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深夜
部屋の電気を消すと
スマホの画面が静かに光った
もう見ないって決めてるのに
指が無意識にコメント欄を開く
ks
言い訳みたいに呟いて
こさめはコメント欄をスクロールする
応援の言葉
スタンプ
短く「好き」の2文字
それらの言葉の間に
ぽつぽつ混ざる言葉
「声わざとらしい」
「キャラ作りすぎ」
「いなくても変わらないでしょ」
さっきも、見たはずなのに
夜になると言葉の重さが 違うように感じた
画面から目を逸らしても
頭の中で、同じ言葉が何度も浮かぶ
ks
通報したし
相手からしたら遊び半分なのに
どうせ今までもこれからも 沢山あるのに
このような言葉貰う度
胸の奥が、何だか削られていってる
インクのように染み込んでる
ks
ぽつりとこぼれた言葉は
誰にも聞かれないまま、部屋に落ちた
︎︎ ︎︎ ︎︎"︎︎気にしなければいい
︎︎ ︎︎ ︎︎"︎︎見なければいい
簡単に言える言葉ほど
今のこさめには遠かった
だって、
好きって言葉も
嫌いな言葉も
同じ画面から届く
どちらも
自分に向けられてる言葉
ks
再生数
いいね
チャンネル登録人数
確認する度
胸がぎゅっと縮む
上がっていれば少し安心して
下がっていれば不安になる
___もし、減ったら
___もし、離れていったら
それは全部
こさめがダメな子っていう証明みたいに思えてしまう
ks
誰に向けた訳でもなく問いかける
そして答えを探すみたいに
また画面を見る
そこにはさっきと同じ言葉が
並んでいた
「作っている」
「可愛いだけ」
…じゃあ
本当のこさめって、何?
笑わなかったら?
明るくしなかったら?
失敗したら?
その瞬間、
雨乃こさめでは無くなるのかな
スマホを握る力が
少しだけ強くなる
ks
そう言って画面を閉じた
でも目を伏せたからって
胸の奥に居座っている言葉は消えない
配信中から振り続けている雨は
さらに強く降っていた
こさの胸の中みたい、笑
ks
誰かに「笑え」とでも
言われた訳ではない
でも、それがこさめの
「当たり前」だから
こさめは、
自分自身に言い聞かせるように
もう一度、呟いた
ks
その言葉はもう信じられないことに
気づいてない振りを続けている
明日は、収録だから早く寝ないと
♡5 希望