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私の昔話を聞いてください

if

(思ったより早かったな...)

数日前、孤児院の園長がやって来てそれぞれの性格や好きな物を話してくれた

だけど、孤児院に来た経緯は教えてくれなかった

理由は単純

"自分たちの過去を話すこと"が 5人にとっての"信頼の証"だから

そのため、俺らは何も知らない

"思ったより早かった"と言うのは理由がある

まだ、目の前で笑ったことがない

天だけでなく5人全員が

過去に相当苦しんだのは明白だ

if

(だから聞くのはもっと後やと思っとったんやけどな...)

でもそれだけの事を話そうとしてくれているのもまた事実だ

if

天がいいなら聞く...だけど無理になったらいつでも言っていいからな?

はい、ありがとうございます

if

天、ここやで

あの...その前に1ついいですか?

if

ん、どした?

...下ろして欲しいんですけど

思ってみれば天はもう15歳

お年頃の女の子にとったら恥ずかしくてたまらないだろう

下ろしてやりたいけど...

if

ダメだよ〜

あんだけ泣きまくったんだから相当疲れてるはずだし

何よりも兄らしい事をしたかった

でも...

if

いいから、ほら入るよー

ガチャ...

if

天連れてきたよ

扉を開けた途端顔をこちらに向ける兄弟達

"連れてきた"と言う報告にほっとした顔をしていたがその顔はすぐに変わった

そりゃまぁ..."警戒心が強い"って言われてた子がおんぶされてるんだし

〜ッ!/////

視線に気がついたのか背中に顔を埋める天

少しだけ笑いそうになる

悠佑

まろ、下ろしたり

if

はーい

ひとりがけ用のソファにそっと天を下ろす

俺も席に着いたところで天が口を開いた

あの...なんで私があそこにいるのがわかったんですか?

突拍子すぎてびっくりした

でもその問いかけにうちの5男が何故か胸を張って答える

-hotoke-

ふっふっふー...それはこれだよ!

手に乗っているのは野球ボール

でも、そこには文字が書かれていた

...何書いてんのよ...あいつら..

そこに書いてあったのは 「天が和室に閉じ込められてます」 の文字

-hotoke-

これがそこの窓から飛んできたんだよ、もーびっくりした

え!?

天が振り返り窓を見る

破片は片付けられていたが、窓からの風でカーテンが揺れていた

...ごめんなさい

if

ん、全然ええよ

りうら

天、怪我とかない?

全然大丈夫です

初兎

ごめんな...俺らが鬼ごっこやろうって提案したから...

ないこ

.......鬼ごっこ?

りうら

あ、

-hotoke-

えぇー!?しょうちゃん達鬼ごっこしてたの!?

-hotoke-

僕も誘ってよ!

悠佑

おい、お前ら...家の中で鬼ごっこするなって言いよるやろ!

初兎

あの..え〜と...

......................

長男と三男から説教を貰う弟2人

それに挟まれた天はなんとも言えない表情をうかべていた

if

みんな、1回ストップ

if

天が困ってるやろ

ないこ

あっごめんね天

全然...

首を振って答える

俺以外の兄弟にまだ慣れていないためか遠慮が見られた

悠佑

...それで天はどうしたん?

悠佑

なんか話したいことがあるんやろ?

さすがアニキだ、勘が鋭い

はい、えっと...

どう切り出そうかと迷っている天と目が合い頷き返す

深呼吸をひとつおき口を開いた

私の昔話を聞いてください

部屋全体に緊張感が漂う

かく言う俺も緊張していた

私は...

親に捨てられる形で孤児院に入りました

私の両親は私が産まれるまで "普通の人"だったらしい

でも、私を出産した日

状態が悪かった母は私を産む代わりにこの世からいなくなってしまった

それから父は変わった

母が大好きだった父は、大好きな人を殺した私を憎んだ

毎日のように酒に溺れ、時には暴力も奮ってきた

学校に通わないから読み書きも出来ない

汚い、ごみ、醜い、なんで産まれたんだなどの暴言

でもそれは私にとって普通だった

暴力は物心着いた時からだし、抵抗すれば酷くなるだけだから受け入れるしかない

暴言だって、あぁ私はそうなんだ思っていた

でもある日、それが終わった

父が出かけたっきり帰ってこなかった

たぶん3日くらい

父は女遊びに手を出していたし、帰ってこないのは何も不思議じゃなかった

ご飯食べないのなんて慣れてたし、暴力がないだけで全然違った

でも、それから父には会っていない

その代わり、青い服装の人達が私の家に来た

みんな、私を見て顔をしかめていた

ほとんどが男の人、その中で唯一の女性が私を外に出してくれた

その後すぐに孤児院に入って莉音達に出会いました

淡々と自分の過去について語る天

俺たち兄弟には反応が違えど気まずい雰囲気が流れていた

小さい頃、それも物心着く前から天は暴力や暴言を浴びていた

天が言う「青い服装の人達」はきっと警察官のことだろう

父親が警察に捕まり、引き取る人がいなかった天は孤児院に入った

ないこ

天...その...施設に入ったのって何歳のとき?

8歳ですね...今15歳なので7年前になります

8年間の間に天はどんなことをされたのか

「過去を聞いて」という割には材料が少ない

完全な信用って訳ではまだないのか

.....なんで警察に父が捕まったかはなんとなくだけどわかるんです

初兎

なんとなくって?

少し間が開き天が後ろを向く 後ろの髪の毛を除け首を出した

-hotoke-

ッ!

りうら

なに...これ...

そこにあったのは痛ましいキズ

あとがくっきりと残っていて、治っているのかどうかも怪しかった

.....警察の人が来る数日前に父がビール瓶でつけた跡です

この時....いつも閉じてた窓が空いてて...たぶんそれでバレたんだと思います

悠佑

...痛くないんか?

はい...もう痛くないですよ

それにたまたまこの傷が残っただけでビール瓶でも暴力も普通にありましたし

んなの普通じゃない

天の父親に怒りが湧いてくる

ないこ

....まろからLINEで聞いたけど、なんでそもそもタンスの中にいたの?

父が家に女の人を招く時に入れられてたからですね

でも、自分の判断じゃ入れても出れないこと忘れて入っちゃいましたけ...ど...

天の言葉が途切れ、俯いていた顔を上げる

うちの末っ子が静かに抱きしめていた

(.....何が...起きてるの...)

暖かい

優しく...だけど絶対離さないと言わんばかりに抱きしめられている

りうら

あのね天...そんなのは普通じゃないんだよ

りうら

親が子供を殴るのも、タンスに閉じ込めるのも、罵倒を浴びせるのも普通じゃないよ

-hotoke-

そうだよ!

ほとけさんもガタッと立ちあがり右から抱きしめられる

いつの間にか左からは初兎さんに抱きしめられていた

(なんで....なんでこんな.....)

意味が分からない

私はいらない子なのに、何もできなくているだけで邪魔なのに...

なんで...なんで優しくするの...

if

家族だからだよ

if

家族に優しくするのは当たり前でしょ?

声に出てた

でも気にすることが出来なかった

....私を殴らないの?...捨てないの?

ないこ

んふふ、俺たちは何があってもそんなことしないよ

悠佑

そうやで天...だから泣くな

頬に暖かい何かがつたう

(この人達は....お父さんと違うのかな...)

(本当に...私のこと捨てないのかな...)

顔を上げる

みんなが優しい顔で見つめてくれる

(信じたい..信じて全てを話したい...だけど)

胸の中にあるひとつの引っかかりがまだ取れていない

(それを...聞かなきゃ...)

涙を拭い、悠佑さんの方を見る

天寧はどうして倒れたんですか?

本当にこの人達が大丈夫なのか

まだ、信用しきれない

私の大切な人を傷つけるなら信用なんてできるわけが無い

だから聞かなきゃ

この人達を信頼するために

悠佑

....それは莉音達にも一緒に言おう

悠佑

説明はみんな一緒に聞いた方がええやろ?

....はい

この人達を信頼するにはまだ早い

だけど、本当にこの人達がいい人で..そんな人と家族になれるなら

(私は変われるのかな...)

孤児院出身の私達は変な人達の家族になる【参加型ストーリー】

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