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わああ第12話読み終えたよ〜〜!!😭💕 もうね、ひかりちゃんの心情描写が繊細すぎてずっと胸がギュッてなってた…!レイくんの「ひかりとだから」のリフレインがエモすぎて何度も再生しちゃうの分かるよ〜! あと事務所のチャットで先輩たちに完全にバレバレなの笑ったw 「まだ何も言ってないのに」のツッコミ最高すぎw ふたりとも「同期だから」って自分に言い聞かせてるけど、もうとっくに同期の枠超えてるよね…!次が待ち遠しすぎる⋆♡
朝比奈ひかりが異変に気づいたのは、翌日の午前十時を少し過ぎたころだった。
朝比奈 ひかり
ベッドの上でスマートフォンを眺めていたひかりは、タイムラインを流れていく動画のサムネイルに目を止めた。 見覚えのある二人のアバター。 淡い金色の髪飾りを揺らす、自分の姿。
その隣には、月を思わせるアクセサリーをつけた、黒髪の青年。 ――どう見ても、昨日の配信だった。 問題は、その上に大きく書かれたタイトルである。
『【これはもう告白?】月城レイ「ひかりとだから楽しかった」』
朝比奈 ひかり
ひかりは瞬きをした。 もう一度、タイトルを読む。 『これはもう告白?』
朝比奈 ひかり
勢いよく起き上がったせいで、掛け布団が床に落ちた。 慌てて動画の再生画面を開く。 動画は、昨日のコラボ配信の終盤から始まっていた。
『楽しかった?』 ひかりの声。 『楽しかったよ。ひかりとだから』 レイの声。 たったそれだけの場面だった。 時間にして、十数秒。
それなのに、動画のコメント欄には、すでに大量の反応がついていた。
『待って、さらっと言ってるのが一番やばい』 『ひかりとだから、って何!?』 『ゲームが楽しかっただけなら、わざわざそう言わなくない?』 『これが同期ってマジですか』 『本人たちだけ付き合ってないと思ってそう』
朝比奈 ひかり
ひかりはスマートフォンを握りしめた。 たしかに、言った。 レイは間違いなく、そう言った。 そして自分も、確かにあのとき、嬉しかった。 でも、それは。
朝比奈 ひかり
誰に聞かせるでもなく、呟く。 ゲーム配信が楽しかった。 一緒に遊べて楽しかった。 またやろう。 ただ、それだけの話だ。
それなのに、どうしてこんなに騒がれているのだろう。 ひかりは動画を閉じようとした。 しかし、指が止まる。 画面の中のレイは、いつものように笑っていた。
ひかりの言葉を聞いて、少しだけ黙って。 それから、あの声で答えていた。 『……ひかりとだから』
朝比奈 ひかり
ひかりは、もう一度動画を再生した。 そして、数秒後。
朝比奈 ひかり
自分で自分に突っ込んで、慌ててスマートフォンを伏せた。 顔が熱い。 耳まで熱くなっている気がする。 ただの切り抜きだ。
視聴者が面白がっているだけ。 分かっている。 分かっているのに、レイの声が頭から離れなかった。
しばらく悩んだ末、ひかりはレイにメッセージを送ることにした。
朝比奈ひかり:レイ、起きてる?
送信してから、数秒。 すぐに既読がついた。
月城レイ:起きてるけど 月城レイ:どうした?
ひかりは、昨日の切り抜き動画のリンクを送った。
朝比奈ひかり:これ見た!?!?
数秒後。
月城レイ:見た 月城レイ:笑った
朝比奈 ひかり
思わず声が出た。 ひかりは、勢いよく文字を打つ。
朝比奈ひかり:笑いごとじゃないんだけど!? 月城レイ:なんで? 朝比奈ひかり:なんでって、タイトル見てよ! 月城レイ:見た 月城レイ:告白だって 朝比奈ひかり:そう!! そこ!! 月城レイ:告白した覚えないんだけどな 朝比奈ひかり:私もないよ!!
すぐに返信が来る。
月城レイ:じゃあ問題ないじゃん
朝比奈 ひかり
ひかりは枕に顔を埋めた。 いつもそうだ。 レイは、こういうときに限って妙に落ち着いている。 こちらが慌てれば慌てるほど、面白がっているような返事をしてくる。 ……いや。
本当に、面白がっているだけなのだろうか。 ひかりは枕から顔を上げた。 昨日の配信。 あのときのレイは、いつもと少し違った。 いつもなら、ひかりが照れればすぐにからかってくる。
でも最後の「ひかりとだから」という言葉を口にしたとき、レイは少しだけ静かだった。 まるで、本当に思っていたことをそのまま言ったみたいに。
朝比奈 ひかり
考えれば考えるほど、分からなくなる。 ひかりは、意を決してもう一度メッセージを送った。
朝比奈ひかり:でも、レイはあれ本当にそう思ってたの?
送信。 今度は、すぐに返信が来なかった。 画面を見つめたまま、ひかりは待つ。 十秒。 二十秒。 三十秒。
朝比奈 ひかり
いつもなら、短い返事くらいすぐに来る。 もしかして、変なことを聞いてしまっただろうか。 そう思った瞬間、通知が鳴った。
月城レイ:思ってたけど
ひかりは、固まった。
朝比奈 ひかり
もう一度、読む。 思ってたけど。 それだけだった。
嘘じゃない。 冗談でもない。 少なくとも、文字の上では。 ひかりはスマートフォンを両手で持ち直した。
朝比奈ひかり:……そっか
送信してから、自分の返事があまりにも素っ気なかったことに気づく。 でも、それ以上何を書けばいいのか分からなかった。 すると、すぐにもう一件届いた。
月城レイ:配信が楽しかったって意味ね
朝比奈 ひかり
ひかりは、小さく息を吐いた。 そうだ。 そういう意味だ。 一緒にゲームをして楽しかった。 一緒に話せて楽しかった。 だから、またやりたい。 それは、何もおかしくない。
朝比奈 ひかり
自分に言い聞かせるように呟いた。 少しだけ胸が落ち着く。 けれど、不思議だった。 どうしてだろう。 安心したはずなのに、さっきより少しだけ寂しくなった。
午後。 ひかりが所属する事務所のグループチャットに、ひとつのメッセージが投げ込まれた。
先輩:お前ら、これ見た?
添付されているのは、例の切り抜き動画だった。 ひかりはスマートフォンを見て、声にならない悲鳴を上げた。 「なんで事務所のチャットにまで……!」 数秒もしないうちに、別の同期から返信がつく。
同期A:見ましたwww 同期B:レイくん、これもう告白じゃん 同期A:ひかりちゃん、返事は? 朝比奈ひかり:違います!!!!
勢いよく送信してしまった。 直後、先輩から返信が来る。
先輩:何が違うの? 朝比奈ひかり:全部です!! 先輩:じゃあレイに聞いてみるか 朝比奈ひかり:聞かなくていいです!!
そこまで送ったところで、ひかりはスマートフォンを顔の前で覆った。 ……やってしまった。 普段なら、もう少し冷静に返せる。 なのに、レイの名前が絡むとどうしてこうなるのだろう。 チャットには、さらにメッセージが増えていく。
同期B:そんなに否定するってことは……? 同期A:あれ、ひかりちゃん顔真っ赤だったりする? 朝比奈ひかり:してません!! 先輩:まだ何も言ってないのに
朝比奈 ひかり
ひかりはスマートフォンをベッドに放り投げた。 もう無理だ。 今日だけで、何回顔が熱くなっただろう。 こんなことになるなら、朝からあの動画を見なければよかった。 いや、でも。
見ていなかったら、レイの言葉を何度も思い返すこともなかったかもしれない。 ……それはそれで、少しだけ嫌だった。 ひかりは枕に顔を埋めた。
朝比奈 ひかり
誰もいない部屋で、そう呟いた。
一方、月城レイのもとにも、同じ切り抜きが届いていた。
月城 レイ
スマートフォンを見ながら、レイは苦笑した。 事務所のチャットでは、先輩と同期たちが好き勝手に騒いでいる。
『レイ、ついに告白した?』 『ひかりちゃんの返事待ち?』 『いつ結婚するの?』
月城 レイ
レイはため息をついた。 もちろん、告白なんてしていない。 ただ、ひかりと配信するのが楽しいと言っただけだ。 それは本当のことだし、隠すつもりもなかった。 けれど。
『ひかりとだから』 その部分だけを切り取られると、確かに妙な響きがある。 自分でも、そう思う。
月城 レイ
レイはスマートフォンを机に置いた。 考えすぎると、余計なことまで考えてしまう。 例えば。 ひかりは、この動画を見てどう思っただろう。 いつものように笑ってくれただろうか。
それとも、少しだけ困っているだろうか。 ……いや。 それよりも。 ひかりは、あの言葉をどう受け取ったのだろう。
『ひかりとだから楽しかった』 あれは、本当にそのままの意味だった。 ひかりと一緒にいる時間が楽しい。 それは、もう間違いない。 でも。 ただ楽しいだけなのだろうか。
レイは椅子の背もたれに体を預けた。 最近、ひかりのことを考える時間が増えている。 朝起きたとき。 配信の準備をしているとき。 何か面白いことがあったとき。
これ、ひかりに話したら笑うだろうな。 そう考えることが、自然になっていた。 そして今日だって。 ひかりからメッセージが来たとき、嬉しかった。 切り抜き動画について聞かれたことよりも、ひかりが自分の言葉を気にしてくれていたことが。 少しだけ、嬉しかった。
月城 レイ
レイは小さく笑った。 気持ちに名前をつけるのは、まだ怖い。 名前をつけてしまえば、今まで通りではいられなくなるかもしれないから。 でも、名前をつけなくても。 ひかりの言葉ひとつで気持ちが動いてしまうことは、もう隠せそうになかった。
夕方。 ひかりは、何度目か分からない動画の再生画面を開いていた。
朝比奈 ひかり
自分でも何をしているのか分からない。 もう一度見たところで、何かが変わるわけではない。 それでも、再生ボタンを押してしまう。 動画の中のレイは、相変わらず自然な顔で笑っていた。
『楽しかったよ。ひかりとだから』 その声を聞いた瞬間、ひかりはスマートフォンを伏せた。
朝比奈 ひかり
これ以上聞いたら、本当に何かを勘違いしてしまいそうだ。 自分は、レイのことが好きなのだろうか。 最近、何度も考えていることだった。 レイに恋人ができたら嫌だと思った。
自分と一緒にいるのが楽しいと言われると、嬉しくなった。 何気ない言葉を、何度も思い返してしまう。 それはきっと。 ただの同期に向ける気持ちとは、少し違う。
朝比奈 ひかり
ひかりは、スマートフォンをそっと持ち上げた。 レイのトーク画面を開く。 何か送ろうとして、やめる。 今、何を言えばいいのだろう。 「切り抜き、恥ずかしかったね」と送る? それとも、「あの言葉、嬉しかった」と伝える? 後者なんて、絶対に無理だ。
送信する前に、顔が熱くなってしまう。 ひかりはしばらく迷ってから、ようやく短いメッセージを打ち込んだ。
朝比奈ひかり:今日、先輩たちにめっちゃからかわれた……
送信すると、すぐに既読がついた。
月城レイ:だろうな 朝比奈ひかり:他人事みたいに言わないで! 月城レイ:俺も言われたけど 朝比奈ひかり:え、何て?
少しだけ間が空いた。
月城レイ:告白したのかって
ひかりは、思わず息を止めた。 そして、慌てて返信する。
朝比奈ひかり:それで!? 何て答えたの!?
送信してから、しまったと思った。 食いつきすぎだ。 これでは、まるで答えが気になって仕方ないみたいじゃないか。 ……実際、気になっているのだけれど。 少しして、レイから返事が届いた。
月城レイ:してないって言った
ひかりは、画面を見つめた。 そうだよね。 告白なんてしていない。 自分たちは、まだ同期だ。 分かっている。 分かっているのに。
朝比奈ひかり:……そっか
短く返すと、すぐにもう一件届いた。
月城レイ:でも、あれは本音だよ
ひかりの指が止まった。 心臓が、一度大きく跳ねた。 本音。 それは、どこまでのことを言っているのだろう。 一緒に配信するのが楽しいということ? 自分と一緒にいると安心するということ? それとも。
朝比奈 ひかり
ひかりは、しばらく画面を見つめていた。 何か返さなければいけない。 でも、何を書けばいいのか分からない。 結局、打ち込んだのは、たった一言だった。
朝比奈ひかり:……ありがとう
送信。 少しして、レイから返信が来た。
月城レイ:どういたしまして
そのあと、もう一件。
月城レイ:また一緒にやろうな
ひかりは、スマートフォンを両手で包み込むように持った。
朝比奈 ひかり
小さく呟いてから、返信を打つ。
朝比奈ひかり:うん。また一緒にやろうね!
送信したあと、ひかりはゆっくりとベッドに倒れ込んだ。 切り抜き動画のせいで、今日は一日中、レイのことを考えていた。 レイの声。 レイの言葉。 レイが自分に向ける笑顔。 その全部が、頭から離れない。
朝比奈 ひかり
ひかりは天井を見つめた。 あの言葉が本音なら。 自分が嬉しかったことも、少しは伝わっているのだろうか。 自分も、レイと一緒にいるのが楽しい。 レイと話す時間が好きだ。
できることなら、これからもずっと隣にいたい。 それは、もう何となく分かっていた。 でも、まだ言えない。 言葉にしてしまうのは、少し怖い。 だから、今はまだ。
朝比奈 ひかり
ひかりはそう呟いて、目を閉じた。 けれど、その言葉は、以前ほど自分を安心させてはくれなかった。
その夜。 レイはベッドに横になりながら、昼間に見た切り抜き動画を思い返していた。 自分の声が、何度も頭の中で再生される。 『楽しかったよ。ひかりとだから』
月城 レイ
誰も見ていないのに、レイは片手で顔を覆った。 あんなふうに切り抜かれるとは思わなかった。 けれど、不思議と嫌ではなかった。 視聴者が騒ぐのも。 先輩たちにからかわれるのも。
ひかりが、自分の言葉を気にしてくれるのも。 全部、少しだけ嬉しかった。
月城 レイ
本当に、困る。 このままだと、いつか自分の気持ちまで、隠せなくなってしまいそうだから。 レイはスマートフォンを手に取った。 ひかりとのトーク画面を開く。 最後に送られてきたメッセージは、明るい絵文字つきの「また一緒にやろうね!」だった。
その文字を見て、レイは小さく笑った。 ひかりも、また一緒にやりたいと思ってくれている。 今は、それだけで十分だ。 ……十分、のはずだった。
月城 レイ
自然と、そんなことを考えてしまう。 次の配信。 次のコラボ。 次に話すこと。 どれも、ひかりと一緒なら楽しそうだ。
レイはスマートフォンを枕元に置いた。 明日になれば、またいつも通りに話せるだろう。 からかって、笑って、言い合って。 それでいい。 今はまだ、それでいい。 ただ。 あの切り抜き動画のタイトルを思い出すと、少しだけ笑ってしまう。 『これはもう告白?』
月城 レイ
小さく呟いてから、レイは目を閉じた。 告白は、まだしていない。 けれど、自分の気持ちが少しずつ形になり始めていることには、もう気づいていた。 そして、その気持ちがどこへ向かっていくのか。 確かめるのが、少しだけ怖くて。 それ以上に、少しだけ楽しみだった。
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狸野 ゆゆせ
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