TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

暗くてなにも見えない

どの方向が天井でどの方向床か、どちらが上下なのかもあやふや

そんな状態でも体は水に浮かんでいるようみたいににまどろみに包まれている

それに心地良さを感じてしまう

天寧

(...なんで私こんなとこにいるんだっけ)

さっきまで新しい家の倉庫にいたはずだ

鬼ごっこをしていて鬼から隠れるため倉庫にいった でも気づいたらそこが袋のネズミ状態なことになってて

諦めてた時に、悠佑さんがやってきて...

天寧

そうだ、私パニクって...!

昔のことを思い出してパニックを起こしてしまった

悠佑さんが必死に何かを言っていたのは覚えてる、でもそれが何かは思い出せない

大抵、パニックを起こした時に私がすることはひたすら相手に謝ることだ。しかもあの時は電話中....もしそれを、私以外の4人が聞いてたら...ッ!!

天寧

また皆が人を信じることをやめちゃう...それに天も危ない...

天はよく私がパニックを起こすと、自分の過去のことも思い出してしまう

私たちは色んな人に裏切られてきた、今回のことで悠佑さんにも莉音達が何を起こすか...

天寧

早くここからでないと.....あれ?

体がゆっくりと絡め取られるように水に浸かる、水に意思があるかのように止まることなく沈む 沈んだ手を空中にあげようとしても重く上がらない、やがて完全に沈んでしまった 水の中だから当然息もできない、もがけばもがくほど苦しくなる一方だ

そこで思い出した 昔のこと、正確には7歳の、初めて家族ができて小学校に通ってたころ

それに気づくと同時に怖さが無くなっていき、抵抗するのをやめた 諦めモードに入ったからかもしれない

天寧

(あの時と、何一つ変わっていない)

天寧

(水の冷たさも、薄い酸素も、何一つ)

ここは井戸の中なんだ

天寧(幼少期)

九条天寧です、よろしくお願いします....!

パチパチ

二学期の最初、九条さんという家に引き取られ養子となった私は「九条天寧」という名前で転校した

あかり

天寧ちゃん!一緒に音楽室行こー!

瑛太

天寧!ドッチボールしようぜ!

クラスのみんなは優しく迎えてくれた

一緒に教室を移動したり、休み時間に運動場で走り回ったり、一緒に帰ったり

本当に楽しかった

あの時、三学期が終わる少し前までは

瑛太

天寧、俺お前のこと好きだ

瑛太

付き合ってください!

天寧(幼少期)

.......ごめんなさい

ある日の放課後仲のよかった瑛太くんに告白された

瑛太

な、なんで....!?

瑛太

俺、なんかダメなとこ、あった?

天寧(幼少期)

ううん、そんなことないよ

天寧(幼少期)

瑛太くんは優しいしいい人だよ

瑛太くんは限りなくいい人だ

人前に立つのが得意で、クラスのみんなをまとめてくれるし、困っている人がいたら助けられる

それにクラスのみんなのこともよく見ている、体調不良の子がいたら先生にこっそり教えてるし、休み明けの子には勉強を教えている所もある

でもそんな彼の告白を断るのには理由があった

あかり

あのね!私瑛太くんのことが好きなの!

あかり

どうやったら振り向いて貰えるかな?

転校してからずっと仲のいいあかりちゃん、大好きなあかりちゃんの好きな人を奪うなんて私には出来ない

天寧(幼少期)

理由は話せない、だけど付き合えない

天寧(幼少期)

本当にごめんなさい

あかりちゃんの気持ちには自分で気づいて欲しい、だから明確な理由は言わずに断った

これがいけなかったんだろうな...次の日から私へのいじめは始まった

天寧(幼少期)

(楽しみだな、今日の給食揚げパンあるんだよね〜♪)

ヒソヒソ

天寧(幼少期)

(ん?)

ねぇ、あの子でしょ?瑛太くんの告白断った子って

ね、理由も話してくれないんでしょ?

瑛太くん可愛そ〜

天寧(幼少期)

(ッ......)

天寧(幼少期)

(早く教室行こ...)

その場にいるのが嫌で、廊下からでも聞こえる笑い声のする教室へと足を早める

今はみんなと過ごしたい

翌朝

天寧(幼少期)

おはよー

みんなのいる教室に挨拶をしながら入る

入った瞬間に静まる教室

天寧(幼少期)

っ!(なに....)

あかり

あ、、おはよー!天寧!

天寧(幼少期)

....おはよ、あかり

あかり

ねぇね、トイレ行かない?

天寧(幼少期)

え?うん、いいよ

天寧(幼少期)

ね、あかり

天寧(幼少期)

手、痛いよ

きつく握られた手首をグイグイと引っ張られていたい

やがてピタリと足は止まった

あかり

ねぇ、ほんとなの?

あかり

瑛太に告白されたって

天寧(幼少期)

.....うん、そうだよ

天寧(幼少期)

でもきちんと断ったから

あかり

そうじゃない...

天寧(幼少期)

え?

あかり

そうじゃないでしょ!!!

ドンッ

天寧(幼少期)

っ!

あかり

ははは、ははははははっ!

あかり

もっと早くこうしてたらよかった...ちょっと可愛いだけで調子に乗っちゃってさ...

あかり

瑛太の隣には私のモノなんだから

薄れゆく意識の中でもあかりがそう言ったことだけははっきり覚えている

この作品はいかがでしたか?

116

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚