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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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ふと目が覚めると謙信の肩に頭がもたれかかっていて、 またやってしまったと自己嫌悪に陥る。

謙信

起きた?

颯斗

……うん

俺が起きていたころには全く進んでいなかった 謙信の台本のページがもう閉じられてるってことは、

結構長い間、昼寝しちゃったんだな。

お互いに個人仕事が増えた中でオフが被るのは貴重なことで。

だからこそそんな貴重な時間をできるだけ無駄にしたくなくて、

ふたりでいるときはなるべく起きてようと心がけてたのに、ソファに謙信と並んで座った途端だめだった。

なんて言うんだろ、 謙信の香水の香りに吸い寄せられるように誘われるっていうか......

謙信の肩にこてん、って触れたら、その温もりがあったかくて心地よく感じるから眠りの世界に誘われちゃうのかな。

でもしょうがないじゃん、謙信いい匂いするんだもん。

それに俺が気を使って離れて座ろうとすると、

それに気づいた謙信が微笑んでぽんぽんって自分のすぐ側を叩いて、こっち来てって言ってくれるし。

謙信

颯斗?

謙信

難しい顔して何考えてんの?

颯斗

ん……、

颯斗

謙信のこと

そう言えば謙信は目をまん丸に開いて見つめている。

颯斗

肩に頭乗せてて、
邪魔だったでしょ?

謙信

何言ってんの

謙信

そんなの気にしなくていいのに

そう言って謙信に頭を撫でられた。

でも、謙信は俺には一一特にふたりでいるときは 優しいから何も言わないんじゃないかって思っちゃう。

台本覚えるのを邪魔したのもそうだし、なんかこう.....

恋人なら、コーヒーとかいれてあげるとか かけ合いをする相手のセリフを呼んであげるとか

色々サポートできるはずで、せっかくふたりでいるのに俺が寝てしまったことも申し訳ない。

颯斗

もっと謙信との時間、

颯斗

大事にしたいのに

謙信

そんな風に思ってくれてたの?

その優しい声の温度と恐る恐る見上げた先で甘く蕩けた瞳に促されてこくりと頷くと、ふわりと頬を両手で包まれる。

謙信

俺は、颯斗が俺の肩で寝てるの

謙信

めっちゃ嬉しいけど

颯斗

なんで?

謙信

だって、

謙信

それだけ颯斗が俺のこと

謙信

安心できる存在だって思ってくれてるってことだから

そう言って謙信は微笑みながら、 ソファの上に置いた俺の手に自分の手を重ねる。

その言葉も、表情も、手の感触も。

一連の流れが積み重なって俺の心臓を刺激して、 全身の熱がきゅーっと顔に集中しているのが自分でもわかる。

颯斗

(ああもう、なんなのこれ)

ある感情がすとんと胸の奥底に落ちて響いていくこの感覚。

それは謙信が好きだって自覚した 一一恋に落ちた感覚にそっくりだった。

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