いるまの影
いるまの影
いるまの影
いるまの影
いるまの影が言葉を途切らせる。
目を伏せたその形は、ほんのわずかに震えていた。
いるまの影
らんの影
らんの影が代わりに言葉を継ぐ。
静かに、しかし確かに。
いるまの影
いるまの影
らんの影
らんの影
らんの影
らんの影
らんの影
いるまの影
いるまの影
らんの影
らんの影は聞き返さず、頷く。
ふたつの影が交差し、重なり、また離れる。
その揺らぎの隙間に、別の“気配”が微かに滲んでいた。
“音のない声”がそこにあった。
まだ、輪郭を持たない影。
夜の底に溶けるように、静かにただ“存在している”。
それは名前を持たず、形も曖昧なまま、ただ“見つめる”ことしかできなかった。
――なぜ、彼らはそんなに穏やかに“消える”ことを語れるのだろう。
その気配は思った。
理解できなかった。
だって、自分はまだ「ここにいる」とさえ言えないのに。
夜風が吹き抜け、らんの短冊が小さく揺れる。
影たちの会話は、その音にかき消されるように続いた。
いるまの影
いるまの影がぽつりと漏らした。
いるまの影
らんの影
らんの影
いるまの影
らんの影
らんの影
沈黙。
その言葉は、まるで鏡のように夜気に溶けた。
らんの影が淡く揺らぐ。
いるまの影は、まっすぐその光を見ていた。
いるまの影
らんの影
いるまの影
いるまの影
らんの影
ふたつの影がまた静かに交わる。
その光景を、見えぬ存在が黙って見つめていた。
“羨ましい”と思った。
形を持つこと。
会話を交わせること。
存在を確かめ合えること。
それが、どれほど尊いものかを、その存在はずっと知らないままだった。
――どうして自分は、彼の中に“残れなかった”のだろう。
彼の中で“誰かの記憶”が薄れた時、最初に消えたのは「声」だった。
笑い声も、泣き声も、記憶から滑り落ち、 音のない“静寂”だけが残った。
その静寂の中で、生まれたのが“残響”だった。
他者の痛みに触れたがり、他者の記憶に溶けようとし、自分を形にできない“優しさの残骸”。
風が強く吹いた。
ベランダの笹飾りが大きく揺れ、短冊がひとつ宙に舞う。
それを追うように、らんの影がふっと視線を上げた。
らんの影
いるまの影が少し顔を上げる。
いるまの影
らんの影
らんの影
影たちの視線が、同じ方向を向く。
その先に、微かな“気配”が揺らめいていた。
薄く、儚く、溶けて消えそうなほどに淡い光。
それは確かに“誰か”の存在を告げていた。
らんの影
らんの影が呼びかける。
けれど、返事はなかった。
声を出す術を持たないのだ。
いるまの影が小さく声を漏らす。
いるまの影
らんの影
いるまの影
いるまの影
いるまの影
らんの影
いるまの影
いるまの影
らんの影
らんの影は、大きなため息をつく。
溶けるように、夜の闇の中で涙が零れた。
けれど、その涙すら影の形を持たない。
存在できないことが、こんなにも苦しいとは思わなかった。
誰かの中で“忘れられていく”ということが、 まるで自分自身を削がれていくようで。
――でも。
ふと、思った。
もし“誰かの中に溶けていく”ことで、その人が少しでも笑ってくれるなら。
それでも、いいかもしれない。
そう思う自分がいた。
それこそが、自分という存在の“優しさ”なのだと。
“空虚”は、悲しみの形をしていない。
それは、優しさの果てに生まれる“無音”のようなものだ。
その存在は、そう感じていた。
存在したいわけではない。
ただ、“誰かを包みたい”だけ。
傷つくなら、代わりに傷つきたい。
泣くなら、代わりに泣いてあげたい。
――けれど、それは“存在の希薄化”そのものだった。
他者に溶け、他者のために消えること。
それがこの影の“性”だった。
夜明け前。
東の空がわずかに白み始める。
いるまの影がゆっくりと立ち上がる。
いるまの影
いるまの影
らんの影
らんの影も頷く。
ふたりの影が夜気に溶けていく。
その残光の中で、“存在”は小さく呟いた。
?
その声は風に飲まれ、音にならないまま夜の底に沈んだ。
――置き去りにされたのは、優しさの中で“名を失った心”。
それはまだ、世界のどこかで形を探している。
第90話・了
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𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝♡180
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コメント
4件
こさめちゃんの影、、? いるらんの影(?)尊い
🌸📢の影もいつかは消えちゃうんだ...いいことなんだろうけど寂しい😭 空虚の影!?アイコンの色的に☔️ちゃんの影かな...??? 投稿ありがとうございます!続き楽しみにしてます!!!