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メインストーリー(MORE MORE SMILE!編)

第18話 - もう一度あの景色を

2025年06月22日

#初音ミク

#鏡音リン

#ステージのセカイ

#メインストーリー

かのん(あだ名でもいいよ)

宮坂天川学園屋上

恵美

…………ふぅ

ネア

恵美くん……葵ちゃんが心配？

恵美

……まあな。
やっぱり気になっちゃって

恵美

きっと葵は、おれが知ってるアイドルの中でも
一番責任感があって、仕事に誇りを持ってる子だと思うんだ

恵美

だからなおさら、辞める決断をするのは
……すごく苦しいことだったはず

恵美

おれも、辞めてからずっと苦しかった

恵美

辞めるって自分で決めたのに、
朝起きる時も夜寝る時も、『本当にこれでよかったのか』って、
何度も何度も考えちゃって……

恵美

それで……本当に心配してくれる人のことまで
見えなくなっちゃった

ネア

恵美くん……

ネア

……私もそうだったよ。
苦しくて、何も考えられなかった

ネア

最初は、もうみんなから冷たい目で見られなくてすむ、
プライベートな時間も持てるようになる、って
前向きに考えてみようとしたけど……ダメだった

ネア

ただ流されるままなったアイドルだったのに、
いつの間にか私にとって、アイドルでいることは
すごく大切なことになっていたから……

ネア

だから辞めた時、『大切なものがなくなった』って感じて、
すごく苦しかった……

ネア

……葵ちゃんも今、そんな気持ちなのかな

恵美

……何かないのか。
おれ達にできること

恵美

必死でもがいた葵が決めたことに口出すなんて、
本当は良くないってわかってるけど、でも……

ネア

そうね。同じようにアイドルとして過ごして、挫折した私達だから
できることが、何かあるかもしれないよね

ネア

でも……一体どうすれば……

ｷｨｰ…

みのる

ハァ、ハァ、ハァ……！
おはようございます！！

ネア

……お、おはよう、みのるくん。
どうしたの？　息を切らせて

みのる

ライブやるなら体力つけなきゃって思って、
練習前に、10km走ってきました！

恵美

ちょ、急にはりきり出してどうしたんだ？
昨日はあんなに凹んでたのに……

恵美

っていうか、ライブ？

みのる

ぼく━━葵ちゃんのためにライブをやろうと思うんです！

恵美・ネア

『え？』

ネア

青いペンライトの海みたいな景色……。
それが葵ちゃんにとって、大切な思い出の景色なのね

みのる

はい。それで、その景色は、セカイのステージでライブをやれば、
見せられると思うんです！

みのる

だからぼく、セカイでライブをやろうと思うんです！
それで葵ちゃんが少しでも元気になってくれれば……！

恵美

……でもその景色って、ステージの上から見ないと
意味ないんだよな？

恵美

景色を見てもらうためには
ステージに上がってもらわなきゃいけないけど、
葵はステージに上がれないわけで……そこはどうするつもりなんだ？

ネア

それに……アイドル時代に見た大切な景色なら、
見たら余計に辛くなってしまうかもしれないわね……

みのる

それは……そう、ですけど……

葵

『このステージから、
‘‘明日をがんばる笑顔’’を届けたいんです！』

葵

頑張っても、どうにもならないこともあるんだよ

みのる

……でも、今の葵ちゃんは、明日はきっといい日になるって、
もう信じられなくなっちゃってて……

みのる

そんな風に、前を向いて進めなくなっちゃうことは、
すっごくすっごくつらいことだと思うんです

みのる

だからせめて、葵ちゃんが少しでも前を向いて進めるように、
あの景色を見てもらいたい

みのる

あの光は全部、葵ちゃんに笑顔を貰った人達の想いの光なんです！
だから、きっと届きます！

みのる

『たとえアイドルを辞めたとしても、
葵ちゃんには前を向いて進んでほしい』っていう想いが！

みのる

葵ちゃんをステージに呼ぶ方法は、まだ考えてる途中ですけど……
でも、考えてるだけじゃ、
ぼくも葵ちゃんもずっと止まったままだから……！

みのる

たとえ、1回のライブで葵ちゃんの心を動かせなくても、
葵ちゃんが前を向けるようになるまで何度だってライブします！

ネア

みのるくん……

恵美

……はぁ。それって結局、ノープランってことじゃないか……。
ほんと、みのるって最初からそうだったよな。
無茶なことばっかり言うっていうか、無鉄砲っていうか

ネア

……ふふ、そんなこと言ってるけど、
恵美くんはもう答えを出してるんでしょう？

恵美

まあな。
ネアのとこの劇場に飛びこんでいったおれが
人のこと、とやかく言えない。だから……

恵美

……みのる、おれ達にもそのライブをやらせてくれない？

みのる

え？

ネア

ええ、私も手伝わせてほしいわ。
私達も葵ちゃんを励ましたくて、
どうすればいいのか悩んでいたところだったのよ

ネア

……私は、恵美くんが私のために行動してくれたから、
また前を向けるようになったわ

ネア

だから、葵ちゃんのことをいっぱい考えてるみのるくんとなら、
葵ちゃんを励ませるかもしれないって思うの

恵美

それに、みのるみたいながんばり屋、
応援しなくっちゃアイドルが廃るから！

みのる

……ありがとうございます！
天美先輩！　森野先輩！

ステージのセカイ

リン

ん〜、みのるくん達どうしてるかなー。
……もう、わたしから会いに行っちゃおうかな！？

ミク

ふふ、わたしたちから行かなくても、きっとまたすぐ……。
あ、ほら！　来てくれたみたいだよ！

みのる

ミクちゃん！　リンちゃん！

リン

あ！　今日は恵美くんとネアちゃんもいるっ！
久しぶりー！　元気だった？

恵美

ああ、おかげさまでな！
この間は本当にありがとう、リン。
おかげでまたがんばれそうだ

リン

えへへ、恵美くんが元気になってくれてよかった！
やっぱりアイドルは、笑顔が一番っ♪

ネア

ふふっ、そうね。
元気じゃない恵美くんはとっても変な感じがするもの

恵美

変なって……おれだって落ちこむ時は落ちこむんだけど？

みのる

ミクちゃん！　リンちゃん！
あのね、ふたりとも葵ちゃんを元気づけるために、
セカイのライブに出てくれることになったんだ！

恵美

それで、練習のためにステージの大きさとかを
確認しなきゃって思ってきたんだ

リン

あ、それなら、そのままここで練習すればいいんじゃない？
ねっ、ミクちゃん！

ミク

うん！　ここはみんなの想いでできたセカイだし、
わたし達がライブをしていない時だったら、
いつでも練習してもらって大丈夫だよ！

ネア

本当に？
それならすごく助かるわね。みのるくん

みのる

うん！
ありがとう！　ミクちゃん、リンちゃん！！

恵美

ストーップ！　腕の振りが小さいっ！
後半になるとすぐ動きが小さくなるぞ！

恵美

一番遠くの客席にまで、みのるの想いを届けられるように意識！
ハイ、もう1回！

みのる

はいっ！

ネア

それから、音程が少し不安定になっているわ。
体に力が入るとどうしてもそうなりがちだから、
緊張する時ほど、自分の呼吸のペースに気をつけてみて

ネア

その方が、みのるくんの想いがもっともっと届くわ

みのる

はい！　……ゆっくり息をして……肩の力を抜いて……

リン

あ！　恵美くんとネアちゃんの想いが重なって、
ステージがどんどんキラキラしていってるよ！

ミク

……ふふっ。最高のライブになりそうだね

みのる

…………！！　できました！
今、最後まで完璧にできたと思います！！

恵美

待って、動画も確認しないと……うん！
これなら完璧だな！　葵にも見せられるレベルだ！

ネア

がんばったわね、みのるくん。
最後の方は、ほとんど私達のペースに
なっちゃってごめんなさい

みのる

いえ。先輩達のおかげで、ここまで来られたんです。
本当に、ありがとうございます！

みのる

あとは……葵ちゃんに届けるだけ……！

恵美・ネア

『ああ！』
『ええ！』

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