コメント
1件
もうそろそろ終わらせて別の話書きたい…頑張れ自分🥹
今日は静かな夜だった。
でも僕の胸はずっと騒がしい。
だって、
やっと涼架が僕の元へ来てくれたから。
希舟
暗い裏路地で気を失ってく涼架の体を抱き寄せて耳元で囁いた。
希舟
希舟
完全に意識を失った涼架をぎゅっと抱きしめた。
ぐったりとした身体、
伏せられた長いまつ毛。
希舟
ため息が出るほど美しい!
人間って、眠ってるときが一番綺麗だと思う。
息してるだけの存在。何も知らない間に思うままにできる。
涼架が今、その状態になってる。
あの僕だけの女神が、僕の腕の中で眠ってる。
希舟
希舟
誰にも見つからないように涼架を横抱きしながら自宅の地下室まで連れていく。
薄暗いコンクリートの階段を降りるたびに、涼架の前髪がゆれて鼻先をくすぐる。
希舟
地下室に入ると温度が少し下がった。 ここは特別な場所、涼架だけのために整えた部屋。
白く塗られた壁。 監視カメラは死角のないように4つ。 そして中央にはふかふかのソファと大きなベッド。 そのベッドには鎖が取り付けてある。
希舟
膝に涼架を座らせそのまま足首に鎖を繋ぎながら、そっと呟いた。
涼架の柔らかな肌に冷たい金属がぴたりと触れる。 身体はどこか神聖で触れるたびにドキドキしてしまう。
希舟
箱から白色の神秘的なワンピースを取り出した。 柔らかいレースと繊細なデザインが涼架に似合うはず。
涼架をそっとベッドに横たえ服を着替えさせる。
僕の指が彼の身体をなぞるたびに、感動と悦びが入り混じる。
やっと僕の女神に触れる事が出来た……!!
希舟
しゃがみ込んで涼架の手をそっと握る。 その指先は冷たくて、でも心地よくて、ずっと触っていたくなる。
希舟
カメラを一つ一つ確認する。 どの角度からも涼架の顔が綺麗に映るように。 どんな表情をしても見逃さないように。
希舟
ぼんやりとした暗がりの中で、意識が浮かんだ。
あれ……ここは……?
頭の奥が痛む。 身体が鉛みたいに動かない。
嫌に冷たい空気。ひんやりとしたコンクリートの匂い。 微かな電子音──いや、これは、カメラ……?
ゆっくりと目を開けかけた、その時だった。
希舟
……え?
体がビクリと反応しかけて、慌てて目を閉じる。 瞬間、背筋を冷たいものが走った。
喋ってるのは、希舟くんだ。
ここは、どこ?
体を少しだけ動かそうとして、足首にひんやりとした感覚が。
足首が動かしにくい。これは鎖?
喉の奥がかすかに震えた。でも無理やり抑え込む。 今起きてるってバレたらダメだって勘がそういってる。
涼架
頭の中で何度も自分に言い聞かせる。 呼吸が浅くなって鼓動が速くなる。
何もかもおかしい
気づけば服も違う。
着てたのはパーカーとズボンだったはず。 でも今は、肌触りが良くて高そうな生地の服に変わっている。それに足がすーすーする。ズボンはどこに?
涼架
全身にゾワッと鳥肌が立った。手を握られてる。
希舟
声がすぐ近くで笑った。
希舟
ここが俺の家になるという事も何もかも意味がわからない。
涼架
息をひそめてまぶたを閉じる。 体がこわばらないように無理やり全身の力を抜いた。
涼架
目の奥に涙が滲むのを、なんとかこらえる。
涼架
滉斗
夜の街を、ひたすらに走る。 GPSの点が、最後に止まっていたのはこの辺りだった。 地図はもう見ないで感覚だけで探してる。
滉斗
呼吸が荒くなって心臓がうるさくなる。 でも止まれない。
ビルとビルの隙間、人気のない路地、細い抜け道。 とにかく全部見て回った。
滉斗
何度も曲がり角を抜け、路地裏の行き止まりまで辿り着いたその時──
滉斗
地面に、小さな何かが落ちていた。
滉斗
拾い上げると、つややかな青リンゴのキーホルダー。
3人でお揃いしたものだった。
これは初めて3人で旅行に行った時、涼ちゃんが
涼架
それでたしか元貴が
元貴
って笑って、
俺もテンション上がっちゃって
滉斗
って言って買った思い出のキーホルダー。俺も元貴も大切に保管してる。
その思い出のものが、こんな裏路地に落ちてるなんて。
滉斗
胸がずきっとした。 涼ちゃんがあんなに大切にしてたものをここに落とすなんて絶対におかしい。
滉斗
息が詰まって苦しい
元貴
滉斗
別の場所を探していた元貴がこっちに走ってきた。
滉斗
元貴
滉斗
元貴
涼ちゃんに一体なにが、GPSが途絶えるってことはスマホを落としたとか?でも、ここにいた形跡を残すなんてそれって、
滉斗
その言葉を口にした瞬間、背筋が凍るような寒気と同時に、今まで探してきた不安や違和感が一気に繋がった。
滉斗
ひたすら目を瞑って気を失ったフリをしてどのくらい経ったのかな、時間の感覚がなくて分からない。
カタン、と扉の音がして、わずかに外の光が差し込む。
希舟
どこまでも柔らかく優しそうな声。
でもそれは全部偽物であの声の裏にあるのは、狂気と支配欲だけで優しさなんかじゃない。
ギイ……と扉が閉まる音の後に金属の施錠音が響く。
涼架
しばらく動けなかった。 耳を澄ませて、物音が完全に消えるまで。
息をするのも怖いほど、空気はピンと張りつめている。
涼架
涼架
ゆっくりと目を開ける。 ここは薄暗い地下室だった。壁の四隅に設置された監視カメラが光を鈍く瞬かせていた。
手を頭の上に組んで伸びをすると、指先になにか触れた。
涼架
指先を見ると俺のスマホがベッドの隅に無造作に置かれていた。
涼架
だけど考えてる暇はなかった。
身体をそっと起こし、布団の中から手を伸ばす。
足首に付けられた鎖がカチャッと鳴った。 音が雷みたいに響いた気がして、慌てて動きを止める。
涼架
スマホに触れるとすぐに起動した。 データは消されていなかった、奇跡みたいだ。
涼架
指先が震える。 震える指先を無理やり動かしてGPSアプリを開く。 もちろんGPS機能はoffだった。すぐonにしようとスマホを持ち上げた瞬間、
涼架
階段の向こう、地上からドアの開く音がした。
涼架
心臓が跳ね上がって全身の血が引くのがわかった。 スマホの画面に手を置いたまま息が止まりそうになる。
ギシ……ギシ……
階段を降りてきてる。 一歩、また一歩、重く軋む音がカウントダウンみたいに近づいてくる。
涼架
震える手でONボタンを押してスマホをすぐに元の位置に戻す。 そのまま横になって目を閉じ、眠っているフリをする。
鼓動が早くなって苦しい、 カメラの視線が全身に突き刺さる気がした。
扉が開く音がして足音がベッドのすぐそばまで来た。 顔を覗き込まれてるのが何となく分かる。
希舟
声が近い。 呼吸が乱れそうになるのを必死に抑えてるのもバレていそうで叫び出しそうだった。
希舟
冷えきった手が頬に触れた。 その温度に全身がビクリと跳ねそうになるのを必死にこらえた。
希舟
頭を撫でる指先。 冷たい。心の底から気持ち悪かった。
涼架
涼架
祈るようにただ目を閉じ全てを押し殺して必死に耐えていた。