明司兄弟の末っ子

お前だけは兄弟だと認める

俺がそう言ったとき

武千代は首をかしげた

それはそうだ

今よりずっと小さかったからな

それを理解しないまま、武千代は兄は一人だけ

つまり、兄は俺だけと思い込んでしまった

俺だって、武千代に嘘はつきたくない

何度も本当のことを言おうとした

けれど、すぐに諦めた

もし、本当のことを言えば

俺の言った言葉を理解して、俺の元を

去っていく

そう思ったからだ

俺の元を去っていったら、俺は

俺じゃなくなる

だから必ず､武千代に本当のことを知らさない

そう誓った